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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0314 サクラ魔法食堂開店

 いよいよサクラ魔法食堂本店の開店日だ!

俺は最初チラシなどを配ろうかと考えていたのだが、それはやめた。

すでにロナバール中が、試験営業に来た人たちの口コミだけで、うちが本店を開くという噂で一杯なのだ!

この上、チラシなどを撒いたらどうなるかわからない。

前日から用意をして、作った品物の数は、プリン1500個、肉まん1500個、トラペジオケーキに至っては2000本だ!

特にトラペジオケーキはブランデーを振りかけて日持ちもするので、試験営業が終わった1週間前から大量に作って用意しておいた。

それに物によっては俺を初めとした何人かのマギアサッコに収納しておいたので、保存時間に関しては大丈夫だ。

いつもこんな事をする訳にはいかないが、今日は開店日なので特別だ。

そして店の前はすでに長蛇の列で、店員やジャベックたちが対応におおわらわだ。

しかしそろそろ開店時間が迫って来たので、俺は整理にジャベックたちを残して、店員を全員、一旦店の中に入れた。


開店を直前にして、俺は左右にエレノア、シルビア、ミルキィ、アルフレッドを従えて、クレインたち食堂店員を前にして話し始める。

その店員全員がこの日のために用意された、サクラ魔法食堂の制服をビシッ!と着ている。

俺の横では開店記念記録と、後日の検討のために、映像ジャベックが撮影をしているので緊張する。


「諸君!いよいよこれから念願のサクラ魔法食堂の開店だ!

この日のために諸君が努力して来た事は私もよく知っている。

調理、接客、清掃、衛生管理、それらを全て諸君は訓練して己の力としてきた。

いよいよその成果を発揮する時が来たのだ!

ここ数ヶ月間、鍛えた諸君の力を今日からは思う存分使って欲しい!

さあ・・・まもなくサクラ魔法食堂開店だ!

総員、配置につきたまえ!」

「「「「「「「「 はいっ!!!」」」」」」」」


俺の挨拶に全員が返事をすると、全員が小走りに動き出し、持ち場へと急ぐ。

各部門で最終点検が行われ、確認される。


「調理部門、準備完了!」

「ホール、準備完了です!」

「玄関、準備完了!」

「1階客席、準備完了!

 ただし、ペロンとバロンはすでに席に着いて、一個目のプリンを食べてしまっています!」

「2階客席、準備完了!」

「3階特別室及び各個室、準備完了です!」


おいおい!ペロンとバロンは、もう食べ始めちゃっているのか?

まあ、いいか?

各部門の長がそれを店長であるブリジットに報告し、それをさらにクレインに報告する。


「クレイン部長!各部門点検完了しました!

異常はありません!」


その報告にクレインがうなずき、さらに俺に報告する。


「ホウジョウ様、各部門、用意完了です!」

「よし!諸君!サクラ魔法食堂、ただ今より開店だ!」


俺の合図と共に門が開けられて、客たちが整然と入ってくる。

ついにサクラ魔法食堂の開店だ!


サクラ魔法食堂本店には、開店前から長蛇の列が並び、俺たちは整理に苦労した。

迷宮と違い、ここでは上黄金等級ハイゴールドクラスの登録証も意味はないので、大変だ。

一応待合室も用意してあって、そこも収容能力にかなりの余裕はあったのだが、それでもそこにはとても収まりきらなかった。

俺は行列が出来るであろう事を予想して、料理の説明と細かい絵の描かれた献立表を、いくつも作っておいた。

それを待っている人たちの時間つぶしに見てもらって、何を食べるかあらかじめ考えておいてもらうためだ。

何しろほとんどの食べ物が誰も知らない食べ物のために、それは必要な事だった。

しかもこの食堂の値段は目が飛び出るほど高い。

一応、町の噂で知っている人たちもいるだろうが、まだ知らない人も多いだろう。

あらかじめその値段を知っていてもらわないと、支払えない者も続出するだろう。

おそらく肉まんと同程度の値段だと勘違いして並んでいる人たちもいるだろう。

案の定、献立表の値段を見て、すごすごと列から離れる人々も多い。

こればっかりは、俺としても申し訳ないが仕方がない。

せめてもの事として、その値段にあう、料理と接客をするまでだ!


そしてこの間、他の店は1週間臨時休業だ。

店員が総力で当たらないと難しいと思ったし、何よりもうちの従業員全員に本店開店日の忙しさと嬉しさを分かちあいたかったからだ。

それは将来的に、良い教訓と思い出になるのは間違いない。


そして本店ではかねてより出したかった物をついに正式に売り物として出した。

すでにロナバール中で噂になっているプリンだ!

これも何とか牛乳と卵を安定供給可能な算段が立ったからだ。

しかし卵や砂糖がこちらの世界では値が高いので、結局プリンは一個銀貨3枚と、かなりの高級菓子となってしまった。

それでもプリンは総督閣下の好みの一品として、そして魔法協会の女性職員たちの憧れとして、すでに開店前から町中の噂になっていた。

最初にエトワールさんが食べた時に言った通り、すでにプリンは販売前からロナバールの新名物となっていたのだ!

陶器の入れ物にペロンの絵が描かれた「ペロン印の幸せプリン」だ!

それを食べたいがためだけに並んでいる人もいるようだ。

それを知った俺は急遽、まだ開店をしていなかった、本店に付属している店舗でプリンの持ち帰り販売も始めた。

そちらではプリンとトラペジオケーキの2つだけを専売した。

そのおかげで少しは食堂の方の長蛇の列が解消されたようだ・・・と思ったら、あっ!と言う間にプリンが売り切れた!

そして長蛇の列がまた伸びた!

まだ店での提供用の物はあるが、それを売る訳にはいかない。

なぜなら店のプリンは入れ物を回収できるが、当然の事ながら御土産用は入れ物ごと売っているからだ。

店の食事用の物を売ってしまったら、明日からプリンを作る型がなくなってしまう!

これはどうやらプリンの噂を甘く見ていたようだ。

明日から・・・いや、今日からでもプリン容器の増産をしなければ!

今の所、一年を通して出す菓子はプリンとトラペジオケーキだけだ。

しかし将来農作物の収穫が安定してくれば、汁粉や芋羊羹などの和菓子や、他の物も出せるようになればと思っている。


初日には俺がペロンに頼んでバロンにも来てもらって、一緒に店の中央の特別席でプリンを食べてもらっていた。

バロンも甘い物は好きで、昇降機設置作業の時にも、試食してもらった時に、プリンを喜んで食べていたからだ。


「うむ、やはりこのプリンという物はうまいニャ」

「うん、だからバロンともこうして食べたかったのニャ」

「うむ、ありがたい事なのニャ」

「バロンのおかげでこの店の宣伝にもなって、名誉店主のペロンは助かるのニャ」

「その程度はお安い御用なのニャ」


来客者たちはただでさえ珍しいケット・シーが、二人も嬉しそうにプリンを食べているのを見て、驚いていた。

そしてサクラ魔法食堂はケット・シーが集ってプリンを食べる場所として、ロナバール界隈で一気に有名になっていった。

さすが希少価値のあるケット・シーだ。

予想通り、宣伝効果は抜群だ!

これでペロンたちはまさにサクラ魔法食堂のサクラ・・・って違うわっ!

いや、間違ってはいないか?


ミヒャエルたちは開店初日に祝いを兼ねてやってきた。

俺は三人を約束通りに作ってあった3階の特別室「白ひげ」へ案内した。

特別室はこじんまりとした部屋で、洒落た作りの四人用のテーブルが3つあるだけだ。

それぞれのテーブルをミヒャエル専用、ジーモン専用、ガスパール専用とした。

三人がそれぞれ1卓ずつ使えるようにしてあるので、誰かを連れてきても、一人当たり三人までは大丈夫なようにしてある。

店員のうちの三人を専用の担当として、この三人が来た時は、その三人の誰かが常に担当する事にした。


「三人とも覚えておいて。

この人たちが誰か連れて来たら、すぐにこの特別室「白ひげ」へ案内して、食事をしてもらう事。

わかったね?」

「「「はい」」」


初日は大繁盛で、サクラ魔法食堂はロナバールの噂になったようだ。

うちを訪れた客たちは、初めて目にして味わう料理に驚き、一階の中央で嬉しそうにプリンを食べるペロンたちケット・シーを見て満足して帰って行った。

そして確かに値段は高いが、それに見合うだけの料理と店の作りだとお客たちは噂しあって、瞬く間にうちの店はロナバールの名所となっていった。

俺は自分の店がうまく行って満足だった。

しかしもちろん何事も全てがうまく行くとは限らなかった。

うちの噂を聞きつけた、おかしな客がやって来たのだ。


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