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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
32/1014

0031 ロナバールの迷宮

 翌朝起きると、驚くほどに清々しい気分だった。

こんな気分は久しぶりだ。

すでにエレノアは起きて服を着ていて、俺に挨拶をする。


「おはようございます。御主人様」

「ああ、おはようエレノア」

「本日より、いかがいたしますか?」


そのエレノアの質問にちょっと考えてから俺が答える。


「うん、とりあえず、どこかで魔物と戦って・・・レベルを上げたいな」

「ではこの町の近くに御主人様のレベル上げにちょうど良い迷宮がございます。

そこに行かれますか?」

「うん、そうしよう」


俺は久しぶりに装備を整えて、エレノアと一緒に宿の外へ出る。

情けない事に、ここ3週間はエレノアに溺れていたので、せっかくエレノアが整えたこの装備で外に出るのは、これが初めてだ。

エレノアもいつものボロ服にフードをかぶった姿で一緒だ。

3週間ぶりのラディが目にしみる。


「このロナバールには迷宮が2つあり、一つは北東の迷宮です。

これは初心者から中級者までの迷宮で、森の中にあります。

まずはそちらへ、案内しましょうか?」

「うん、よろしく」

「迷宮の森の入り口までは馬車が出ておりますので、それで行きますか?」

「それでいいよ」


オルフォン亭の近くから銀貨1枚を払って馬車に乗り、迷宮へ向かう。


終点である森の入り口で、馬車を降りて迷宮に向かう。

もちろん、森にも魔物は出てくるが、流石にこの程度の魔物であれば、俺の敵ではない。

エレノアと共に、あっさりと片付けながら迷宮へと向かう。


「ここが迷宮入り口です」


そう言ってエレノアが指差した物を見て俺は驚いた。

森が切れた広場に、ポッカリと洞窟のような穴が空中に開いているのだ!

その穴には厚みがなく、裏に回っても真っ黒な壁が見えるだけだ。

これは一体何なのだろうか?


「これ・・・迷宮なの?」

「はい、そうです」

「こんな迷宮・・・初めて見たよ」

「御主人様は迷宮を見るのは初めてですか?」

「いや、一つは見た事があるけど、それは森の奥にあって、洞窟のような場所だった」

「なるほど、それは洞窟型の迷宮で、むしろめずらしい方ですね。

 普通の迷宮はこのように森などの開けた場所に、浮かんで存在しています」


「え?迷宮って洞窟とか、誰かの作った迷路じゃないの?」

「迷宮と言う物が、誰が作ったのか、そもそも自然現象なのかもわかりません。

ただ、明らかなのはこちらの世界とは別の世界と言う事です」

「別の世界?」

「はい、御覧のように、迷宮への入り口は、口が開いているにも関わらず、こちらの世界では先がありません。

 御主人様が先ほど御覧になったように、裏を見ても、何もなく、厚みもありません。

それでいて、中に入れば信じられないほどの奥行きがあり、中は魔物の巣窟となっています」

「・・・そうなんだ」


この何でも知っているエルフ様までがわからないのではどうしようもない。

迷宮とはなんなのか、神様に聞いておけばよかったが、すでに後の祭りだ。

仕方がない。


「まあ・・・とりあえず入ろうか?」

「はい」



エレノアと二人で、迷宮に入る。

今までのように一人ではない、二人で迷宮に入るのだ。

空中にわずかに浮かんでいる迷宮の入り口近辺にはすでに何人かの人がいる。

ここは結構大きな迷宮らしく、サーマル村北西の迷宮と違って、それなりに人も多い。

迷宮に入ると、エレノアが呪文を唱える。


「ルーモ モヴィ」


エレノアは呪文を唱えると、そのままスタスタと歩き出す。

それに従い、魔法で出した照明も一緒に動き出す。

(ああ、やっぱり明かりを自分と一緒に動かすこと出来るんだ?)

そりゃ、そうだよな?

わざわざ頭に照明を貼り付けて動いていた自分が馬鹿みたいだ。

俺がポカンとしていると、エレノアが不思議そうに俺を振り返る。


「どうしましたか?御主人様?」

「あ、いや、何でもないんだ」


そう言うと、俺はエレノアに続いて歩き始める。


「まずは、弱い魔物と戦って、勘を取り戻しましょう」

「うん」


迷宮で戦い始めて、この3週間で、かなり体がなまっているのがわかる。

頭もボケていて、レベルが25程度の魔物にもてこずるほどだ。

しかしエレノアも一緒だったので、どうにかこうにか弱い魔物と戦って、勘を取り戻してきた。

俺が冒険者としての勘を取り戻してきたのを感じると、エレノアが意見を述べる。


「今度はもっとレベルの高い魔物のいる場所に行って見ましょう。

それとレベルが上がったら私に教えてください」

「わかった、そうしよう」


一旦外へ出て別の迷宮へ向かう事となる。


「次は南西の迷宮に向かいましょう。

そちらは中級者から上級者向きの迷宮で、レベル上げにも向いているので、

たくさんの人が訪れます」

「そうなんだ?」

「はい、こちらからですと、少々遠いので、私の航空魔法で向かいますか?」

「航空魔法って、空を飛んでいくって事?」

「はい、その通りです」

「僕はそんな魔法は知らないし、飛べないけど?」

「それは大丈夫です。

エレノアが航空輸送魔法で御主人様を一緒に運びますので、御安心ください」

「わかった。それでいいよ」

「承知いたしました」


エレノアが呪文を唱えると、俺とエレノアの体が地面から持ち上がり、空に上がる。


「うおっ!」


驚く俺に対してエレノアが説明する。


「では南西の迷宮へ向かいます」


俺が始めての航空魔法に驚いている間に、南西の迷宮へついた。

おそらく歩けば、2時間はかかるであろう距離を、たったの1分ほどで着いてしまった。

航空魔法を覚えると、移動がこんなに便利になるのか?と俺は驚いた。



俺たちが地上に降りると、そこには先ほど同じように黒い楕円形の円盤が空中に浮かんでいる。


「では、迷宮に入りましょう」

「うん」


エレノアに従って、南西の迷宮に入る。

今度の迷宮は入った場所が広くて明るい。

入口近辺が広い上に、全て明かりで満たされているのだ。


「ここは広くて、随分明るいね?」

「はい、ここは有名な中級から上級者用の大きな迷宮で、かなり開発されています。

 ですから入口から休憩広場までは魔物も出ずに、そこまでは魔法照明で明るいです」

「へえ?」


こんな迷宮があるとは驚きだ。

しばらく歩くと、一階の広場のような場所でエレノアは止まる。

ここには何やら屋台のような物まで出ている。

迷宮の中とは思えないほどだ。

そこでは他の人間も何人か止まっている。

おや?階段に行かないのかな?と思っていると、目の前には何やら扉のような物がある。


一体これは何だろうか?

左右に開く扉のような物があって、上の方には昔のエレベーターのように、半円形の針式の階を示すような物がついている。

どうもエレベーターっぽいが、まだ電気文明のないこの世界にそれがあるとは考えにくい。

そしてその半円形の下の部分には、なぜか「目」のような物がある。

ちょっと怖い。

あれ?今その目がちょっと動いて、こっちを見たぞ?

何だか本当に怖いな?

一体これ何なんだ?

俺は不思議に思って、エレノアに質問をしてみた。


「これは一体何?」


すると、エレノアよりも先に、そばにいたおっさんたちが笑いながら答える。


「おいおい!あんちゃん!迷宮で魔物退治するのに、昇降機も知らないのか?」

「大丈夫か?初心者用の迷宮に行った方がいいんじゃないのか?」

「え?昇降機?」


やはりこれはエレベーターの一種らしい。

しかしそうだとしたら一体動力は何なんだろうか?

まさか奴隷が綱を引っ張って動かしているんじゃないだろうな?

もし、そうだとしたら、どんだけ奴隷を使っているんだ!

驚く俺にエレノアが答える。


「これは昇降機と言って、階段の代わりに建物の中を上下に移動する物です」

「え?本当にこれはエレ・・昇降機なの?」

「はい、そうです」

「僕の故郷にも昇降機はあったけど、これは一体どうやって動いているの?」

「これは上から下までが全体で一つのジャベックで、魔力で動いています。

この昇降機の前に人が立つと、あそこにある目でジャベックが人を感知して、中の箱をその階へ移動させます。

中に入ったら自分の行く階数を言えば、そこへ移動します」


エレノアの説明に俺は驚く。

へえ~凄い!

これは、人間感知装置付き音声認識全自動エレベーターだ!

これって、21世紀の地球より文明進んでいるんじゃない?

俺も実験的な音声認識エレベーターには乗った事があるが、よくコンピューターが階数を聞き間違えて、物にならなかった。

しかしジャベックってのは、こんな使い方も出来るのか?

本当に使役物体魔法って色々出来るなあ・・・

俺が感心している間に昇降機の扉が開く。

ゾロゾロと俺たちが中に入ると、自動的に扉が閉まる。

中に入った男たちはそれぞれに階数を言う。


「三階」

「五階」

「俺たちは七階だ」

「九階へ」


最後にエレノアが階数を言うと、昇降機の中にいた全員が驚く。


「あ、あんたら、九階に行くのか?」

「ええ」

「大丈夫か?ここの九階って言ったらグリフォンの巣だぞ?」

「ああ、十階よりも手ごわいと言われているぞ?」

「大丈夫ですよ」


男たちの質問にエレノアは、いとも簡単そうに答える。

その答えに男たちは無言になる。

昇降機は自動的に動き出して、各階で止まると、自動的に扉が開く。

男たちは各階で降りていって、最後には俺とエレノアだけになる。


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