0029 オネショタで墓穴!
次の日、起きたらもう昼だった。
あれ?何だっけ?
昨日何か俺の人生で凄い事があったはずなのに思い出せない・・・一体何だっけ?
そんな俺の横から声が聞こえる。
「御目覚めになりましたか?」
その声に俺は一気に目が覚めて、ガバッ!と起き上がった。
俺の横には絶世の美女エレノアが寝ていた。
しかも一糸まとわぬ姿で・・・
「君は・・・エレノア?」
「はい、そうです。昨日よりお仕えさせていただいているエレノアです」
「・・・」
俺は一気に昨夜の事を全て思い出したが、自分の身の上に起こった事が、どうにも信じられなかった。
「どうしましたか?」
「いや、その何か夢を見ていたみたいで・・・」
「夢でも何でもありませんよ。
私はこうして御主人様の目の前にいます」
「え~と・・・」
「昨夜はお楽しみいただけましたか?」
「はい・・」
それはもう楽しんだなんてものではないです、はい。
「昨夜はお楽しみいただけたようで、私も嬉しいです」
「はあ・・・」
ぼんやりと返事をする俺にエレノアが質問をしてくる。
「何か私に不手際はございませんでしたか?」
何をおっしゃいますか!
あなたのような美人エルフに添い寝までしてもらって、そんなもんがある訳ないでしょう!
そんな事を言う奴がいたら罰が当たりますよ!
不安げに俺に感想を聞くエレノアさんに俺は必死になって答える。
「いいえ、とんでもない!
それどころか、エレノアさんのような美人とこんな経験ができて、こんなうれしい事はありません!
不手際なんてある訳ないじゃないですか!
この世の極楽ですよ!
強いて言えば、個人的にはオネショタの成分が少々足りなかったかな~って位で・・・」
うっかり口走った俺の言葉にエレノアが鋭く反応する。
「おねしょた?」
しまった!と俺は思った。
余計な事を言っちゃったよ!
この世界にオネショタはない。
いや、それに近い関係と言うか、状態は当然存在するだろうが、少なくともそんな単語は存在しないだろう。
「その・・・「おねしょた」という言葉は聞いた事がないのですが、一体どういう物なのですか?」
齢560歳にして聞いた事がございませんか?
ああ、もう、そんな単語がこちらの世界にないのは決定ですね?
ははは・・・
「いえ、その大した言葉ではないので・・・」
俺が忘れようとするが、なぜかエレノアさんは追及が厳しい。
何?このエルフ?
「いえ、今後も不手際がございますと、ご迷惑がかかりますので、ぜひその「おねしょた」なる物を教えていただきたいのですが?」
とーんでもございません!
レベル681で、齢500歳を超えるエルフ様に教えるような事ではございません!
どうかお気になさらずに!
不用意に馬鹿な事を口走った、愚かな私めをお許しください!
「いえ、本当に大した事ではないのです」
俺の答えにもエレノアは尚も食い下がってくる。
「しかし、先ほどオネショタが足りないとおっしゃいましたが、それは御主人様にとっては重要な事ではないのですか?」
うう・・・そこまで追求しますか?
いや、確かに俺の人生にとって重要な単語だけどさぁ・・・
ああ、本当に余計な事を言わなきゃよかった・・・
「ま、まあ、確かに、私個人にとっては、人生で重要かつ、根幹を揺るがす言葉ではありますが・・・」
何を言っているんだ!俺は!?
しかしエレノアは俺の言葉に、ようやく納得がいったようにうなずいて答える。
「やはり!
では、それを知らずして御主人様を真に理解する事は難しいと言わざるをえませんね?」
「まあ・・・その、そのような事が、なきにしもあらずといいましょうか・・」
だめだ!どんどん俺の答えはおかしくなっていく!
どうなってんの?これ?
俺はどうすればいい?
教えて!エロい人~!
「では、やはりそれを教えていただきませんと?
今後、御主人様の御意向に背くような事は、奴隷としてする訳にはまいりません!」
そう言って起き上がると、その場で正座をする。
いや、そんな全裸でキリッ!とした感じでまじめに言われても・・・勘弁して!
だいたいオネショタの「オネ」はお姉さんで、説明できるとしても、「ショタ」の部分をどう説明すりゃいいんだよ!
この世界で鉄人28号の正太郎は説明不可能だろ!
もはや俺にはどうしたら良いかわからない。
口は災いの元とはよく言ったものだ。
「いや、その・・・重要とは言っても、本当に私の個人的な趣味の問題でして、エレノアさんを煩わすような事ではないので・・・」
「個人的な趣味と申されましても、もちろん、それは奴隷の理解すべき部分でございます。
それを知れば、御主人様により良くお仕えする事が適うと存じますので、どうか「おねしょた」なる物をお教えください」
そう言ってベッドの上に正座したままで、深々とお辞儀をする。
なんでこの人、オネショタにこんなに食いついてくるの?
俺はもう泣きたくなってきたよ。
もう、いいや、わかったよ!
じゃあ、ちょっとだけ説明してみるよ(泣)
それで納得してもらおう(大泣)
「え~とですね・・・それはまあ、なんと言いましょうか。
つまり年上の女性と、まだ何も知らない少年の交錯する感情と言いましょうか、
はたまた若き性への発露を受け止める理解ある女性との関係と言いましょうか・・・
この問題に関しましては、世間一般からすれば、真に遺憾と思われる意見もございますが・・・」
俺は国会答弁をしているのか?!
しかしエレノアさんは俺の話をまじめに聞いている。
「なるほど、それはつまり・・・若い少年の年上女性に対する憧れのような物が根底にあると言うことですか?」
あれ?
適当に言ったのに、この人、結構核心の部分を理解しちゃったよ?
ちょっと気持ちが楽になった俺は、よせばいいのに、ついもう少し詳しい説明をし始めてしまった。
「ええ、まあそうですね・・つまり年上の女性に憧れる少年が、やさしく女性に導かれて、めくるめく体験をするというですね・・・」
こうして、俺はいつの間にか、結構詳しい説明をしてしまっていた。
しかし、あくまで俺限定のオネショタ理論で、平たく言えば、単なる願望に近い。
はっきり言って、歪んだ話で一般的な話しではない。
・・・まあ、別にいいか、他にこの世界にこんな話する奴、ほかにいないんだし・・・
俺が一通り話し終わった所で、エレノアは得心がいったようにうなずきながら話す。
「・・・なるほど、つまりそういった年上女性に導かれるような少年の立場が、御主人様の信条であり、御希望というわけですね?」
しまったあぁぁっ!!
あまり熱心に聞いてくるから、つい、うっかり細かい説明までしたら、結構この人オネショタを理解しちゃったよ!
うわわあ~恥ずかしいなあ!
どうしよう?
でもここまで説明しちゃったら正直に答えるしかないよな?
「え?・・まあ、そういうことかな?」
その俺の返事に対して、エレノアは自信ありげに胸に手を当てて、笑顔で答える。
「お任せください、私、そういった感覚はかなり理解できると思います。
これからは御主人様にはベッドの上ではそのように接して行きたいと思います」
はっ?
今、何て言った?
このエロフ?
何かとんでもない事を口走っていなかったか?
「え?あの?それは一体・・?」
訳がわからずに、オロオロとする俺の言葉に対して、エレノアがクスッと笑って答える。
くっ!何?
この突然、何でもわかっているお姉さま然とした笑い方?
「だからあなたの事はわかったと言ったでしょう?坊や?」
何これ?
このエロフ、さっきと雰囲気が全然違うんですけど?
「昨日はあなたの事をわかってあげられなくてごめんなさい。
でも、もう大丈夫よ?
今度はお姉さんがちゃんと満足させてあげるから」
くっ!何だ?
この圧倒的なまでのオネショタ感は!
違う!これは先ほどまでのエロフではない!
これは・・・エロフを超えた何かだ!
そう!これはエロフを超えた超エロフ!
スーパー御姉様エロフだ!
「い、いや、あの・・・」
その雰囲気にドギマギとする俺に、スーパー御姉様エロフはやさしく話す。
「大丈夫、全部お姉さんに任せてね?」
そう言いながら微笑むエレノアは、もう完全に俺を導くお姉さんにしか見えなくなった。
オネショタ信者の俺が、どうしてこのお姉さんに逆らえようか?
俺はまるで催眠術にかかったかのように素直に答えた。
「は、はい・・お姉さん、お願いします」
その後の俺はもはや彼女の言いなりだった。
エレノア御姉様にやさしく導いてもらい、エレノア御姉様の言う通りに動き、全世界のオネショタ小僧が夢見る、経験を味わったのだ。
翌日、また起きたのは昼近くだった。
ハッと気がついて起きた俺の横では、エレノアが優しく微笑んで、横たわっている。
もちろん全裸だ!
「おはよう、昨夜はどうだった?」
朝・・・いや、昼からこのエロフは御姉様姿勢を僅かにも崩さない。
くそう、このBBAエロフめ!
齢500歳を超えたBBAのくせに、この爽やかなお姉さんぶりはどうだ?
くやしい、でも感じちゃう!ビクッ!ビクッ!
そう・・・騙されたくはないが、この笑顔には騙されてしまう。
ああっ!もう演技でもなんでもいいや!
そもそも俺はオネショタ好きなせいもあって、BBAも結構好きだからな!
お姉さんBBAも完全に守備範囲です、はい。
ましてやこんなに巨乳美人ならなおさらだ。
「えっと・・凄く良かったです」
「満足できた?」
「満足どころか、こんな事を経験できるなんて夢にも思っていませんでした。
きっと1万年生きていても、こんな体験はできないと思います。
ありがとうございます」
俺は素直に感謝の意を表し、礼を述べた。
そう、このスーパー御姉様エロフは俺の想像を超えた御姉様だったのだ。
昨夜の経験は何十年もオネショタを夢見ていた俺の願望を超えるほどの御姉様っぷりだった。
今思い出しても全身が震えだすほどだ。
あんな御姉様が例え異世界といえど、存在するのが信じられないほどだ!
とてもあれを演技でしていたとは思えない。
ひょっとしたらこの人、アレが素なのだろうか?
いやいや!そんな訳ないだろ?
これはアレだ!そういう商売のお姉さんが、常連を捕まえるための手段だ!
俺は騙されないぞ!
なんと言っても相手は若いお姉様に見えても、実際には齢500歳を超えた百戦錬磨のエロフだ!
たかだか前世で四十数年生きた程度の俺では相手にとって、まさに小僧も同然!
しかも女っ気無しだった俺では対抗する術もない・・・
いやいやいや!ここは踏ん張らねば!
ここで騙されて流されたら俺の人生詰むぞ!
・・・ああ、でもやっぱり騙されていたい・・・
うん、もう騙されてもいいかもしんない・・・
俺がそんな事を考えていると、このスーパー御姉様エロフは、その御姉様っぷりをいささかも崩さずに話し続ける。
「ふふっ、君は大げさね?
でも、それなら良かったわ。
私で良ければいつでもお相手してあげるわよ?
これからはいつでも私の事を好きにしていいのよ?
今すぐにでもね?」
この言葉に俺が抗えようか?
いや、逆らえない!(反語)
俺は起き抜けにもかかわらず、すぐさまエレノアお姉さんに抱きついた。
「エレノア~!」
「ふふ、私の体に坊やが満足してくれたみたいで、私もうれしいわ」
結局、俺はスーパー御姉様エロフのエレノア様には逆らえず、ただひたすらエレノア御姉様に抱きついたのだった。
うん、多分俺の転生人生、これで詰んだわ。
でもそれでもいいや。