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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0282 シノブの科学知識

 ジーモンさんが一つの品物を指差して俺に尋ねる。


「ではこれは何かわかるか?」


今度はパラボラアンテナのような形をしたミスリル製のよく磨かれた凹面鏡で、焦点の部分には物を置けるような感じになっていた。

俺はおそらくこれは太陽炉、すなわちラディ炉であろうと見当をつけた。


「これは・・・もしやラディ炉では?」

「ラディろ?それは一体何の事かの?」

「はあ、私はこれは日の光りを使って火をつける道具かと思いましたので・・・」


俺の答えにまたもや3人が驚く。


「なにっ?」

「何じゃと?」

「ホウジョウ殿は何故そう思ったのじゃ?」

「いえ、この凹面鏡おうめんきょうの具合がちょうど日の光りを集めるのに向いておりますし、この焦点の部分に何か物を置くような台がございますので・・・」

「その通りじゃ!」

「こいつは驚いた!」

「こんなガラクタの使い道を当てるとはの!」

「しかもラディ炉などというちゃんとした名前があったとは驚きじゃわい!」


ひとしきり感心すると、今度はガスパールさんがいそいそと何かを持ってくる。


「ではこれが何だかわかるかの?」


ガスパールさんが持ってきたそれは透明な三角柱だった。

これはあきらかに三稜鏡さんりょうきょうすなわちプリズムだ。


「これは三稜鏡プリズムですね?」

「プリズム?そんな言葉は知らないが、ではどういう物かわかるのか?」

「はい、普通はこうして使うのですが・・」


俺はそう言って、渡されたプリズムを持って窓際に行くと、太陽光つまりラディ光を当てて、壁に虹を作ってみせる。

ここの恒星系の主星であるラディは、太陽とほとんど同じ恒星なので、ほぼ太陽光線を分解した場合と同じ虹が綺麗に壁に出現する。


「こんな具合に光を分解してみせる道具のはずですが・・?」


俺がいきなり虹を出して見せた三稜鏡プリズムの説明に3人は大興奮する。


「なんと!」

「おい!これはもう間違いないぞ!」

「待て待て!

それならば最後にもう一つ、あれを見せてみよう!」


次に総督閣下が俺に見せたものは、ちょうど俺の背の高さほどの鉄柱のあちこちに横枝が張り出して、何かがぶら下げてある物体だった。


「ではこれは何だかわかるかの?

少々大きいが・・?」


それはクリスマスツリーのような感じの人間ほどの大きさがある置物で、あちこちの枝に当たる部分に、大小のかねがついていた。

かねにはそれぞれ叩くつちと一緒に紐のような物がついていて、それが下の方に伸びて歯車のような構造の物と繋がっている。

一方で幹本体には、かなり重い金属製のおもりがぶら下がっている。

このおもりの重さで歯車を回し、かねを叩く仕組みになっているようだ。

どうやらこれは地球の中世ヨーロッパで流行した組み鐘カリヨンの一種らしい。

それもおもりを動力としてかねを鳴らす自動装置的な物だ。

21世紀日本でも、たまに駅前の時計の場所などで見かける代物だ。

俺はそう判断して言ってみた。


「これは組み鐘カリヨン、それも自動演奏組み鐘カリヨンなのではないですか?」


その俺の答えに三人が驚く。

興奮して3人が話し合う。


「おい、これは本物じゃぞ!もう間違いない!」

「ああ、今までのは直感的に分かったとしても、これは構造を理解しなければわからないはずじゃ!

しかもただの組み鐘カリヨンではなく、自動演奏という部分まで当てよった!」

「そうじゃな」


どうやらこの老人連は俺の科学知識的な物を試していたようだ。

三人が俺にすまなそうに話す。


「いやはやホウジョウ殿、試すような事をして悪かったの」

「まさか貴殿のような若者が、ここまでこのようなカラクリに詳しいとは思わなかったものでの」

「それにしても驚きじゃわい」


もちろん俺はそんな事を気にしてもいない。

それよりもこんな珍しい物を見れて嬉しいし、興奮している。


「いえ、私もこういった物が好きですから。

このように珍しい物が見れて、とても嬉しいです。

ところでこの組み鐘カリヨンの音を是非聞いてみたいのですが、動かしていただいてもよろしいですか?」


実際にこの組み鐘カリヨンが音を出して動いている所を見てみたい俺は、そう言って総督閣下に頼んだ。

しかし俺がそう言うと、途端に三人が曇った顔をする。


「うむ・・その音色を聞かしてやりたいのは山々なのじゃがのう・・・」

「残念ながらこれは壊れておって、もはや音が鳴らないのじゃ」

「え?そうなのですか?」

「ああ、それを作成した人間はもう亡くなってしまったのでな。

しかもそのカラクリ仕掛けは結構複雑なので、直せる人間がおらぬのじゃ」

「わしらが下手にいじくっても、余計に壊すだけじゃしな」


どうやらこの組み鐘カリヨンは壊れてしまっているらしい。

それはガッカリだ、

しかし俺が見た限りではそれほど壊れているようには見えない。

俺ならば修理できそうだ。


「なるほど、私が・・・少々動かしてみてもよろしいですか?

これ以上壊さないようにしますので」


その俺の申し出に総督閣下は少々渋って答える。


「うむ?まあ、注意してくれれば構わないが?」

「何を言っとる!

ミヒャエル、それはもう壊れて使えなくなっとるんじゃ!

これ以上多少壊れたとて構わんわい」

「じゃがのう・・・」

「構わん!ホウジョウ殿、わしらが許す!

気のすむまで動かしてみろ!」

「おい、お主ら、人の物だと思ってだな・・・」

「黙っておれ!ミヒャエル!

御主とて、この若者の実力の片鱗を見たであろう!

ささっ、ホウジョウ殿、遠慮なく動かしてみるが良い!

思う存分にな!」

「わかりました」


渋る総督閣下を二人が強引に抑えて俺を促す。

俺はしばし、鐘の線を辿ったりして構造を見てみた。

総督閣下を初めとして二人の友人も、固唾を飲んで俺の動きを見ている。

俺のお供である、エレノアやシルビアたちもだ。


俺は元々工学科の人間で、この程度の機械の構造ならだいたい分かる。

ましてや古い機械仕掛け大好き人間だ。

組み鐘カリヨンというのは、オルゴールの前身みたいな物で、これは錘を動力源として動いているので、構造的には昔の鳩時計とオルゴールを合わせたような感じだ。

確かにこの時代の物としては、いくつもの歯車や紐が組み合わさっていて、かなり複雑だが、構造を見た感じでは何とか直せそうだ。

そして俺はどうやら壊れているらしい部分を見つけた。


「ああ、ここかな?」


俺がその部分を直してから錘を巻き上げて、組み鐘カリヨンを動かしてみる。

するとリーン・コーン・カーン・・・と組み鐘カリヨンは鳴り始めた。


「よし!」


うん、思った通り、中々良い音色だ。

ちゃんと直せたようなので、俺は満足げにうなずく。

俺は確認のために総督閣下に尋ねる。


「これで元通りになっていますか?」


俺が修理して無事に組み鐘カリヨンが鳴り始めると、総督閣下たちはビックリ仰天したようだ。


「ああ、間違いなく、元通りに直っておる!」

「確かに元通りじゃわい!」

「おい!これはもう絶対に間違いないぞ!」

「ああ、そうじゃな!」

「これは驚きじゃわい!」


総督閣下たちは興奮して口々に騒ぐ。


「いやはやホウジョウ殿には驚いたわい!」

「まさかこれの正体を見破ったばかりか、壊れていたこれを直してしまうとはの!」

「うむ、まことに得がたい人材じゃ!」

「余も久しぶりにこの組み鐘カリヨンの音を聞いたわい!」

「全くよくホウジョウ殿はこれを直せたものよのう!」


驚く面々に俺は笑いながら説明をする。


「いえ、たまたま私はこういった仕掛けに詳しかったものですから・・・」

「何を謙遜しておるか!

余は驚いたわい!」

「うむ、これはたまたまや偶然などで直せるような代物ではない!」

「そうじゃの、ホウジョウ殿の広範な知識と、確かな技術に裏づけされた結果なのは明らかじゃ!」

「さよう、全く驚きの知識と技術じゃ!」


どうやらこの自動演奏組み鐘カリヨンを直した事で、総督閣下たちの俺の評価はかなり上がったらしい。

一方でそれを一緒に見ていたエレノアたちも驚いている。


「私も驚きました。

お話には伺っておりましたが、これほど御主人様がからくり仕掛けにお強いとは・・・」

「ええ、素晴らしいです!」

「こんな複雑な物を・・・」

「本当ですニャ!

御主人様は凄いですニャ!」

「確かにこれは驚きましたな!

とても私にはこんな事は出来ません!」


魔法学士で魔法協会本部長である、ゼルバトロスさんですら驚いている。

いや、ゼル先輩!あなたの方が凄いよ?

俺はあなたが作ったみたいな、あんな複雑な昇降機ジャベックなんて、まだ作れないもん!

しかし総督閣下たちも改めて感心したように話す。


「しかし、本当にホウジョウ殿はこういったカラクリ物が好きなようだのう」

「そうじゃのう」

「わしら以外にこれほどこの手の物に興味を持ち、詳しい者には初めて出会ったわい」

「おい、失礼な事を言うな!

余の予想が間違っていなければ、おそらくホウジョウ殿は我らよりこの手の物に詳しいぞ!」

「然り!この自動組み鐘カリヨンを直した一事でもそれは知れる」

「うむ、全くその通りじゃわい。

これほどの若者で、どれほどの知識と技量があるのか底知れぬ物を感じるわい」


それを聞いて俺は三人に土産の事を話した。


「もし総督閣下がこういった物を御好きなのでしたら、私の持ってきた物も喜ばれるのではないかと思われます」


その俺の言葉を聞いて、総督閣下たち三人が、顔を見合わせて話し始める。


「ほほう、確かにこれほどの知識と技量を持つホウジョウ殿の持ってきた物と言うと興味が湧くの」

「まったくじゃ!」

「わしも是非見せていただきたい」


ここに至って、総督閣下たちは俺の土産に俄然興味が湧いてきた様子だ。

先ほど渡した時は全くの無関心だったが、今度は興味津々となってきたようだ。


「ではちょうど場所も良さそうなので、ここで土産物の説明をしたいと思いますので、プリン以外の物をここに持ってきていただいてよろしいですか?」

「うむ、そうしよう。

おい、ホウジョウ殿の土産物をここへ」


総督閣下の指示により、俺が先ほど渡した箱が持ってこられて中身を出される。

俺の見た所、この三人は相当ワクワクとして興奮し始めたようだ。


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