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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0278 ロナバール総督

 魔法協会本部長たるゼルバトロスさんが俺たちを呼んでいるらしい。

ロナバールの魔法協会の一番お偉いさんで、兄弟子たる者が呼んでいるならば、行かねばなるまい。

俺はエレノアたちを連れて会いに行った。

俺たちが到着して挨拶をすると、ゼルバトロスさんは話を始めた。


「いやいや、少々困った事になりましてね」

「どうしたのですか?」

「実は総督閣下がシノブさんたちに御会いしたがっておりましてね」

「総督閣下?」

「ええ、立場上、このロナバールを治めている方です」

「ロナバールを?」


一応その存在は俺も知っている。

確かゴーレム大会の時に開会の祝辞を述べたのを覚えている。

見た目は人の良さそうな老人だった。

しかし、当然の事ながら、俺にとっては雲の上のような人だ。

今までも何の関わりもない。

そんな人がなぜ自分に会いたがるのだろうか?


「ええ、このロナバールは一応市議会があって、そこで合議制を取って運営されているのですが、その上に総督閣下がいらっしゃり、その方がここを統括なさっているのですよ」

「はあ・・・」


その話は俺も聞いた事がある。

しかし俺とは別に何の関係もないだろう。


「御存知の通り、このロナバールはアムダルン帝国の旧帝都で、帝国でも2番目に大きな都市ですからね。

当然の事ながら、その重要性は大きいです。

そこで歴代の総督閣下は王族で信用のおける方がなるのが慣習なのですよ。

現在の総督閣下は現皇帝陛下の弟君でしてね。

その方があちこちからあなたの事を聞き及んで、どうしても会ってみたいと言っているのですよ」

「私に?どうしてですか?」


王族で総督閣下ともあろう人が、たかだか一介の魔法使いに会いたがるとは驚きだ。

その俺の疑問にコールドウェル本部長は苦笑しながら答える。


「それはまあ、ある意味私と同じ理由ではありますが、はっきり言ってしまえば、興味本位と言って良いでしょう」

「興味本位?」

「ええ、何しろ、シノブさんはまだ年若いにも関わらず、レベルは300を越えて、グリーンリーフ先生のようなエルフの奴隷を所有しているだけでなく、シルビア君やミルキィさんのような美女を所有している訳です。

ましてやケット・シーまで一緒に住んでいるとなれば、興味を持って当然です。

しかもブローネ党を片付け、先日はあのマルコキアスまで討伐したのですからね。

これでは総督閣下でなくとも興味を持つでしょう。

そして総督閣下は人一倍、好奇心が旺盛な方でしてね」

「好奇心が?」

「ええ、決して御人柄は悪い方ではないのですが、その何にでも興味を持つ姿勢が少々変わった所でしてね。

それでどうしてもあなたに会ってみたいと言われるのですよ」

「私が一人で会えば良いのですか?」

「いえ、おそらくグリーンリーフ先生やシルビア君、ミルキィさんも御同道される事を望むでしょう。

それにペロンもですな」


エレノアやペロンまで?

俺は嫌な予感がした。


「しかし会ったらエレノアやペロンを欲しがりませんか?」


エルフやケット・シーは珍しい。

ましてやエレノアのような美女は稀だ。

グレイモンの例もある。

君主が臣下の物を欲しがって強奪する例など地球の歴史にはいくらでもあった。

俺はそれを恐れた。

しかしゼルバトロスさんは慌ててそれを否定する。


「あ、いえいえ、そのような事はまずありません。

そういった点では礼儀を心得ている方で、人の物を欲しがったり、無茶な要望を言ったりする方ではありませんので、その点は御安心ください。

人柄としては非常に温和な方で、とても人が良いと言って間違いないお方なのです。

それは私が保証いたします。

ただ、先ほども説明した通り、並外れて好奇心は旺盛なので、色々と変わった質問や、礼を失した度を越えた話はされるかも知れません。

そこが問題と言えば、問題なのですが・・・」


どうやら話を聞いた限りでは、人の良い奇人変人のような感じだ。


「そんなに好奇心が強いのですか?」

「ええ、総督閣下は変わった事や、珍しい魔法道具、からくり仕掛けの道具などに非常に強い興味を示されるのです。

特に魔法を使わない、ゼンマイや歯車仕掛けの品物がお好きですね。

何しろ御自分の御屋敷に、わざわざそういった物を陳列する部屋を持っているほどでして、それを人に披露するのも大好きなのです。

シノブさんも、最初におそらくはそこに案内されると思いますよ」

「へえ・・・」


魔法道具やからくり仕掛けの道具か?

それは俺も興味がある。

俺は前世の時から江戸時代のからくり仕掛けやら、古い機械などが大好きな人間なので、そのような物があれば、常々見てみたいと思っていた。

前世でもその手の博物館にはよく行って、そういった機械を見たものだ。

まだこの世界の複雑な道具などは見た事はないが、エレノアやシルビアに聞いた所によると、そこそこそんな物もあるらしい。

だが、そういった物は、この世界では珍しく高価な品物なので、まずその辺では売っていない。

それこそ下手な魔法道具よりも高価だ。

だからそういった物をたくさん持っている人物ならば、是非会ってそれを見てみたい。

しかし、下手に興味を示しても薮蛇かも知れない。

俺も珍しい道具とやらに興味は湧くが、出来れば会わない方が良さそうだ。


「それはやはり要望とは言っても、強制に近いのでしょうか?

断るわけには行かないのでしょうか?」


相手がこの町の総督ともなれば、この町の一番の権力者だ。

そんな人物の要望を断るのは難しいだろうが、一応俺は聞いてみた。

しかし俺のその質問に、コールドウェル本部長は慌てて答える。


「あ、いえいえ、決して強制などという事はありません。

もちろん、どうしてもとあらば断りもできますが、出来れば私としては御会いしていただきたいのですよ」

「なぜですか?」

「先ほども言った通り、現総督閣下は皇帝陛下の弟君でしてね。

ここだけの話ですが、正直お飾りのような物なのです。

それで毎日暇をもてあましておりましてね、そう言った意味では可哀想な方なのですよ。

そこで言い方は悪いですが、今回、シノブさんは退屈しのぎの相手として選ばれた訳です。

興味が湧いたと言っても一度会えば満足するでしょうし、おそらくそれで終わりでしょう。

実は先日、組合のグレゴール氏と一緒に総督閣下と御会いする機会がありましてね。

その席で偶然あなたの話が出たのですよ。

総督閣下は以前からあなたのうわさは聞いていたらしく、いたく興味を示されて、あなたに是非とも会ってみたいとおっしゃられたのです。

それで私がグリーンリーフ先生の弟子でもあり、先日までシルビア君の上司でもありましたからね、橋渡しをするようにと仰せつかったのですよ。

悪い方ではないのは保証いたしますし、お望みとあらば、私も同行して、場合によっては諌めもしますので、どうでしょう?」

「なるほど・・・どう思う?エレノア?シルビア?」


俺の質問にシルビアとエレノアが答える。


「そうですね。

私も総督閣下の悪い噂は聞いた事がございません。

少々変わった方とは聞いておりますが、のんびり屋でおとなしい方だと伺っております」

「私もそのように聞き及んでおります」


二人の意見はゼルバトロスさんと大差はないようだ。


「う~ん・・・」

「いかがでしょう?」


ここで「はい」とか答えたら、このまますぐに会いに連れて行かれそうだ。

そうしたら一体どういう目に会うかわからない。

俺としては慎重を期したいし、少々考えてから回答したい。


「申し訳ありませんが、家に帰って少々考えさせていただいてもよろしいでしょうか?」

「それは構いません。

 それほど急ぎの事ではありませんので、今週中にでも答えをいただければ結構です」

「わかりました。

では家に帰って検討させていただきます」

「はい、良きお返事を期待しております」


俺はゼルバトロスさんに挨拶をすると、家路にと着いた。

家に帰る途中、俺はラピーダに命令した。


「ラピーダ、ちょっと聞きたい事があるから、デフォードを呼んで来てくれ」

「かしこまりました」


家に帰った俺はアルフレッドとキンバリーにも経緯を話して、意見を聞いてみた。


「そういった訳なんだが、どう思う?」

「さようですな、私も現総督閣下の悪い話は聞いた事がございません。

強いて言えば、政治には興味を持たず、のんびりとした方だという程度で」

「私もです」


やはりエレノアたちと似たり寄ったりの意見か?

どうも総督閣下とやらは、確かに悪い人ではないようだ。

しかし一抹の不安はある。

俺としてはせっかくこのロナバールに住みなれて来たのに、町一番の実力者と問題は起こしたくはないし、かと言ってノコノコと会いに行って、エレノアやペロンを取られるのも避けたい。

総督閣下とやらが二人をその場で所望される可能性もゼロではないのだし、そうなったらそれを拒否するのは不可能に近いだろう。

最悪それこそ、この住みなれた町を出て行くか、総督閣下と戦う羽目にでもなってしまうかも知れないが、それは両方ともごめんこうむりたい。

これは下手な判断をすると、大問題に発展してしまいそうだ。

どうするべきだろうか?

会うべきか?会わざるべきか?・・・それが問題だ!



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