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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0181 三重水晶階位(トリプルクリスタルランク)

 グレゴールさんの話に俺が返事をする。


「何でしょう?」

「実はちょうどガルドとラピーダを連れていることですし、この間の続きをしたいのですが?」


この間の続き?

つまりガルドたちにグリフォンよりも上の魔物の相手をさせてみたいと言う事か?


「と言うと、ガルーダの相手をさせたいのですか?」

「似たような物ですが、フェンリルです」

「フェンリル!?」


フェンリルと聞いて俺も驚いた!

フェンリルは狼型の魔物だが巨大で強力な吹雪の息を吐く。

たまに雷も吐くはずだ。

レベルも確か230で、ガルーダよりも上の筈だ。

さすがにそんな物の相手をさせた事がないので、俺がエレノアに尋ねる。


「大丈夫かな?」

「ええ、もちろんです。

 この二人には私が知っている魔物の情報は全て組み込んであります。

二人とも相手が初見でも、全く未知の魔物でもない限り、レベル250未満の魔物に負ける事はまずありません。

フェンリルの情報も、もちろん入っております」


エレノアが保証するので、俺もうなずいて答える。


「はい、構いません」

「では、お願いします。

準備はよろしいですか?」

「大丈夫です。いつでもどうぞ。

ガルド、ラピーダ、聞いた通りだ。

順番にフェンリルの相手をしてみろ」


俺が命令を出すとガルドが前にでる。


「承知いたしました」

「では、行きます」


グレゴールさんの合図と共にフェンリルが出てくる。

白と灰色の混ざった毛並みの大きな狼だ。

フェンリルはガルドに向かって突進して来ると、いきなり猛吹雪の息を吐く。

ガルドはそれを盾で受け止めながら重々しく進む。

そして体勢を低くしてフェンリルに近づくと剣を振るい、まずはその前足をふっとばす!

フェンリルが驚き、後ろ足で立ち上がった所で、ガルドは相手の首を横撫でにする。

フェンリルの首が地面に転がり、立っていた胴体は崩れ落ちる。

ガルドの勝利だ。


「フェンリルをこんなに簡単に?!」

「驚きました・・・」


あまりにもあっさりとガルドがフェンリルを倒し、シャルルとポリーナは驚くが、エレノアは無言で当然と言った表情だ。


「ではもう一頭」


続いてラピーダだ。

ラピーダはフェンリルが突進して来ると同時に自らもフェンリルに向かって駆け出す。

そしてすれ違いざまに剣を抜くと、フェンリルの横を駆け抜けて、後方でその足を止める。

その後、こちらを向き、スタスタと歩いてくる。

フェンリルはそのまま走っていたが、数歩動くと全身から血を噴出し、そのままバタリ!と倒れて動かなくなる。

俺が見た限り、ラピーダはすれ違いざまに、最低でも4・5回は切り刻んでいる。

ラピーダの勝利だ。


こうしてラピーダも難なくフェンリルを倒す。

さすが二人ともエレノア特製のジャベックだ。

他の者が作ったジャベックでは、同じレベル300でもこうは行かないだろう。

もっともレベル300のジャベックが作れる術者がまずいないが・・・

フェンリルを倒した二人に感心してグレゴールさんが俺に話し始める。


「さすがですね。

これでこの2体が組合初の「三重水晶階位トリプルクリスタルランク」の登録資格を持つジャベックに決定です」

「トリプルクリスタルランク?

何ですか?それは?」


初めて聞く言葉に、俺はグレゴールさんに質問した。


「実は以前お話した通り、この2体に限らず、最近はレベルの高いジャベックがチラホラと登録され始めましてね。

特にこの間のゴーレム大会以降に増えたのです」


俺もその話にうなずいた。


「ああ、ノーザンシティが高レベルのジャベックを売り出したからですね?」


サイラスさんやザイドリックさんが購入したジャベックもその内の一つだ。

あれ以外にもレベル100や、レベル80程度のジャベックも売りに出たらしい。


「ええ、そこで組合の中でも、さすがにレベル50のジャベックと、レベル150や300のジャベックを全く同じ扱いにするのもどうかと議論があったのですよ。

しかしいくら高性能でも、アイザックならともかく、ジャベックを中級者や上級者、ましてや特級者扱いにする訳にもいかず、妥協案として新しくジャベックのみの等級を作る事にしたのです。

つまり人間とは全く別物扱いをするという事ですね。

その結果、「準陶器等級セミ・ポッタークラス」を「黒鉄等級アイアンクラス」に、「準青銅等級セミ・ブロンズクラス」を「水晶等級クリスタルクラス」という名称に変更する事になりました」

「へえ・・・「黒鉄等級アイアンクラス」と「水晶等級クリスタルクラス」ですか?」

「ええ、今まで俗称だった呼び方を、今度はジャベック専用の正式名称として採用する事になったのです」

「なるほど」


確かに準なんたらなどというよりも、その方が分かり易く、しっくりくる気がする。


「そして「水晶等級クリスタルクラス」は3段階に分かれる事になりました」

「3段階に?」

「ええ、今まで通り、レベル50以上で傀儡の騎士を倒した者を「水晶階位クリスタルランク」もしくは「第一水晶階位シングルクリスタルランク」という名称に、レベル100以上で、キマイラを倒した者を「二重水晶階位ダブルクリスタルランク」、そしてレベル250以上で、フェンリルを倒した者を「三重水晶階位トリプルクリスタルランク」として登録する事になったのです」

「へえ・・・「三重水晶階位トリプルクリスタルランク」ですか?」

「はい、この2体はその「三重水晶階位トリプルクリスタルランク」に初めて登録可能な2体となりました。

組合としても新しい名称の宣伝のためにも、是非この2体は「三重水晶階位トリプルクリスタルランク」として登録をしていただきたいのですが、いかがでしょうか?」


ほほう?

組合初の登録者か?

それは中々格好良い。


「なるほど、それは名誉な事ですね。

こちらとしてもそれで登録をお願いします。

しかし、他にも新しい階位ランクの登録者がいるのですか?」


俺はこの2体以外にそんなにレベルの高いジャベックがいるのかと思って聞いてみた。


「さすがに「三重水晶階位トリプルクリスタルランク」はおりませんが、「二重水晶階位ダブルクリスタルランク」はすでに申し込みがあって、早速登録されたジャベックが2体おりますよ」

「へえ?差し支えなければ、誰のジャベックだか教えていただけますか?」


俺はうちのガルドとラピーダ以外に、単独でキマイラを倒せるジャベックと聞いて興味を持った。

そのジャベックは相当強いに違いない。


「伯爵仮面のジャベック「伯爵仮面2号」と、サイラス氏のジャベック「リース」です」

「え?」


俺は思わずエレノアと顔を見合わせた。

サイラスさんの持っているジャベックは、例のノーザンシティ製のレベル150の魔戦士型ジャベックだろう。

確かにあれは単体でキマイラを倒すのが売りの一つだったし、それは可能だろう。

だがテレーゼはレベル100で、どちらかと言えば、魔道士型のジャベックだ。

それに対してキマイラはレベル120だ。

さすがのテレーゼでもキマイラ相手はかなりきついはずだ。

エレノアもそう思ったのか、驚いた顔をしている。


《詳しい事を聞いてみたいけど、エレノアが作った事を話しても大丈夫かな?》

《ええ、この方なら話しても内密にしてくださるでしょう》


俺はエレノアと魔法念話で素早く話すと、グレゴールさんに話す。


「実は内密にしていただきたいのですが、伯爵仮面2号はテレーゼと言って、エレノアが作ったジャベックなのです。

ある事情があって、エレノアが作成してグレイモン伯爵に渡したのです。

しかし確かにテレーゼは高性能ですが、キマイラ相手には難しいと思うのですが?」


俺の説明にエレノアも補足する。


「ええ、確かに戦闘タロスなどを大量に出せば、何とか勝てるでしょうが、おそらく15分以上はかかるはずです」


今の昇級試験規則であれば、おそらくジャベックも人間と同じ条件だろう。

それならば、時間が15分以上かかっては昇級は認められないはずだ。

その俺たちの質問にグレゴールさんがうなずいて答える。


「やはりそうでしたか?

おっしゃる通りです。

テレーゼはかなり特殊な戦い方をしてキマイラに勝ちました」


俺はその方法に興味が湧いたので聞いてみた。


「どのような?」

「まずテレーゼはアダマンタイトの盾を3つ、左右の腕と背中に、そしてアレナックの剣を4本、腰に装備して戦いに挑みました」

「盾を3つに剣を4つ?!」

「ええ、そして戦いが始まると、まずはすぐさま四本腕の人型戦闘タロスを100体ほども出してキマイラと戦わせました。

このタロスは左右の腰に5本ずつ、計10本の非常に小型の短剣を身につけていました。

そのタロスでとりあえず時間稼ぎをすると、次にテレーゼは剣と盾をその場で捨てました」

「捨てた?せっかく用意したのにですか?」

「ええ、そして今度は防御力重視の戦闘タロスを30体、攻撃力重視の戦闘タロスを30体ほど、それぞれ作成しました。

こちらは双方とも通常の人型です。

そのタロスたちは、それぞれすぐさま落ちている剣と盾を拾うと、盾組の三体はキマイラのそれぞれの頭からの攻撃を防ぎ、剣組の四体はキマイラの死角から襲い掛かりました。

残りの防御組はテレーゼの防衛につき、攻撃組は各自手持ちの武器でキマイラに襲い掛かりました。

何しろこれだけ数がいれば、必ず相手に死角は出来ますからね。

攻撃組は無理をせずに、そこを巧妙につきました」

「なるほど」


グレイモンらしい、金持ちならではの戦法だ。

アダマンタイトの盾もアレナックの剣も金額は高い。

それを3つや4つも用意するとなれば、金もかかるだろうが、それぞれをタロスに使わせるならば効率も良い。

確かに金に余裕があるならば、その方法が良さそうだ。

しかしそれだけでは、とても15分でキマイラを倒せるとは思えない。

俺がそう考えていると、グレゴールさんが先を説明する。


「そしてテレーゼは戦闘から離れて、防御組に守られながら後方支援に徹し、攻撃組には2倍強化魔法を、防御組には防御魔法をかけました。

そしてどれかがキマイラにやられると、すぐさま他のタロスが盾や剣を拾って、攻撃と防御を引き受けました。

そして最初に出した四本腕の戦闘タロスの残りたちはキマイラの体に取りつき、その一部は、隙あらば自らをキマイラの口に突っ込みました」

「え?キマイラの口に?」


自ら敵の口の中に入るという意表をついた攻撃方法に俺は驚いた。

確かにグリフォンの口に自ら腕を突っ込んだ人は見た事はあるが・・・


「ええ、キマイラが火炎や雷撃を吐こうとして口を開くと、すかさずにその口の中へと自らを頭から突っ込みました。

そのまま口の中へ強引に入ってキマイラの口の中を短剣で攻撃したのです。

口の中に異物が入っている間はキマイラも炎や吹雪の息を吐けないので、キマイラも動揺した様子でした。

残りのタロスたちはキマイラの足や各所に二本の腕でしがみつき、残りの二本の腕で、用意していた十本の短剣を容赦なく次々と突き立てていきました。

もちろんキマイラはそれらのタロスを噛み砕き、踏み潰して倒していきましたが、何しろ数が多いです。

しかもタロスが消滅すれば、もちろんその一部分だった突き刺さった短剣も消滅しますが、刺した傷はそのままです。

そこへまた次のタロスがしがみついて短剣で刺す訳ですから、傷は全身に増える一方です。

そしてその間も、もちろん剣の戦闘タロスは死角から攻撃をしてきますし、防御タロスはキマイラの攻撃を阻止します。

この意表を突いた壮絶なタロスの攻撃の効果は抜群で、8割近いタロスはキマイラに殲滅されましたが、その結果、3分ほどでキマイラを倒す事が出来たのです」

「なるほど、それは凄いですね」


テレーゼはキマイラよりも20もレベルが下だ。

ましてやそのタロスともなれば、キマイラよりもはるかにレベルは下だろう。

いくら数が多いとはいえ、そのレベルの集団でキマイラをそんな短時間で倒すとは驚きだ。

案の定、グレゴールさんもその部分を指摘する。


「ええ、素晴らしい連携動作で、見ている私も感心しました。

 レベル100のジャベックの出すタロスですから、レベルは65から70程度で、キマイラよりも50以上も低く、本来でしたら、いくら数がいても勝つのはかなり難しいでしょう。

何しろこれほどレベル差があれば、キマイラの攻撃がかすっただけでも終わりですからね。

事実、ほとんどのタロスは瞬殺でした。

それこそよほどの数がいて、時間をかければ何とかなるでしょうが、これほど短時間で倒せたのは驚きです。

これは非常に特殊な戦い方の勝利と言えるでしょう。

これは応用も効きそうなので、今度グレイモン伯爵に頼んで、講師としてうちの訓練学校でも教えていただきたいと思っているほどです」

「そうですね」


確かにそれほどの特殊な戦い方をジャベックが思いつくはずがない。

これは明らかに「対キマイラ戦法」としてグレイモンが考えてテレーゼに実行させたのだろう。

しかもテレーゼなら時間をかければ単独でもキマイラも倒せたはずなのに、確実に15分以内に倒せるような戦法を考えて倒したとなると、よほどテレーゼを昇級させたかったのだろう。

そしてこんな戦い方は間違いなく以前のグレイモンでは思いつかなかっただろう。

数や金に飽かした方法はともかく、相手を少しでも傷つけて、後の者に続かせるような攻撃方法を昔のグレイモンが思いつくとは思えない。

やはりグレイモンはテレーゼを手に入れた事をきっかけに随分と性格が変わったようだ。

俺が感心してそんな事を考えていると、グレゴールさんが話を進める。


「それでは皆さんの登録証を作りましょう」

「あ、ちょっと待ってください」

「何でしょう?」

「実はまだ等級審査を受けさせたい者がいるので、できればミノタウロスを相手にさせていただきたいのですが?」


その俺の言葉にグレゴールさんが不思議そうに聞いてくる。


「こちらの我がままを聞いていただいたので、もちろんその程度は別に構わないですが、確か登録書類はこれ以上はなかったと思いますが?」

「ええ、その・・・実際に登録をする訳ではないのですが、少々実験的に試してみたい事があるので・・・」

「それは構いませんが一体誰を?

シノブさんの御仲間で今更ミノタウロスを相手にするような人や、ジャベックなどいないと思いますが?」

「実はこの二人と言うか、二匹なんです・・・二人とも、出ておいで!」


俺がそう言うと、俺の上着のポケットから2匹の小動物が出てきて、俺の体をダダダ・・と駆け上り、両肩にちょこんと止まった。


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