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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0169 ヴェルダの話

 ジャベックのヴェルダが話し始める。


「シモン様はある画期的なゴーレム魔法の改革を考案されました。

これを有効に利用すれば、ノーザンシティのみならず、魔法世界の発展に非常に役立ちます。

しかし、それをデニケンに感ずかれてしまいました。

彼は己の野望のためにそれを利用しようとしましたが、それに気づいたシモン様は私とご子息のシャルル様にその秘密を隠し、シャルル様が18歳になった時に、私とシャルル様が揃っていれば、その秘密が分かるように仕組みました。

その後、シモン様はデニケンに殺されてしまいましたが、その直前にその秘密をシャルル様が握っており、それが18歳にならないとわからないとデニケンは思っているので、シャルル様は無事なはずです。

何故ならば、デニケンはどうしてもその秘密を知りたいからです。

そのためにデニケンは、18歳まではシャルル様を手元に置き、保護するだろうとアルマン様はおっしゃっていました。

しかしデニケンはその秘密を知るためには私が必要な事を知りません。

おそらくシャルル様も御存知ないはずです。

ですが、私は万一の時の事を考えて、このノーザンシティから逃れて旅に出る事になりました。

表向きは新型のジャベックの実践試験という建前で、実際にそれも兼ねておりました。

そしてその御目付け役に執事の中でも古株で、もっとも信用のおける魔道士でもある、アルマン様に私を託して、旅に出したのです。

しかしアルマン様はかなりお年を召しておりましたので、その事をお孫さんであるカルロ様に託そうと考えたのですが、残念な事にカルロ様とその御子息は亡くなられておりました。

そこでアルマン様は亡くなる直前に玄孫であるこのポリーナ様と御会いしたので、ポリーナ様を信用して、この方に私の所有権を委譲し託したのです。

アルマン様は自分が亡くなった場合、必ずまずユーリウス様を訪ねるように遺言されました。

そこで我々はここに参った次第でございます」


なるほど、これで大体の話はわかった。


「でもなぜユーリウスさんを?」

「アルマン様のお話では、このノーザンシティでは誰が信用できるかわからないそうです。

唯一信用が出来るのが、シモン様の御友人であったユーリウス様との事でしたので、こちらを訪ねるように言われておりました」

「なるほど」


俺が納得すると、再びユーリウスさんが話し始める。


「そこで私も今後どうするべきか、皆さんと話し合いたいと考えて話を聞いていただいた訳です。

何しろこの話は私一人の手には余りますし、情けない事にうちの使用人も全員が信用できるとは私にも断言できないのです。

ひょっとしたらデニケンさんの手先が紛れ込んでいるかも知れません。

ですから私が完全に信用できるのは、つい最近この町の外から来たあなた方だけなのです」


なるほど、確かに俺たちはここに来たばかりだし、自分の息のかかった者にわざわざあんな事をして、相手の心象を悪くする必要もない。

そういう意味でもユーリウスさんは俺たちを信用したのだろう。

困ったように話すユーリウスさんにエレノアが話しかける。


「なるほど、話はわかりました。

 それでこれからどうするつもりですか?ユーリウス?」

「そこで困っているのですよ。

確かにデニケンさんはこのノーザンシティを掌握しようとしているのは私も知っています。

私はそれでも街のためにしているのならば、構わないと思っていたのですが、どうもそうでない節があるので、最近は気になっていたのです」

「気になる節?」

「ええ、妙に戦闘ゴーレムに力を入れたり、町の防衛部門を不自然なまでに強化して・・・そう、まるで他の町を攻めるのではないかと思うほど、必要以上に町の軍事強化を叫んでいるのです。

しかもそれが何か誰かに追い詰められたかのようにしているかのように見えるのです」

「はい、高祖父もデニケンは誰かの指示を受けているのではないかと考えていました」


ポリーナさんの話に、俺とユーリウスさんが問いかける。


「つまり、さらに黒幕がいると?」

「ええ、それは私も感じていました。

証拠はありませんし、勘のようなものですがね」

「う~ん・・やはりまずはこの話をシャルルに話すべきではないでしょうか?

そして彼がどうしたいかを聞かないと・・・」

「それは私も考えたのですが、彼は今、デニケンさんの庇護下にあります。

そしてデニケンさんはかなり彼を大事に育てていますから、果たしてこの話を信用するかどうか・・・

信じなかった場合は、かなり面倒な事になりそうですからね」

「なるほど・・・」


確かにそうなっては厄介そうだ。

シャルルが初めてあったこの少女よりも、長年付き合いのある保護者であるデニケンの方を信用する確率は高い。

そもそも俺たちだって、この話がどこまで本当かわからないのだ。

しかし俺が考えていると、エレノアは決然と言い放つ。


「それでもこの話はシャルルにすべきでしょう。

この話の鍵は彼なのですから。

そしてシャルルの判断次第で我々は動くべきです」


そのエレノアの言葉に俺が質問をする。


「しかしもし、シャルルがポリーナさんの話を信じずにデニケンの味方をしたら?」

「その場合は今度はポリーナさんの気持ち次第です。

その秘密とやらはシャルルとこのヴェルダが揃わないと、わからないと聞きました。

そして今のヴェルダの主人はポリーナさんです。

ポリーナさんが同意しなければ、その秘密はわからないで終わるでしょう。

ですから最初に話す時はその部分を話さないでおくべきでしょう。

そしてもしシャルルがポリーナさんの話を信用したらその事を話せば良いかと思います。

ポリーナさん?

もしシャルルがあなたの話を信じずに、デニケンに味方するとしたらどうしますか?」


エレノアの質問にポリーナがしばらく考えて答え始める。


「正直、私はシャルルさんにも、デニケンにも会った事がないのでわかりません。

しかしこの事に高祖父が人生の最後を費やして私に託したのは事実です。

その高祖父は決してデニケンを信用するなと言っておりました。

出会って一緒に過ごした期間は短いですが、私は高祖父を信じております。

それにジャベックのヴェルダが嘘をつくとも思えません。

とりあえず私はシャルルさんに会って話してみたいと思います。

その結果、私の話を信じてくれるならそのまま協力を、信じていただけないならその場でどうするか考えようと思います」


そのポリーナさんの言葉にユーリウスさんがうなずいて答える。


「わかりました。

ではシャルル君を呼んで話す事にしましょう。

しかしその前に我々も、彼の判断によって、どうするか決めておいた方が良さそうですね?」


ユーリウスさんの言葉に俺もうなずいて答える。


「ええ、そうですね。

彼の気持ち次第で我々もどう動くか、先に決めておかないとならないでしょう」

「シノブさん、どうしますか?

一応お話は聞いていただきましたが、あなた方は部外者です。

今更ですが、このまま我々と行動をすれば、この話に巻き込まれてしまうでしょう。

単にジャベックの講義をするために来ていただいたあなた方に、これ以上迷惑はかけられません。

お話を聞いて相談に乗っていただいただけでも感謝します。

ですがこれ以上は面倒な事になるので、行動は控えた方がよろしいのではないでしょうか?」


確かにこれ以上話を聞いて行動を共にするのならば、相当面倒になる事になるのは間違いが無い。

ユーリウスさんの心配はもっともだ。

しかし俺の答えは決まっていた。


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