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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0168 ポリーナとヴェルダ

 ムサビーたちを作った翌日、俺たちは二回目、つまり大教室での初めての講義を行った。

今度は受講人数も100人以上と多くなったので、予定通り、ノーザンシティの魔法学校の大教室を借りて講義を行ったのだ。

受講者には教本を1冊ずつと、流れ図定規が配布された。

今回も講義は大成功で、俺とエレノアは絶賛された。

講義後には教本は飛ぶように売れて、あれほど印刷したにも関わらず、3回目用を確保するのに大変だったほどだ。

エレノアと俺は受講者たちに質問攻めを受けて、俺はグッタリと疲れた。

助手役や販売を手伝ってくれたミルキィとシャルルもかなり疲れている様子だ。

まあ、もちろんガルドとラピーダは平気だが・・・

しかし俺たちは心地よい疲れの中で、馬車でユーリウスさんの屋敷へと向かっていた。

乗っている馬車は例の浮き馬車だ。

実際に乗ってみると、これは普通の馬車のようにガタゴトしないので、確かに乗り心地は良い。

このノーザンシティで見た物の中でも、ロナバールに帰ったら是非研究をしてみたい物の一つだ。

その帰りの浮き馬車の中で俺たちが話す。


「ふ~やれやれ、今日は大変だったね」

「ええ、御主人様とミルキィにシャルルもお疲れ様でした」

「いいえ、私など大した事などしておりません」

「僕だってそうさ」

「はは、でも二人が色々と手伝ってくれて助かったよ」

「ええ、その通りです」


ミルキィとシャルルだけでなく、最初の受講した20人が手伝ってくれなければ、俺たちだけではどうなったかわからない。

ユーリウスさんが笑って話す。


「お蔭様で私も面目が保てましたよ」

「はは、それは良かったですね」


そんな話をしながら俺たちがユーリウスさんの屋敷の前で浮き馬車から降りる。

シャルルはこのままデニケンさんの家まで浮き馬車で帰るので乗ったままだ。


「シャルル、今日はありがとう!それじゃまた!」

「うん、またね、シノブ」


俺たちがシャルルに挨拶をすると、浮き馬車が再び動き出す。

浮き馬車が去った後で、俺たちは家の周りでウロウロとしている女の子を見つけた。

年は俺と同じ位に見える、薄い茶色の髪の女の子だ。

おや、一体どうしたんだろう?

何故この女の子はここでウロウロとしているのだろうか?

一緒にその女の子よりも背が高い、緑色の髪の女性もいる。

乗ってきた浮き馬車が走り去った後で、ユーリウスさんがその女の子に話しかける。


「どうしましたか?この家に何か用事ですか?」

「あっ・・・その、ここはユーリウスさんのお宅でしょうか?」

「ええ、そうですよ?」

「今、ユーリウスさんは御在宅でしょうか?」

「ユーリウスは私ですが?」


ユーリウスさんが名乗ると、その女の子は驚いたように話す。


「あっ・・・その、初めまして!

私はポリーナ・パーシモンと申しますが・・」

「ポリーナさん?」

「ええ、そうです。あなたにとても大事なお話があって・・・」

「私に話し?」

「ええと、そのどこから話して良いのか・・・」


少女が迷っていると、そばにいた緑色の髪の女性が話し始める。


「お久しぶりです。ユーリウス様」


その挨拶をした女性にユーリウスさんが驚いて話しかける。


「お前はヴェルダ?ヴェルダなのかい?」

「はい、ヴェルダでございます。

 今回は重要な話があって、ここに参りました」

「そうか、では外ではなく、中に入って話そう」

「はい、かしこまりました」

「さあ、そちらのお嬢さんもどうぞ」

「はい、お邪魔します」


どうやらこの緑髪の女性とユーリウスさんは知り合いらしい。

家に入ると、ユーリウスさんが俺たちに話す。


「私は少々このお嬢さんたちの話を聞いてみます。

シノブさんたちはお疲れでしょうから、どうぞ自室でお休みください」

「はい、わかりました」


俺たちは言われた通りに自室へ行って休む。

しかし俺は先ほどの女の子が気になったので、その話をエレノアたちと話してみた。


「さっきの子は何の用事だったのかな?」

「さあ、それはわかりませんが、あの緑色の髪の女性はジャベックでしたね」

「え?あの人、ジャベックだったの?」

「私も人だと思っていました」


俺やミルキィには普通の女性にしか見えなかったので、驚いた。


「ええ、かなり精巧に出来ておりますが、アレはジャベックだったと思います」

「へえ?そんな精密なジャベックを連れて来た女の子か・・・

本当に何の用事だったんだろうね?」

「さあ、そこまでは・・・」


俺たちがそんな話をして寛いでいると、ドアを叩く音がする。


「はい、どうぞ」

「失礼します」


そう言って入って来たのはユーリウスさんと先ほどの女性二人だった。


「どうしましたか?ユーリウスさん?」

「ええ、実は皆さんに相談したい事がありまして・・・」


皆さんと言っても、おそらくこれは実質エレノアに対する相談だろうと俺は思った。

俺は気を利かせてミルキィと席を外す事にした。


「私は席を外していましょうか?」

「私も・・・」


ミルキィも察しよく、俺と一緒に部屋の外へ出ようとする。

しかしユーリウスさんは俺たちを止める。


「あ、いえ、本当に皆さんに聞いていただきたいのです」

「そうですか?」

「ええ、是非お願いします」

「わかりました、どうぞ」

「ではまずガルドとラピーダに部屋の入り口で警戒をするようにお願いできますか?」

「はい、ガルド、ラピーダ、今までどおり、部屋の入り口で立って、誰かが来たらすぐに俺たちに知らせろ」

「承知しました」


俺が命令すると、ガルドとラピーダは部屋の警戒態勢に入る。

さらにユーリウスさんは、小鳥型のタロスも十羽ほど出して窓から放ち、警戒に当たらせる。

その上で空気遮断の防御幕を張った。

エレノアがレオンの件でリットリーの町で使ったあの魔法だ。

俺とエレノアはそのユーリウスさんの行動で、すぐに異常事態を察した。


「これはそんなに大事おおごとなのですか?」

「はいそうです。

これから話す事は、おそらくこのノーザンシティを揺るがすほどの事まで発展する可能性があります」


そこまでの話なのか?

そんな事を俺たちに話してしまって良いのか?

俺がそう考えていると、エレノアがそれを問いただす。


「ユーリウス。

そんな話を私達にしてしまってよろしいのですか?」

「ええ、これは是非皆さんにも聞いていただいて、意見を聞きたいのです。

何しろ、私が現在この件で完全に信用できるのはあなた方だけですので」


確かにエレノアはユーリウスさんの師匠だし、信用はおけるだろう。

俺たちもエレノアの弟子と、その主人なので信じられるのだろう。

しかしそこまで重要な話なのか?


「わかりました。

 話を伺いましょう」


俺が促すとユーリウスさんが話し始める。


「はい、実はこの少女は私の古い知り合いの玄孫やしゃごで、非常に重要な用事で私を訪ねてきたのです。

詳しい事はこの娘さんに話していただきましょう。

さあ、ポリーナさん、先ほどの話をもう一度してください。

この方たちは私の師と、その御弟子さんたちで信用できます。

今見た通り、この部屋はタロスが何体も警戒に当たっていますし、空気遮断の魔法もかけましたから誰にも盗み聞きされたりする事はありません。

安心して話してください」

「はい、わかりました」


玄孫って、確か孫の孫だよな?

そんな子が一体ここへ何をしに来たんだろう?

その少女は俺たちの方を向くと話し始めた。


「皆さん、初めまして、私はポリーナ・パーシモンと申します。

大御爺様はアルマン・パーシモンと言って、かつてこのノーザンシティの筆頭理事だったシモン・クロンハイムさんの執事をしていたそうです」

「大御爺様?」

「祖父の祖父の事ですよ。シノブさん」


なるほど、つまりこの子のひいひいじいさんがこの町のお偉いさんに仕えていたと言う訳か?

しかしシモン・クロンハイムって、もしかしたら・・・?


「はい、その大御爺様、つまり私の高祖父こうそふですが、ある密命を受けて、旅に出たそうなのです」

「密命?」

「はい、何でもゴーレム魔法に関する事で、これを知ればこれまでのゴーレム魔法をより画期的に変える事が出来るのだそうです」

「へえ?どういった内容の?」


興味を惹かれた俺の質問を少女は首を横に振って答える。


「それは私にもわかりません。

しかし、それをデニケンという人に狙われていて、それを守るためにシモンさんは御自分の息子さんと、このヴェルダにある秘密を授けたそうなのです」

「え?デニケン?それにシモンさんの息子って・・・」


俺がユーリウスさんを見ると、ユーリウスさんもうなずいて答える。


「ええ、シャルル君の事だと思います。

シモンさんには他に息子さんはいませんから」

「シモンさんはそのデニケンという人に殺されてしまったらしく、高祖父はデニケンから逃げるために旅を続けていました」

「え?殺された?」


何があったかわからないが、殺されたとは穏やかでない。


「はい、私も聞いた話なので真相はわかりませんが、高祖父からはそのように聞いております」

「なるほど」

「しかし、高祖父は自分の寿命がない事を知って、後を孫である私の祖父に頼りに来たのですが、生憎と私の祖父も、父も数年前の流行り病で亡くなっておりました。

曾祖父はもっと前に亡くなっておりましたし、母も最近亡くなりました。

そこで私が高祖父の遺言を聞いて、ここに来たのです」


なるほど、大体の話の流れはわかったが、まだ今ひとつわからない。


「そこからは私が御説明をいたします。

私はシモン・クロンハイム様が作った戦魔士型ジャベックでヴェルダと申します」


やはりエレノアの言う通り、この女性はジャベックだったのか?

しかし、エレノアやバッカンさん、ユーリウスさん以外にも、これほど人間的なジャベックを作れる人もいたのか?

やっぱり世界は広いな。

俺たちはそのヴェルダの話に耳を傾けた。


ポリーナとヴェルダがなぜユーリウスに会いに来たかは、外伝「ポリーナ・パーシモン」にてわかります。

ポリーナの過去の活躍を知りたい方は、ぜひそちらもあわせて読んでください。


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