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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0154 芸術部門予選

 俺たちがクラウスを鍛えて3日目、いよいよエトワールさんの出場する芸術部門の予選が始まる。

俺たちはエトワールさんの応援に向かった。

メンバーは俺とエレノア、ミルキィ、クラウス、ガルド、ラピーダだ。

選手控え室に着くと、そこにはエトワールさんとシルビアさんがいた。


「あら、シノブさんたち!いらっしゃい!」

「こんにちは!調子はいかがですか?」

「まあまあってところね。

 ところでそちらの坊やは誰かしら?」


クラウスを見かけたエトワールさんが俺に問いかける。


「ああ、これは僕の一番弟子のクラウスです。

知り合いの子供で、この大会の間だけ少々鍛えるので、預かったんですよ」

「へえ?そうなんだ?」

「こんにちは!

クラウス・サーマルです!」

「こんにちは!クラウス君、君も私の応援に来てくれたの?」

「はい、エトワールさんのタロスは凄く踊りがうまいって、シノブ先生から聞いているので、とても楽しみです!」

「あはは、じゃあ期待に応えて頑張るわね?」

「はい、応援しています!」

「じゃあ、そろそろ時間だし、みんなで行こうか?」

「ええ、そうね。

まあ、一次予選は楽でしょうからね」


エトワールさんとシルビアさんがあまりにも緊張がないので俺は驚いた。


「大丈夫なんですか?

そんなに気楽そうにして?」

「うん、まあ1次予選はね」

「ええ、一次予選はどちらかと言うと、タロスがちゃんと動くどうかを見る審査だから大丈夫なのよ」

「え?ちゃんと動く?」

「ええ、この大会はタロスを使えれば出場は誰でも出来るから、それこそ昨日今日覚えたような人でも出場するのよ。

でも当然ながら、そんな人が作ったタロスではまともに動かない事が多いわ。

1次予選ではそういった初心者と言うか、まだまともにタロスを動かせない人たちを篩い落とすためのような予選ね。

だからまともに動かせる自信がある人なら、それほど恐れる必要はないのよ」

「そうなんですか?」


俺が驚いて聞くと、シルビアさんがクスッと笑って答える。


「ええ、私やシノブさんでも文字通り目を瞑っても、1次予選だけなら間違いなく通るわ。

エレノアさんなんか、それこそ寝てても通るでしょうね」

「へえ?」


まあ、確かにエレノアなら寝てても勝手にタロスが動いて、予選くらいは通りそうだ。


「だから本番は二次予選からね。

それの得点上位7人が決勝戦で争う事になるわ。

その7名には絶対に入らないと・・・」


どうやらその7人に入るのが難しいようだ。

俺たちは予選会場に向かい、その様子を見る。

なるほど、確かに出場選手はたくさんいるようだが、かなりの数の選手がタロスをロクに動かせなかったり、多少は動いてもせいぜい日常動作程度の事しか出来ない物がいるようだ。

その中で、エトワールさんの踊る木人形は群を抜いて動きが素晴らしい。

俺はエトワールさんの出す、等身大のタロスを見るのは初めてだが、テーブルの上で見た人形と同じように滑らかに会場で踊る。

他の見学者たちもエトワールさんのタロスの動きには驚きのようだ。

予選はもちろん通過で、次に二次予選へと進んだ。


 翌日になるといよいよ第二次予選だ。

俺たちも芸術部門の第二次予選会場に向かう。

会場に着くとすでに審査は行われていて、各選手が自慢のタロスを披露しているようだ。

芸術部門の予選は、1次予選と違って点数制で、審査員が各タロスの踊りに点数をつける。

点数の高い、上位7名が決勝入りだ。


出場タロスは歌を歌う物、楽器で音楽を奏でる物、エトワールさんのタロスのように踊る物など様々だ。

すでにみんな1次予選を通過している物ばかりなので、動けない物などいない。

しかしそれでも、中には出場した物の、何かが失敗したのか動いても何も出来なかったり、踊る勢いで客席まで突っ込んでしまう物もあったりして中々大変な様子だ。


そしてついにエトワールさんの番がやって来た。

エトワールさんのタロスは華麗に踊る。

いつもの小型タロスと違って、今日は本番なので、人間大の大きさだ。

エトワールさんは以前、エレノアに指摘された部分を全て改良したようで、以前のタロスより段違いに切れる動きになっていた。

クルクルと回ったり、華麗にジャンプをするたびに会場からため息が漏れたり、歓声が上がる。

中々評判は良いようだ。

俺たちも舞台の横で見ながらエトワールさんを励ます。


「大丈夫ですよ、エトワールさん!

この動きなら間違いなく決勝に残れます!」


俺の言葉に、ミルキィやシルビアさんもうなずく。


「とても美しい動きです」

「ええ、そうね」

「うん、これなら私も大丈夫だと思うわ」


最後に御辞儀をして四散すると、会場からは拍手が起こった。

どうやら観客にも非常に受けたらしい。

その演技は高得点をたたき出し、会場は大いに沸いた。

結果として、エトワールさんは何と予選最高点で二次予選を通過した。


「ふう、何とか無事に、予選は通過ね」

「では決勝では7名で勝負ですね?」

「いいえ、10人よ」

「え?あと三人って誰なんです?」

「前回の優勝者と準優勝者は最初から決勝入りなの。

あとは今回の特別枠の例の人よ」

「ああ、あの伝説のゴーレム使いという?」

「そう、その人」

「何と言う名前の人なんですか?」

「ノーザンシティに住んでいるユーリウスという人よ」


その名前を聞いてエレノアが驚く。


「えっ?ユーリウス?

それはエルフのユーリウスですか?」

「ええ、そうよ、エレノアさん、知っているの?」

「ええ、まあ・・・」

「そう?同じエルフ同士だし、エレノアさんほどのゴーレム使いだったら知っていても当然かもね?

とにかく決勝でも頑張るわ!」

「ええ、応援しています。

それになんと言っても予選で最高点ですよ!最高点!」

「うんうん!苦労した甲斐があったわ~」

「エトワールさん、すっげー!

さすがシノブ先生の友達だね!」


クラウスも手放しでエトワールさんを褒めちぎる。


「ありがとー、クラウス君」

「でもこれでかなり自信がついたんじゃない?」

「ええ、でもやっぱり油断は禁物よ。

決勝では何か特別な演技を考えている人もいるでしょうし」

「そうでしょうね。

あなたも何か対策はあるの?」


シルビアさんの言葉にエトワールさんもうなずく。


「そうね、エレノアさん、どうかしら?

あなたに言われた部分は全部直したつもりだけど、後は何をすれば良いかしら?」


エトワールさんが決勝に向けてエレノアに最後の助言を求める。


「ええ、見事です。

 後はジャンプをより高く飛び、スピンをより早く回れば高評価に繋がるかと思います。

それと・・・」

「それと?何?」

「演技とは直接関係ありませんが、これほどの出来であれば、演技が終わった後に必ず拍手が起こると思います。

ですから演技が終わった後で、頭を下げてから、周囲の歓声に応えて手を振るような動作を加えると、より印象が良くなると思います。

そしてその後にその場で回転しながら花びらのように四散する散り方をすれば、非常に受けて、観客も盛り上がるのではないかと思います」

「何!それ!凄いアイデアだわ!

早速やってみるわね!

なんとしてもそれを決勝戦に間に合わせて組み込んで見せるわ!」


どうやらエトワールさんは決勝戦に向けてエレノアの案を盛り込む気満々のようだ。

俺たちもエトワールさんのタロスが決勝戦でどんな動きをするのか、ワクワクしてきた。


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