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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0133 金剛杉の森

 ロナバールから途中いくつかの町や村を通り過ぎて、金剛杉の森へと向かう。

途中でサーマル村も通り過ぎた。

サーマル村長の馬車でロナバールに来た時は半日がかりだったが、今は航空魔法で10分もかからない。


やがて金剛杉の大森林が見えてくる。

しかし大きな森だ。

大森林と言うだけの事はある。

空から眺めているのに森の終わりが見えないぞ?

俺が空を飛びながら魔法念話でエレノアに尋ねる。


《この森の大きさはどれ位なの?》

《これは世界でも屈指の森で、東西約2800カルメル、南北約2500カルメルで、これとこの東にある大砂漠がアースフィアの東西を分けています》


エレノアの答えに俺も驚く。


《東西2800カルメル?

 そんなに大きいんだ?》

《そうですね。

 この森にいる魔物は最低でもレベル20、現在確認されている魔物の最高レベルは270です。

 従って、よほどの高レベルの者でない限り、この森林を単独や少人数で踏破するのは不可能で、昔から東西の交通の妨げになっています。

 東西の行き来は基本的にこの森を北か南へ迂回して通るために、とても遠回りになります。

しかも北は険しい山脈なので、事実上の迂回路は南側だけですね》

《航空魔法では?》

《確かに高レベルの者ならば航空魔法で横断する事は可能です。

しかし仮に航空魔法で時速500カルメルで飛んだとしても、横断に6時間以上かかります。

砂漠も含めば8時間以上です。

途中で休める場所もありません。

距離と持続時間を考えると、最低でも魔法学士以上の者でないと厳しいでしょうね。

そこまで航空魔法を長時間維持できる者は少ないので、ほとんどの者にとって、この森の横断は不可能に近く、結局東西の行き来は、ほぼ南の迂回路と海路のみとなっています》

《そうなんだ・・・》


確かにそりゃ凄い。

エレノアの話を聞くと、地球のシルクロードが可愛く思えてくる。

シルクロードを横断した張騫ちょうけんやマルコ・ポーロも大変だったろうが、これはそれ以上の難所のようだ。


細い街道の終わりにある、金剛杉の森の近くに着陸すると、なるほど、森の入り口近くにグルリと石垣で囲まれた場所があって、その中に6軒ほどの建物が見える。

これがヘイゼルさんの言っていた砦とやらか?

俺たちはその砦の中に入って、声をかける。


「すみませーん!

ロナバールの総合組合から来たのですが?」


中から出てきたのはドワーフだ。

俺はロナバールでドワーフを見かけた事はあるが、話すのは初めてだ。

そのドワーフは俺達の事をジロリと睨んで話しかけてくる。


「おう、俺はこの砦の代表でガーリンと言うもんだ。

一体ここへ何の用事だ?」

「これを預かって来ました」

「ふん?どれ・・・」


ドワーフの男は手紙を読むと、再び俺たちをジロリと睨んで話しかける。


「話はわかった。

しかし、お前さんたちが本当に50本も金剛杉を切り出してくれるのか?

俺たちが頼んだのは、ただ切り出すだけじゃなくて、枝打ちと、森からここまでの輸送も頼んだのだが・・・」

「はい、大丈夫です。

ただし、やり方はこちらで考えますが構いませんね?」

「そりゃ別に構わん。

こっちとしては木を切り出して運んできて枝打ちしてくれりゃ方法なんぞ、どうでも良い。

まあ、好きにやってくれや」

「はい、わかりました。

では早速森の方へ行ってみます」


俺たちは砦を出て森へ向かう。

金剛杉の森と言っても、森の全ての木が金剛杉という訳ではない。

むしろ金剛杉の割合は全体の2~3割と言った所だ。

もっともこれはかなり比率が高いらしく、ミルキィの村の近くの森にも金剛杉は生えているが、せいぜい100本か200本に1本らしいので、ここの金剛杉の比率は確かに高い。

もっともそれが東西の行き来を阻んでもいる訳だ。

森の入り口に生えている金剛杉を見て俺が独り言を呟く。


「これが金剛杉か・・・」


一見それはちょっと黒いだけの普通の杉の木のように見える。

森の入り口の周囲は、他の木と一緒に何本か切り倒した後があって、それなりの広場になっている。

近寄って皮の部分に触ってみると、なるほどかなり硬い。

しかしこれなら何とかなるのでは?と俺は小型ナイフを出して、皮の部分を多少削ってみると、その下の生地の部分が出てきた。

そこから先は俺の持っていた鉄のナイフでは全然削れない。

魔素を大量に吸っているためか、黒く、全体的に色も黒檀のような感じだ。


「なるほど、硬いね」

「ええ、金剛杉の硬さは鋼鉄以上と言われています」

「では、ともかく色々とやってみるか?」


まずは普通の鉄の斧だ。

俺が鉄の斧で金剛杉を一撃すると、カキーン!という金属音がして、少々皮が弾けた程度で、杉本体には傷一つ付かない。

ならばと思って、次はもう少し力を込めて斧を振るうと、バキッ!と木の柄が壊れてしまった。


「ありゃ?」


まずは普通の鉄の斧がだめな事はわかった。

次は鋼鉄の戦斧だ。

これは柄に至るまで鋼鉄で出来ているので、まず折れる事はないだろう。

先ほど以上に俺が力を込めて斧を振るうと、今度は僅かに金剛杉に傷がついた。

もっと力を込めて何回か斧を振るっていると、やがて鋼鉄の柄が曲がってきてしまった。

構わずになおも斧を振るうと、刃にビシッ!とひびが入り、斧が砕けてしまった。

何と鋼鉄の斧でもダメだ!


次はミスリルの斧だ。

これは鋼鉄よりはマシだったが、やはり振るっている内に曲がってきてしまった。

結局、持ってきた斧で試してみて、まともに使えたのは、アダマンタイトの斧と、アレナックの斧だけだった。

おそらくオリハルコン製の斧ならば大丈夫だろうが、残念ながらそんな斧は売っていなかった。


「こりゃ確かに骨だね」

「そうですね」

「思った以上に大変そうです」


次はタロスを出してやらせてみた。

一応俺が経験はしているので、それを踏まえてタロスを作ってみた。

手の先を斧のようにして、その部分の強度はミスリル銀並にしてみた。

レベルはタロス呪文最高の100だ。

そのタロスに5分ほど切らせてみたが、あまり作業は進まない。

ならばと今度は上級タロス呪文を使ってみた。

これはレベル100以上のタロスを作る時の高位呪文で、一体で魔力量を6000以上も消耗するふざけた魔法だ。

エレノアに教わった物の使い所もなく、今まで練習以外では、ほとんど使った事がない呪文だ。

せいぜいエルフィールと訓練した時に多少使った程度だ。

使える人間もジャベックを使える人間以上に少ないらしい。

魔力使用量の割りに使い所が少ないので、魔道士たちも覚えたがらないし、使いたがらないのだ。

しかしレベル100以上のタロスが必要とあらば、この呪文を使うしかないので、俺はこの上級タロス呪文でレベル230ほどのタロスを作ってみた。

現在の俺で作れるタロスのほぼ限界値だ。

強度も今度はアレナック並だ。

今度のタロスは先ほどよりもマシで、金剛杉をチマチマと切り始めた。


「では、私もやってみましょう」

「私は上級タロス呪文は使えないので、とりあえず自分の力でのこぎりを使って細い木を切って練習してみます」


エレノアも呪文を唱えて金剛杉を切り始める。

ミルキィはのこぎりで枝を切り始める。


エレノアの作ったレベル500を越えるタロスは流石に見事で、見る見るまに金剛杉を削っていく。

これならば20分もあれば、切り倒せるのではないだろうか?

ミルキィはのこぎりで枝を切り始めるが、やはり鉄や鋼ではすぐに刃がボロボロになってしまい、ミスリル銀やアダマンタイトののこぎりでないと切れないようだ。


だいたい状況はわかったので、俺とエレノアは上級タロスで金剛杉を切り、ミルキィはレベル100タロスで枝を切り始めてみる。


「ではこれで時間を計ってみよう」


森の外に木の杭で日時計を作って作業を見守ろうとしたが、数分おきに魔物が襲ってくる。

レベルは20から30程度と、森の魔物にしては、ずいぶんと高いレベルの魔物だ。


「そうか、魔物を倒す戦闘タロスも必要か」


俺は木こりタロスを守るための護衛タロスをつくり、周囲を警戒させる。

しばらく見ていたが、このシステムで問題はなさそうだったので、俺たちは砦に戻っていた。

俺たちが戻ってきたのを見てドワーフの親方が声をかけてくる。


「どうしたい?もう降参かい?」

「いや、とりあえずタロスでどれ位切れるか試している所なんです」

「タロスで?

しかしレベル100のタロスでだって、そう簡単にはアレは切れんぜ?」

「ええ、そうですね。

だからレベル540と230のタロスを使って、どれ位の速さで切れるか、試している所です」

「レベル540と230だぁ~?」

「はい、これでうまく行けば本格的にはじめようかと思います」

「むむむ・・・そんなレベルでアレを切るのは確かに初めてだな。

 どれ位の時間で切れると思う?」

「さあ、それはやってみないと・・・」

「確かにな・・・俺はちょっくら見てきてみるぜ」

「ええ、どうぞ」

「お前さんたちは中で休むんなら、そこの小屋を使ってくれ。

 そこは一応客人用の小屋で、中のもんは勝手に使って構わないぞ」

「わかりました」

「じゃあな」


そう言って親方のガーリンが外へ見に行く。

俺たちは言われた小屋に入って、のんびりと飲み物を飲みながら話す。


「しかし、金剛杉ってのは凄いね」

「ええ、植物の中ではもっとも硬いはずです。

生物ではドラゴンの鱗や、カーロンの肌がこれより硬いですが、厚みは大した事はありません。

厚みは金剛杉が一番あるので、実質は金剛杉が一番硬いと言っても良いでしょうね」

「なるほど」


そんな話をしていると、まずエレノアの上級タロスは15分ほどで1本の金剛杉を切り倒した。

ドワーフのガーリンが興奮して小屋へ入ってくる。


「おい!もう一本切り倒せたぞ!」

「そうですか?思ったよりも早かったですね?」

「我々も見に行ってみるかい?」

「いえ、私のタロスは1本切り倒したら次を切り倒すように指示してあるので、このまま1時間ほどは様子見で良いかと思います」

「そうか?じゃあ、もう少しここで休憩していようか?」

「そうですね」


俺はガーリンにその旨を伝える。


「そんな訳で我々はここでもう少し休んでいます」

「そうか?俺はもう一度見に行ってみる」


そう言ってガーリンは再び外へ出て行った。


やがて1時間ほど経った。

俺の上級タロスは1時間ほどで切り倒せた。

ミルキィのタロスは小枝を1時間ほどで切れるようだ。

俺たちも様子を見に現場へ戻る。

現場でずっと見ていたらしいガーリンが興奮して話しかけてくる。


「おい!お前らのタロスは凄いぞ!

この1時間で5本も金剛杉を切り倒したぞ!」

「そうですね?では本格的にやってみるか」

「ええ、そうしましょう」

「そうですね」


 俺たちは休憩している間に、具体的にどういう作業をするか話し合って、それぞれ担当を決めていた。

俺とエレノアは、出しうる最高レベルの上級タロスをそれぞれ100体ほど出して金剛杉を切り始める。

まずはエレノアのタロスが木を切る役目だ。

エレノアの上級タロスは2体がかりで両側から切れば、太い木でも1本を10分ほどで切り倒せる。

俺のタロスが切り倒した金剛杉の枝打ちをして、材木としての体裁を整える。

枝は枝で売れるそうなので、そちらもまとめる。

ミルキィのタロスが枝集めと運搬をして、砦の外にある集積所へ集める。


凄まじい勢いで、俺たちが次々と金剛杉を切り始めたので、砦の人たちは驚いたようだ。

全員が砦の中から出てきて様子を見つめる。

砦には全員で12人ほどいて、そのうち8人がドワーフで、残りが平人だ。

その全員が呆れたように俺たちの作業を見守る。


「な、なんだ、こりゃ?」

「凄い勢いで金剛杉を切ってやがる!」

「これじゃまるで普通の材木だ」


砦の全員が唖然として見守る中、俺たちはビーバーのようにせっせと金剛杉を切り出して、

集めていた。

流石に50本の金剛杉を切り倒すのは1日では出来なかったので、残りは翌日という事になった。

それでも35本は切り倒せたので、作業は順調だ。

切り倒す作業に枝打ちや運搬が追いついていなかったので、夜の間はタロスたちに枝打ちと運搬をさせる事にした。


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