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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0010 異世界という現実

 ・・・それにしてもこれほど死を身近に感じた事は、前世の40年以上の人生でもない事だった。

怖い・・・本当に怖かった。

死を感じるというのはこういう事だったのかと、今更ながらに恐怖した。

この世界ではこれが日常茶飯事とまではいかなくとも、迷宮探索や魔物狩りをしている限り、常に付きまとうという事か?

それともこれも何回も経験すれば、慣れてきてしまうのだろうか?

いや、慣れてしまうというのは、逆に危ないだろう。

おそらくそれは死を意味するはずだ。

赤信号を100回渡って無事な自分に自惚れて、自分は絶対に赤信号でも車には轢かれないと勘違いする事と同じだろう。

そう考えると俺は気を引き締めた。

迷宮を探索する時ならば、常に危機感を持ってするべきだろうと俺は本能的に感じた。

勝って兜の緒を締めよ!だ。

一応、まだ部屋の中にはゴーレムも6体ほど残っているので、一安心した俺はミノタウロスが落としたアイテムを確認する。

鑑定すると、ミスリルナイフと、体力回復剤が2つだ。

ボスだけあって、3つもアイテムを落とすとはなかなか景気がいい。

倒した甲斐があったというものだ。

ミスリルナイフはこの世界に来て初めてみるが、中々見てくれがいい。

いくら位で買い取ってもらえるだろうか?

気づくと、レベルはなんと28まで上がっていた!

一気に5レベルも上がるとは驚きだが、普通にやっつければ4・5人がかりなので、おそらく俺に通常の120倍以上の経験値が入ったからなのだろう。

ともかく俺は部屋を出た。

もちろん、今度は扉はちゃんと開いて、無事に外に出られた。


「ふう~~」


部屋の外に出て扉を閉めた俺は、ようやく安心して、その場でヘナヘナと座り込んでしまった。

ここに至ってようやく迷宮の主とやらを倒した実感も湧いてきて安心した。

一時は死をも覚悟したが、思ったよりも簡単に倒せたので、俺はふと、こう考えた。

(これはもう一度ミノタウロスを倒せば、良い経験値稼ぎになるのでは?)

まさか2回目が急激に強くなる事もないだろうし、仮に多少強くなっていたとしても、よほどの事がない限り、負けるという事はないだろう。

そして何と言っても、一回倒すだけで、これほどのレベル上昇は嬉しい。

もちろん俺も多少レベルが上がったので、次はこれほどのレベル上昇はないだろうが、それでもいくつかレベルは上がるだろう。

調子に乗るのは禁物だが、大いに試してみる価値はあるだろう。

そう考えた俺は、体勢を万全に整えてから、扉を開き、再び部屋の中へ入った。

しかし、そこには、もはやミノタウロスは発生しなかった。

緊張しながら祭壇まで上がり、いくら部屋の中をうろついても何も出てこなかった。

(やっぱり、そう都合よくはいかないか?)

そう考えて一人苦笑した俺は、とりあえず、迷宮の外に出る事にした。

村の人たちから聞いた話から察すると、以前にも迷宮の主とやらが何回も出ているのだから、おそらく再びミノタウロスが出るのには何か条件があるのだろう。

部屋を出て、すぐ扉を開けても出現しなかった所を見ると、しばらく時間をおくか、一旦迷宮を出るか辺りが条件なのではないだろうか?

 

迷宮を一旦出た俺は、再び地下5階を目指して、潜っていった。

そしてあの扉の前に来て、完全に装備を整えると、扉を開けて入ってみた。

念のために今度は最初からゴーレムを20体出しておいてから俺は部屋の中に入る。

すると先ほどと同じように、俺が部屋の中ほどまで来ると、突然扉が閉まった。

祭壇の上で、陽炎が立ち始めて、やがてミノタウロスが現れた!

しかし今度は準備万端だ。

最初から20体ものゴーレムが三重四重にミノタウロスを囲んでいる。

先ほどと違って、今度は落ち着いて対応できる。

むしろ、20体も出したゴーレムが無駄にならないので、俺はホッとしたくらいだった。

(なるほど、一旦、迷宮の外へ出るのが再出現の条件かな?)

そう考えながら先ほどと同じように、しばらくはゴーレムを増産して様子をみる。

観察していても先ほどと違いはないようなので、俺は奴の後ろに回りこむ。

俺は深く息を吸うと一言叫びながら一撃を加える。


「人間、舐めんなーッ!!」


俺の一撃によって、先ほどと同じようにミノタウロスは四散する。

しかしミノタウロスは先ほどと同じように一撃で倒れたが、今度はアイテムをミスリルナイフしか落とさない。

(おや?今度はこれだけか?)

どうもアイテムはランダムなのか、それとも他の理由で変化があるらしい。

それでもレベルは4つも上がって、32になったので、俺は大満足だ。

俺はボス部屋で、ゴーレムたちに囲まれて歓声をあげた。


「よっしゃ~!もう一回、行ってみるか?」


今日は朝から5階まで直通で行ったので、2回ミノタウロスを倒しても、まだ時間に余裕があった。

迷宮の主たるミノタウロス君は、今や俺にとって最上の鴨となってきた。

先ほどまで死ぬ覚悟までして、子ねずみのようにビクビクしていたのが嘘のようだ。

そして俺のレベルが上がるに連れて、俺の作り出すゴーレムたちのレベルも上がってきた。

頼もしいゴーレムたちは地下5階の魔物が相手でも、もはや一撃で倒せるほどに、楽に勝てるようになってきたのだ。


再び地上に出た俺は三度、ミノタウロスを討つべく、地下5階に降りていく。

2回もミノタウロスを一撃で倒し、多少の自信を得た俺は、今度は鋼の3倍剣でミノタウロスに挑戦する。

鋼の剣はアレナック刀より数ランク下の剣だが、果たしてどうなるだろうか?

ミノタウロスに対面した俺は少々緊張する。

すでに2度倒した相手と言っても、それは最強装備でなのだ。

果たして今度はどうなるだろうか?

先ほどと同じようにゴーレムたちを相手にさせて俺は後ろに回る。

今気がついたが、俺のレベルの上昇に伴い、ゴーレムたちもレベルが上がって、ミノタウロスの攻撃に、先ほどよりも、より耐えられるようになっている様子だ。

最初にミノタウロスに会った時は、2回もミノタウロスに攻撃されれば、必ず四散していたが、今は決して2回ではやられず、3回目の攻撃に耐える奴もいる。

実に頼もしい!

そのゴーレムたちがミノタウロスの相手をしている間に俺は後ろに回る。


「鋼鉄3倍切り~~っ!!」


適当な技の名前を言いながら、俺は渾身の力をこめて、ミノタウロスに一撃を加えるが、相手は倒れない。

(やはり、今度は一撃では無理か?)

さすがに3倍の特殊効果がついているとはいえ、数ランク下の鋼の剣では、一撃では屠れなかったようだ。

俺が再び、もう一撃を加えようと構えた時だった。

目の前にいたミノタウロスは、光りとなって砕け散った。


「あ・・?」


どうやら俺の最初の一撃は、ミノタウロスの体力をギリギリまで削っていたらしい。

その後でゴーレムが1回攻撃を加えたら倒してしまったのだ。

そしてミスリルナイフが一本増えて、レベルは35となった。


「ふう、今日はここまでにしておくか」


3回も迷宮の主を倒して、レベルも随分と上がったので、俺は帰る事にした。

流石に疲れたし、一日分としては十分な成果だ。



 迷宮を出て、村に帰り、道具屋を訪ねると、今日のアイテムを売る。

アイテムに混ざっていたミスリルナイフを見ると、ドロテア婆さんが驚いたように話す。


「おや?あんた、これは・・・まさか、迷宮の主を倒したのかい?」

「ええ、3回ほど」

「さ、3回?へえ、そりゃ大したもんだね。

まあ、これは買わせてもらうよ。

これは一つ大銀貨1枚で、3つで大銀貨3枚、それと他の物も合わせて、全部で大銀貨4枚ってとこだね。

それで良いかい?」

「ええ、それで結構です」


あまり相場もわからない俺は、それで納得する。

元々がレベル上げが目的で、稼ぐのはついでみたいな物だったし、すでにここ数日で、一日での収支は宿代をやや上回っているのだ。

特に今日は迷宮の主とやらのミノタウロスを倒したので、大儲けだ。

他に特に浪費もしていないので、文句はない。

だが俺はふと、ある事を思い出してドロテア婆さんに聞いてみた。


「そう言えば、魔力回復剤って言うのはいくらで買ってもらえるのかな?」

「魔力回復剤?あの魔力量を回復する薬かい?」

「そうです」


その俺の答えに老婆は驚いたように聞いてくる。


「あんた、そんな物を持っているのかい?」


この驚き方・・・やはり、かなりの貴重品なのか?

俺は控えめに返事をする。


「少し」


本当は何種類か合わせて、数百個持っているが、それは言わない方がよさそうだ。

しかしドロテア婆さんは、首を横に振って答える。


「残念ながら、それはうちでは買えないね」

「え?」


ひょっとしてこれは売り買いが出来ないような代物なのか?

そう考えた俺にドロテア婆さんが説明をする。


「この村にゃ魔法の使い手がいないから、店に置いたって、誰も買わないのさ」


なるほど、そりゃそうだ。

その説明に俺も納得する。


「それにそんな高価な物をうちじゃ買い取れないよ」


高すぎて買い取れない?

そんなに高いのか?


「私は偶然入手したので、詳しくないんですが、そんなに高価な物なんですか?」

「ああ、そもそも余程大きな町でないと売り買いはしていないらしいし、金額はあたしも知らないけど、貴重品だから相当値は高いらしいよ」

「そうなんですか?」

「ああ、だからあんたがもしそんな物を持っているんだったら、大事に取っておいて、どこか大きな町で売るんだね」

「わかりました。ありがとうございます」


いざと言う時に使えという、選択肢を示唆しないところを見ると、どうやらこの婆さんは俺自身が魔法を使えるという事は、思いもよらないらしい。

まあ、魔法使いは珍しいらしいし、ここは結構田舎の村らしいから当然か。

しかしやはり魔力回復剤は相当な貴重品のようだ。

いつ手に入るかわからない物だし、相場がわかるまでは今後は可能な限り、使わないようにしよう。

それに俺には魔法力消費10%の指輪もあるし、敵の魔力吸収の武器もある。

最大魔力量の上限値もずいぶんと上がった事だし、注意さえすれば大丈夫だろう。

俺は支払いの大銀貨を受け取ると、宿へと戻った。


 宿に帰って、迷宮の主らしいミノタウロスを倒した事を報告すると、メリンダさんとクラウスが驚く。


「え?もう主を倒してきたのですか?」

「すっごーい!兄ちゃんつえぇ~!」

「ええ、私も驚きましたが、何とか・・」


この人たちには、俺が一回目で悲壮な覚悟をした事や、1日で3回も倒した事は言わないでおこう。


「正直驚きました。

ほんの数日前までレベル10程度だった人が、あの迷宮の主を倒してしまうとは・・・」

「ええ、レベルも35になりましたからね」

「35?もう、そんなレベルになったのですか?」

「そうですね、主を倒したお陰だと思います。結構手ごわかったですからね」


これは嘘ではない。

ただし倒したのは3回だけど。


「そうですね、あそこの主を倒せば、きっとその位になっても不思議はないのでしょうね」


自身が戦わないメリンダさんは、素直に俺の話を受け入れる。

感心するメリンダさんの横で、クラウスは興味深そうに聞いてくる。


「ねえねえ、何か面白い物はなかったの?」

「面白い物?ああ、そういえば主がミスリルナイフを落としたな」

「えっ?ミスリルナイフ?それ見てみたいな!」

「あ、すまん・・・道具屋に売ってきちゃった・・・」


しまった、そうだった。

全部売らないで、記念に一本くらい取って置けばよかったな。


「なあんだ、でも、もし今度見つけたら見せてね?」

「うん、わかったよ」


どうせ明日も、あの迷宮に行くつもりなのだ。

今度拾ったら一本はクラウスにあげても良いか・・・

それにしてもさすがに今日はこの世界に来てから、もっとも疲れたような気がする。

そう考えながら、夕飯を食べて、その日はベッドに入った。


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