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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0102 メディシナー最高評議長就任式

 クサンティペ事件はあちこちに影響を及ぼし、各方面で、大騒ぎとなった。

何しろ、帝国でも知名度の1・2位を争うほどの有名な大都市で、最高評議長が辞任、現当主が辞任した上で、犯罪奴隷にまでなり、その妻は即日死刑になったのだ。

これで騒ぎにならない訳がない。


 まずはレオニーさんが最高評議会議長の任につき、第三無料診療所の所長が空席となった。

副所長である一人のドロシーさんは、そのままレオニーさんのお付として、最高評議会議長の首席秘書となり、レオニーさんの手伝いで大忙しだ。

診療所の上層部を、いきなり全員転属させる事も運営に影響するので、もう一人の副所長であったオーベルさんが所長代行となり、正式な所長が赴任するまでは引継ぎとして留まる事となった。

引継ぎが終わり次第、オーベルさんも中央治療院に戻り、レオニーさんの補佐をする予定だ。

ドロシーさんは「最高評議長の秘書なんて、毎日が裏工作みたいな物だから、それが得意な人間が、とっとと来ればいいのに」とぼやいている。

なんだかんだ言っても、やはりオーベルさんを頼りにしているのだ。

そのオーベルさんは所長代行になっても、相変わらずのんびりしていて、変わらないようだ。

その代わりに貧乏くじを引かされたのが、人事担当だったステファニーさんで、副所長代行兼筆頭魔道士として、目も回る忙しさだそうだ。

エレノアが作った、治療ジャベック三体はそのまま寄贈されて、第三無料診療所の所属となり、毎日治療に活躍している。

特にレオニーさんを模った物は人気者となり、多くの患者が診療を受けようと押し寄せて、第三無料診療所の象徴となったようだ。


 レオンも最高評議会の評議員になった上に、メディシナー侯爵家当主になったので、さすがに、もはや気ままに旅をするという訳にはいかなくなったようで、本人は非常に残念がっている。

ドロシーさんの妹のマーガレットさんも、姉と同じように、レオンの首席秘書だ。

 そしてハインリヒは今までの罪状からも犯罪奴隷にせざるを得なかったようだが、犯罪奴隷のまま、レオンの護衛となったので、これには俺も少々驚いた。

レオン曰く、「俺を殺す一歩手前までいった奴なら、俺を守るのもうまいだろう」という事で、レオニーさんたちも呆れるやら感心するやら驚いていた。

唯一、マーガレットさんだけが不服の様子だったが、レオンになだめられて、渋々と了承した様子だった。


 評議会があった翌日には、早くもボイド侯爵家から抗議の文書が届いた。

しかし、レオニー新・最高評議長が、メディシナーの前・最高評議長が辞任し、メディシナー当主が犯罪奴隷にまで身を落とした事を報告し、クサンティペの所業を全て、文書にしてボイド侯爵家に送った。

さらにこれでも問題があると言うのであれば、メディシナー侯爵家はクサンティペのした事を全て世間に公表し、ボイド侯爵家と一戦も辞さないと文書で送ると、数日後にボイド家はメディシナー家と争う気はない、今後とも友好的な付き合いでいたいという旨の返事が来た。

クサンティペのここ数年の行動を世間に公表すれば、世論は圧倒的にメディシナー家に傾き、ボイド家の立場は相当悪くなるだろう。

流石にボイド家もメディシナーと世間の両方を敵にするのは怯んだようだ。

これにより、最悪の結果である、ボイド家とメディシナー家の全面戦争も回避された訳で、俺たちはホッとした。

戦争となれば、もちろん俺はメディシナー、いや、エレノアのために戦う覚悟だったが、戦争を回避できたなのならば、当然の事ながらそれに越したことは無い。


元最高評議長であるパラケルスさんは引退し、ソクラスさんも犯罪奴隷として日々を送っているが、二人とも、日に一つか二つのPTM魔法結晶を作成し、評議員は辞めても、メディシナーには大いに貢献している。

俺とエレノアも臨時のような物とはいえ、評議員のために忙しい日々を送った。

人事も一新されて、クサンティペの引きや、その他の不当な方法で昇進したり、役職に付いた者たちは徹底的に調べられて、その身分を剥奪された。

これにより徐々に腐りかけていたメディシナーの組織は自浄能力で見事に復活し、限りなく正常に近い状態となった。


 1週間後には臨時最高評議会が開かれて、クサンティペが横領し、蓄えていた膨大な資金は全て没収され、彼女の希望通り?医療施設を増設する事となり、監督者事務室だった建物は第六無料診療所として改装される事となった。

この新しい無料診療所は、万年人員不足の解消を目的とし、初めての試みとして所長と副所長と少数の魔道士以外の魔法治療士が、全てジャベックという発案をレオニーさんが行い、それが実行される予定だ。

今までは治療用ジャベックはあくまで人間の補助という形だったが、レオニーさんが第三無料診療所の忙しさと、エレノアの作った治療ジャベックの能力の高さに驚いた結果、実験的にそういった物を作ってみようという事になったのだ。

湯水のように資金が投入されて、メディシナー中だけでなく、近隣の町からも治療ジャベックを作成可能な魔道士たちが集められて、エレノアの指導の下に治療用ジャベックの生産を行った。

その数、何と80体だ。

これだけあれば、一つの無料診療所を運営するには十分な数だ。

僭越ながら俺もエレノアに教わり、治療用ジャベックを一体作った。

このジャベック作成の難しい所は治療魔法を使えるようにする所ではなく、患者と会話し、治療部分を判断する過程の部分だ。

この判断をジャベックにさせるのは非常に困難で、そのために今までは治療ジャベックによる診察は限定的だったのだが、エレノアの長年の知識と技術の蓄積で、その部分がかなり改善されて、ジャベックでも治療会話に十分対応する事が可能となったのだ。

この治療ジャベックたちは、まずはあちこちの診療所へ派遣されて経験を積み、第六無料診療所が出来た頃に、そこへ集結させて、本格的な治療を始める予定だ。

そして第六無料診療所は創設資金の出所から、別名クサンティペ無料診療所と命名され、皮肉にもクサンティペは死後初めて医療関係で役に立った事になる。


さらに責任を感じたメディシナー家から相当な資金も供出された。

その資金で、治療ジャベックを統括する部署も新設され、今後は何人かの魔法修士級の魔道士を治療ジャベックの作成と改良のために専任で数人雇う予定だ。

 

 後日、クサンティペ事件と言われるようになる事件から2週間後には、正式な最高評議会議長の就任式があり、その式典で俺はメディシナーの最高位であるガレノス大勲章を賜った。

受賞の建前は”数字と「ホウジョウ式行列整理ジャベック」を考案した功績”によりだ。

これによってメディシナーの医学制度が大きく変化したためだそうだ。

エレノアは以前にその勲章を叙勲していたので、今回エレノアのために、わざわざメディシナー大勲章なる物が新設されて、それを賜った。

また報奨金として、俺とエレノアにはそれぞれ金貨千枚を賜った。

当然、俺とエレノアは断ったのだが、レオニーさんが説明した。


「もちろんあなた方がこんな物を欲しくて動いたのではない事は我々も重々承知しております。

しかもグリーンリーフ先生がジャベック作成に使った費用や、御二人が無料診療所で診た患者の本来の治療費、レオンの命を救った事、また、あの三体のジャベックが今後治す患者の治療費を考えれば、こんな額では全然足りません。

それに加えて私やレオンのPTMの訓練、そして何と言っても今回のメディシナーに対する御二人の尽力は、こんな無粋な物では計り知れない価値があるのは誰でも知っています。

しかしこういった物は持っていてもさほど邪魔にはなりませんし、またメディシナーではない、どこかであなたたちの力が必要になる事もあるでしょう。

その時のためにも、どうかお受け取りください」


メディシナー最高評議長たる人にそこまで言われれば、受け取らない訳にもいかない。

俺とエレノアは謹んで金貨を受け取ったのだった。

またこの式典は他の表彰式も兼ねていて、たくさんの人が表彰された。

あの老治療士ルーベンさんもその一人だった。

実は俺の発案で、長年魔法治療に携わっている期間職員や臨時職員を賞賛すべし、百年、五十年、二十年、十年という区切りで永年勤続褒章という表彰をしてはどうか?という発案して、それが評議会を通ったのだった。

百年勤続の人には表彰状と副賞として金貨百枚と1年の休暇を、五十年の人には二十枚の金貨と半年の休暇を、二十年や十年の人にも、それぞれ褒章と休暇を与える事となった。

ルーベンさんは、その百年永年勤続褒章に該当したのだ。

流石に勤続百年はルーベンさん一人だったが、五十年や二十年もちらほらとおり、それぞれが表彰された。

表彰されたルーベンさんは少々恥ずかしそうだったが、俺にお礼を言いに来た。


「はっはっは、この年になって、こんな表彰をされるとは思わなかったわい。

これは何でもお前さんが議会に提案したそうじゃな?」


ルーベンさんは俺がPTM術士で評議員になった事は知らない。

ただレオニーさんが最高評議長になった事は知っているので、それを通じて俺が提案したと思っている。


「ええ、ルーベンさんのような人が報われないのはおかしいと思いましたからね。

でもこの案が議会を通って良かったです」

「こんな下級治療士でも、ちゃんと評価されるとはありがたい事じゃ。

しかし、この年で金貨百枚も貰っても、ちと使い道に困るのう」

「休暇も1年もあるんですから、旅行にでも行ってくればいいじゃないですか?」

「そうじゃな、わしは一回帝都に行ってみたかったので、帝都に観光でも行ってみるか?」

「ええ、それは良い案だとおもいますよ」

「うむ、しかし全くシノブとオフィーリアには世話になってばかりだな」

「そんな事もないですよ」

「ええ、その通りです」


ちなみにこの式典と宴会では三高弟であるエレノア・グリーンリーフが急遽呼ばれた事になっていて、メディシナー一族と共に、主賓席にいる。

だから今、俺の横にいるオフィーリアはエルフィールだ。

これであくまで対外的にはエレノアとオフィーリアは別の人物という事になっている。

当然、ルーベンさんもオフィーリアを三高弟であるエレノア・グリーンリーフだとは思っていない。

後で聞いた話によると、実際にルーベンさんは帝都の旅行を楽しんできたらしい。

そして全ての式典が終わり、そのまま宴会へと移行した。


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