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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0983 巡回監察官

 準備が出来た俺はバイリーさんを呼んだ。

巡回監察官の乗車として用意した3両の馬車を見てバイリーさんが感心した。


「ほほう、これはB型馬車ですな!

うちでも購入しましたが、これを巡回監察官の乗車として貸していただけるとはありがたい!

旅も楽になるでしょう。

しかしこの大型馬車はまだヒッタイト地方ではいささか目立ちますな?

これではすぐに巡回監察官の馬車だとばれてしまうのでは?」

「それに関しては大丈夫です。

ヒッタイト領に名称を変えてから半年、最近ではずいぶんとうちのB型馬車もヒッタイト領でも多くなりましたからね。

単純に便利だと思ったのか、それとも私の気を引くためか、ヒッタイト地方の貴族たちもかなり購入しています。

それにアムダール帝国の商人たちも、ガルゴニア帝国が同じアムダール帝国になったので、商売がやりやすくなって、たくさんの商人たちがB型馬車でヒッタイト地方に来るようになりましたからね。

タッカー・ホウジョウ馬車店の支店もハットウサに作って販売も順調ですから。

ですからそれほど目立たないと思いますよ。

それに場合によっては、逆にこの馬車を囮にして、バイリーさんたちは徒歩や普通の馬車で一般人のふりをして、領内を巡ると言う方法も取れる訳ですからね。

陽動作戦用の馬車としても使える訳です」

「なるほど、確かにそうですな」

「ええ、それと実はこれは特殊仕様でしてね。

本当はBK型馬車なのですよ」

「え?そうなのですか?」

「はい、変身シャンゴBK!」


俺がそう叫ぶと、その馬車の車体は真っ黒になり、側面には黄金の薔薇の紋章が現れる。


「これは・・・」


驚くバイリーさんに俺が説明をする。


「この馬車は全体が特殊タロスで覆われてましてね。

このように掛け声一つで、普通のB型馬車と巡回監察官用の馬車に変化できるのですよ」

「それは凄いですな」

「ええ、中は8人の生活仕様にして部屋を作っておきましたから、好きに使ってください。

一応トイレとシャワーも付いています。

ヒッタイト総督府としては、この馬車を総督府の一部として扱い、巡回監察官の正式な移動事務所とします。

つまりこの馬車に対して意図的に攻撃を加えたり、不法な扱いをした場合、総督府の建物に傷をつけたと同じ事になり、それだけでも帝国反逆罪となります。

これで好きなようにヒッタイト地方を回ってください。

もちろんこれを宿代わりにするだけで、徒歩で巡っていただいても構いません。

残り2台は普通のB型馬車ですので、好きに使ってください。

各領主には私の代理の巡回監察官がヒッタイト地方全体を巡ると通達はしておきますので、安心して回ってください。

これが巡回監察官の任命状と徽章です」


そう言って俺はバイリー氏に任命状と徽章を渡す。


「それとこれも渡しておきます」


俺はバイリーさんに手のひらに乗るほどの押しつぶした円筒形のような黒い物を渡す。


「何です?これは?

黒地に金色の薔薇が表面に描かれておりますな?

どうやら材質は金剛杉で出来ているようですが・・・」

「それは印籠いんろうと言って、私の故郷で本来は薬などを入れる道具なのですよ」

「インロー?」


当然の事ながらバイリーさんはそんな物を見た事もなく、不思議そうに俺に尋ねる。


「ええ、ほら、ここから上下に二つに割れて中が空洞になっていて、そこに薬などを入れられるようになっているでしょう?」


俺の言葉に従ってバイリーさんが渡された印籠を上下にパカッ!と開けて、中を確認する。


「おや、中には何かすでに入っているようですが?」

「ええ、本来の役目が薬入れですからPTMの魔法結晶を三つほど入れておきました」

「なんと!PTMの魔法結晶ですか!」

「ええ、旅先などで何かの時には使用してください」

「承知しました。ありがとうございます」

「それとその印籠自体をいざという時は相手に対して使ってください」


俺がそう言うと、バイリーさんは不思議そうに尋ねる。


「これを?どのように?」

「ええ、一応このヒッタイト地方では皇帝陛下を除けば、総督である私の権限が一番上ですからね。

巡回監察官で総督補佐官でもあるバイリーさんはその代理人という訳です。

つまり地位的にはバイリーさんはヒッタイトの領主よりも上な訳です。

ですからもし領主や代官などであなたに文句を言う者がいれば、その黄金の薔薇の紋章を見せつけてやってください。

私はすでにヒッタイト地方の各領地にヒッタイト総督代理として「黒地に金色の薔薇」の紋章を持つ者に逆らう者は、ヒッタイト総督ホウジョウ伯爵に弓引く者として通達をしています。

しかもそれをどんな田舎の町村にまで通達するように命令してあります。

その印籠の実物大の絵なども何千枚も印刷して、各地に回覧を徹底させていますから、領主や代官だけでなく、少なくとも村長や町長など以上の者は、その通達を知っているはずです。

万一知らなかったら、それを通達しなかった者を厳罰に処するとも通達してあります。

それと勝手にその紋章を使った者には厳罰を与えるともね。

ですからもし領主や代官などであなたの言う事を聞かない連中がいたら、その印籠を見せてこう言ってください。


    『この紋章が目に入らぬかーっ!』


てね。

あ、その役目はバイリーさん本人よりも、お供のミーツァさんか、キサッサさんがやった方が良いですよ。

大声で


   『この御方をどなたと心得るーっ!

    恐れ多くもヒッタイト総督補佐官、バイリー・ボート様にあらせられるぞっ!

    頭が高いっ!控えおろうっ!』


って言いながらね。

その方が相手もより恐れ入るでしょう」


それを聞いたバイリーさんが笑いながら話す。


「ははは、なるほど!

ではその役目は声が太くて大きいミーツァに任せましょう!

これはお前が持っておけ、よろしく頼むぞ、ミーツァ」


そう言ってバイリーさんは印籠をミーツァさんに渡す。


「承知しました。

謹んでお預かりいたします」

「いや、これは本当に中々面白い旅になりそうです」

「ええ、それとこれもバイリーさんに託します」


そう言って俺はベルトに付けられる、小さな眼鏡ケースほどの大きさの箱を渡す。


「これは?」

「開けて頂くとわかりますが、中には3つのマギアグラーノが入っています」

「マギアグラーノですか?」


そう言いながらバイリーさんがその箱をパカッと開けると、そこには赤、青、黒の3つのマギアグラーノが入っている。


「はい、その赤いマギアグラーノはレベル300の戦闘用のジャベックが入っています」

「何と!レベル300ですか!」

「はい、起動「剛腕ごうわん」!」


俺の言葉により、赤髪のがっしりとした男性型ジャベックが現れる。


「この剛腕はレベル300で魔法学士級の魔法が使える汎用ジャベックで、特に戦闘に秀でています」

「それは凄い!」


この剛腕はうちのガルドとほぼ同じ性能のジャベックだ。

俺がガルドを参考にして造った物だ。

そして俺は次に青いグラーノを手にする。


「起動ベサーノ」


次に青い長髪で温和なエルフのような感じの男性型ジャベックが現れる。


「これは一応レベル250の汎用ジャベックで、戦闘なども可能ですが、基本的には治療用のジャベックです」

「ほう、治療用ですか?」

「ええ、基本的に魔法は魔道士級に使えますが、治療魔法は1級まで使えます」

「何と1級までですか?」

「ええ、ですから再生治療や集団回復魔法なども使えます」

「それは素晴らしい」


そして俺は最後に黒いグラーノを起動する。


「起動「闇夜やみよ」」


すると今度は黒い長髪の美女ジャベックが現れる。


「ほう、これは?」

「これはレベル200の魔道士級の汎用ジャベックですが、基本的に隠密行動などに使います。

偵察や潜入捜査、女性の囮捜査などが必要な時に重宝するでしょう」

「なるほど」

「この三体のジャベックもお預けしますので、必要に応じて使ってください」

「ありがとうございます。

これは色々と使えそうですな」

「ええ、これ以外にも馬車の運用などに、サーバントやヘルパー、ラボロなども何体かつけますので存分に使ってください」

「いや、何から何までありがたいですな!

では各地を巡って、つぶさに監察をして来ますよ。

御報告をお待ちください」

「ええ、よろしくお願いします。

それとうちの若い者を二人つけますので、彼らを鍛えてやってください」

「承知しました」


こうしてバイリーさんは巡回監察官としてヒッタイト地方の世直し・・・じゃなかった、監察の旅に出たのだった。

後日、バイリー巡回監察官一行はヒッタイト地方の各事件を解決する事になり、その名声を上げて行く。



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