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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0099 メディシナー最高評議会

 ついにメディシナー最高評議会が開催される。

最高評議会議長である、パラケルス・メディシナーが開会の宣言をする。


「それではこれより定例のメディシナー最高評議会を始めます。

全員御着席ください」


宣言がなされると、現在の評議会議員、すなわち、ソクラス・メディシナー、プラトス、クリトン、そしてアイザックのガレノイドが着席する。

全員が着席すると、パラケルスが嬉しそうに話し始める。


「さて、まずは皆さんに嬉しいお知らせがあります。

今回は我が評議会に新しい評議委員が誕生しました。

それも3名もです」


そのパラケルスの言葉に評議員全員が驚く。

PTMを使える魔道士が誕生する事は滅多にない。

それが三人も同時など、初めての事なのだろう。


「それでは御紹介いたします。

レオニー・メディシナー評議員、レオンハルト・メディシナー評議員、

そしてシノブ・ホウジョウ評議員です」


議会室のドアが開いて俺たち3人が入室し、席に座る。

今日の今まで、俺たちは事を伏せて行動していたので、評議員たちは全員驚きを禁じえない。

それはレオニーさんたちの実の父、ソクラスさえも例外ではなかった。


「評議員の皆様も御存知の通り、レオニー・メディシナー、レオンハルト・メディシナーは私の曾孫であり、現メディシナー家当主、ソクラス・メディシナーの娘と息子でもあります。

またシノブ・ホウジョウ氏は二人の友人で、この度15歳と言う過去最少の年齢で、本会評議員となりました」


その途端、評議員席で無い場所から叫び声が上がる。


「ちょっと待って!

これは一体どういう事なの?」


俺がその声が上がった方向を見ると、そこには一人の初老の女性が興奮して座っている。

なるほど、水晶玉越しではともかく、実物は初めて見たが、これがクサンティペ・メディシナー、つまりはレオニーさんたちの義母か?

確かに中々高慢そうで、ずいぶんとギスギスしたおばさんだ。

糾弾する声に対して、パラケルスさんが落ち着いた声で答える。


「今、紹介した通り、新しい評議員たちです。

それが何か?」

「なんでこんな評議員がいるのよ?

そもそも評議員はPTMが使えなければなれないんでしょ?」

「この3名は一昨日PTM術者として登録されて、私自身が確認をしております。

そして規約に従い、昨日評議員としても登録されて、今回の評議会に出席しております。

何か問題でも?」

「なんですって?

そもそもレオンハルトが何故生きて・・・いえ、何でもないわ」

「おや?俺が生きていると、何かおかしいのかな?監督者様?」


そのからかうようなレオンの言葉に、クサンティペは憤怒の形相をするが、正規の手続きを踏んで評議員となった俺たちには、文句のつけようがない。

ましてや自分がレオンが死んでいたと思っていたなど、口が裂けてもいえないだろう

混乱してパニック状態になったクサンティペは、すでにボロが出そうだ。

どうやらエレノアの「レオンハルト死んだふり作戦」は大成功のようだ。

一方、パラケルスさんは淡々と話を進める。


「さらに今回は皆さんに素晴らしい方を御紹介させていただきます。

この場でこの方を紹介させていただけるのは、私にとっても大変名誉な事です。

長きに渡って御不在でしたが、今回80年ぶりに評議員として参加される、エレノア・グリーンリーフ評議員です」


評議員たちの間から、おお・・・と声が上がり、全員が注目する中、エレノアが入室し、席に座る。

いつもの緑と若草色の服ではなく、白い評議員服を着たエレノアはまた美しい。


「グリーンリーフ評議員は皆様も御存知の通り、ガレノス三高弟の御一人であり、また私の治療魔法の師でもあります。

永きの間、旅に出ておりましたが、この度メディシナーに戻られ、今回の参加と相成りました」


その紹介にエレノアは、一旦立ち上がると自己紹介をする。


「エレノア・グリーンリーフです。

この度、実に80年ぶりの評議会への参加となります。

この椅子に座るのも80年ぶりです。

皆様よろしくお願いいたします」


ここで再び、クサンティペから声が上がる。


「ちょっと!この女は何なの?

私は知らないわよ!

だいたい奴隷女ごときが、何でこの場所にいるのよ!」


その抗議に評議員たちが顔をしかめ、パラケルスが厳かに説明をする。


「御静まりください。

この方は今説明した通り、ガレノス三高弟の御一人であり、メディシナー独立戦争の英雄でもあらせられます。

私が生まれる以前からこの最高評議会の一員でもあり、名誉最高評議員でもあります。

例え現在が奴隷の身であろうとも、その事にいささかも問題がある訳ではございません。

メディシナー生まれの者ならば、魔法治療士でなくとも、必ず御名前は知っているほどの方で、建国の母でございます。

この方無くしてメディシナーは有り得ませんでしたし、例えメディシナー家の一族といえども、この御方に逆らうなど考えられません。

ましてや卑しくもメディシナーに住んでいて、仮にも最高評議会に出席している者が、この方を知らないなど無知蒙昧も甚だしい。

しかもそれを堂々と議会中に宣言するなど、己の無知無教養をさらけ出し言語道断です。

名誉最高評議員であるエレノア様に対する、これ以上の侮辱は、ここにいる評議員全員が許しませんぞ?

今一度そのような言動があれば、直ちに名誉最高評議員を侮辱した物として、即座に逮捕監禁させていただきます。

よろしいですな?」


パラケルスさんの断固とした説明と共に、俺を含めた評議員全員が無言でうなずき、クサンティペをジロリと睨む。

そしてエレノア本人は超然と構えて座っている。


「なっ?名誉最高評議員?」


自分が全く知らない大物の登場と、かつて味わった事も無い評議員全員の重圧に、さすがのクサンティペも言葉を失う。


クサンティペを黙らせると、議長であるパラケルスさんが議会を進行する。


「それでは早速本日の議会を始めたいと思います。

今回提出されている議案は4つです。

一つ目は評議員の資格制度を変える事、具体的には監督者を評議員の一人として認める事です。

これに関して何かご意見は?」


これこそがクサンティペがレオン暗殺と共に、今回狙っていた物だった。

今まで傍観者であった自分を議決権を持っている評議員として認めさせ、今までのように間接的でなく、直接評議会自体を自分の思うがままに操ろうとする思惑の一端だった。

パラケルス最高評議長が全員に意見を求めると、早速レオニーさんが挙手して発言を求める。


「はい」

「レオニー評議員」

「私は反対です。

ここメディシナーは医療で成り立っている都市です。

それは始祖であるガレノス・メディシナー以来の意思で、変更されるべきではないと思います」


レオニーさんの意見にクサンティペが反論する。


「いくらここが治療都市と言っても、一般市民も大勢いるのよ?

その市民の声として監督者は存在するのです!

その監督者が議決権を持つのは当然の事です!」

「もちろん市民の声は重要です。

しかしそう言った意見は、高等運営委員会や、一般市民も議員になっている一般審議会から当会に議案は上がってきており、決してないがしろにされている訳ではありません。

監督者の意見は見当違いも甚だしいです」

「御黙り!この小娘が!」

「監督者は不穏な言葉は謹んでください」


パラケルスさんの言葉で、二人も一時言葉を止める。


「他に意見はないですか?」


誰も発言はしない。


「では票決に移りたいと思います。

この案に賛成の方は挙手してください」


その声に誰も賛成の手をあげない。


「では、反対の方、挙手してください」


ソクラス、プラトス、クリトン以外の全員の手が上がる。


「では賛成0、反対6、棄権3でこの案は棄却されました」


その議長の言葉にクサンティペが声を荒げる。


「ちょっと待って!これはどういう事よ!」

「監督者には何か御意見でもありますか?」

「大有りよ!これは一体どういう事なの?」

「今話した通りです。

この発案は評議会として正式に棄却されました」

「私は反対、いえ案に賛成よ!」

「現時点で監督者には発案する権限はあっても、決議権はありません。

また仮にあったとしても、賛成1で、やはり本案は棄却されます」

「なっ!」


パラケルスは監督者であるクサンティペを無視して議会を進める。


「問題はないようですので、次の議案に参ります。

次の議案はPTM抽選券の金額を金貨1枚から銀貨1枚に戻すという物です。

これに関してどなたか御意見は?」


その言葉に対して、再びレオニーさんが発言を求める。


「私はこの案に賛成です。

そもそもPTM抽選券は本来無料でも構わないはずの物です。

それが銀貨1枚の金額だったのは、単に無料だと大量に抽選券を求める者がいたからという理由です。

金貨1枚になる理由など、どこにもありません」


その意見に即座にクサンティペが反論する。


「何を言っているの?

この医療都市の施設を整えるために財源が必要でしょう?」


その発言にまずはパラケルスが苦言を呈する。


「クサンティペ監督者、意見を述べる時は発言を求めてからにしてください」


レオニーさんが発言を求め、許可される。


「では監督者にお聞きします。

金貨1枚に移行されてからすでに5年経ちますが、この5年の間に一体何の医療施設が増設されましたか?」

「クサンティペ監督者、回答をどうぞ」

「・・・それはメディシナーに監督者の建物が新築されたわ」

「しかし、それは監督者の事務室であって、医療施設ではありませんよね?

しかも必要もないのにわざわざ建築した施設です。

それも無駄に広いだけの?」

「監督事務室は必要よ!」

「承知しました。

ではそれを必要だと認めたとして、その建築費だけでは、金貨1枚をPTM抽選券で5年分蓄えた分としては全く足りませんよね?

本来の医療施設は、なぜ増築されないのですか?」

「それはこれから作るのよ!」

「先ほども言った様に、すでに5年が経っていますが、まだたった一つの医療施設も建てられてはおりません。

なぜですか?」

「だからこれからだと言っているでしょう!」

「それでは答えになっていません。

それにこれから作るとして、一体何の医療施設を作る予定なのですか?

監督者に具体的な案を求めます」

「うるさいわね!小娘が何を言っているの!」

「監督者は不穏な発言はやめてください」

「・・・以上のように金貨1枚のPTM抽選券は全く根拠がなく、銀貨1枚に戻すべきだと私は提案します」

「他に意見のある方はいませんか?」


クサンティペはワナワナと震えているが、さすがに意見を言わない。


「では票決に移ります。

この案に賛成の方は挙手してください」


この評議には何と全員の手が上がった。

満場一致だ。


「ではこの案は満場一致で可決されました」


この結果にクサンティペは驚きの声を上げる。


「なっ!」


クサンティペは評議員たちをにらみ叫ぶ。


「あなた!これは一体どういう事なの!」


自分の夫であるソクラスを睨むが、本人は目を瞑って答えない。

次にクサンティペの矛先は他の評議員に及ぶ。


「プラトス!クリトン!

どういうつもり!」


その質問にも二人はうつむいて答えない。

いよいよクサンティペも孤立無援だ!


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