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おねショタ好きな俺は転生したら異世界生活を楽しみたい!  作者: 井伊 澄洲
おねショタ好きな俺が転生したらエロフに騙された!
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0009 迷宮の主との死闘

 この世界に来て5日目の朝、俺は気合を入れて地下迷宮に潜った。

今日は魔物の鈴はつけずに5階まで一気に降りてみる。

地下5階への階段を下りた場所に


「地下最深部、要注意!」


と書いた看板が立っていた。

それを読んで、俺は改めて気を引き締めて迷宮地下5階を歩き出した。


しばらく歩いていると剣を持った骸骨が出てきた。

いわゆるスケルトンという奴だ。

いきなり動く骸骨が出てきて、俺もギョッとしたが、剣を振るえば一振りでスケルトンはバラバラに崩れ落ちて散った。

またしばらく歩いていると今度は赤いサソリ、ルージャスコルピオだ。

あれ?こいつ確か・・・俺が思い出そうとしていると、赤いサソリはいきなり炎を吐いてきた。


「ひっ!」


慌てて俺はそれを避ける。

そうだった。

この赤いサソリは火を吹くんだった。

レベルは確か21、今までの魔物の中では最強だ。

しかし俺が落ち着いて剣を振るうと、これまた一撃で赤いサソリは四散する。

確かに地下5階の魔物は今までの魔物に比べれば強いようだったが、俺の鋼の3倍剣では、どれも相変わらず一撃で終わりだった。

地下4階の魔物より強いとわかったのは、ゴーレムが一匹の魔物を倒すのに手こずったからだ。

どうやらこの迷宮で一番強いのは火を吹くルージャスコルピオで、体の装甲も中々硬く、俺はともかくゴーレムたちはそれに結構てこずる。

しかし、段々ゴーレムたちも手馴れてきて・・・というよりも俺が使役物体魔法になれてきて、次第に地下5階の魔物も軽くあしらえるようになってくる。

昨日の実験でも思ったが、この使役物体魔法というのは消費魔法量は同じでも、術者のレベルや経験・術式によって、ゴーレムのレベルや強さ、錬度がずいぶんと変わるらしい。

つまり同じ魔法量を消費しても、よりレベルの高い術者の方が優秀で、強いゴーレムを作れるようなのだ。

同じ材料で素人なら大した料理は作れないが、名コックなら見た事もないような料理を作れるような物だろうか?


 そうした経験を重ねて地下5階を歩いている間に、あからさまに怪しい扉がある場所に出くわした。

迷宮の端の方にある、大きく重そうな観音開きの扉がある部屋だ。

俺は体力を回復してから、その重そうな観音開きの扉を開けると、そこは礼拝所のような広い場所になっている。

天井は他の場所の3倍は高く、正面の奥の方には一段高くなっている場所があり、その中央の祭壇のような場所には、いかにも何かありそうだ。

広い部屋の中には骸骨が無数に転がっていて、犠牲者の数を物語る。

明らかにここに何かいる証拠だろう。

レベルはすでに23まで上がっていたが、当然用心に越したことはない。

俺は自分では入らずに、まずは、その時出していたゴーレム6体にそのまま周囲警戒させて、もう4体を偵察用に新しく作り出すと、部屋の中に先行させてみた。

 しかし、その4体をいくら中でウロウロさせても、特に何か変化する様子はなかった。

祭壇の上まで歩いても特に何もないようだ。

おや、俺の勘違いだったのか?と、俺自身も部屋の中に入ってみた。

周囲を警戒して、用心しながらも部屋の中央付近まできた、その瞬間だった。

突然、部屋の入り口の扉がバタン!と閉まり、部屋の雰囲気が変わった。


「あっ!」


驚いた俺は急いで引き返して扉を開こうとしたが、だめだった。

それは完全に閉じられてビクともしなかったのだ!

これは迂闊だった!

これは予想してしかるべきだった!

迷宮に慣れてしまって来たか、はたまた逆に初めての異世界での迷宮で感覚が鈍っていたか?

部屋の中央の祭壇には怪しい揺らめきが生じ始めた。

これはこの世界に転生した時に、あの角ウサギで見た魔物が発生する兆候と推測した現象だ。

やはりあれは魔物が発生する兆しだったのだろう。

しかもここは迷宮の地下5階の最深部で、いかにもなボス部屋だ。

俺の推測が間違ってなければ、ここに発生するのは、メリンダさんの言っていた、この迷宮の主とやらだろう。

ここは比較的小さな迷宮だが、これまで戦った魔物の感覚からすれば、おそらくここの主とやらは、まだ今の俺よりも強いだろう。

(冗談じゃない!まだボスなんぞと戦う気はなかったのに!)

チキンと言われようが、小心者と言われようが、俺は自分では用心深い男と思っている。

前世のRPGゲームでも余程の事がない限り、俺は全滅した事や死んだ事はない。

確かに数日後にはここを完全に攻略しようとは考えていたが、まだ時期尚早だ。

今日の所はせいぜい五階のだいたいの部分を覚えようと考えていた程度だ。

それにゲームと違って、これは現実だ。

死んだら終わりなのだ!

俺はこの世界に転生してから、これほど緊張して焦った事は初めてだった。

しかも確かメリンダさんの話では、この迷宮の主とやらはレベル25以上の人間が数人掛かりでないと危険だと言っていた。

それに対して俺の現状はレベル23で、たったの一人だ!

明らかにこの状況は絶望的な状況だ。

装備だけは良いからそう簡単にはやられないだろうが、勝てるかどうかは怪しい。

いや、それどころか、普通に戦えば、どう考えてもやられる公算の方が高いだろう・・・

そこまで一瞬で考えた俺の脳裏に「死」と言う単語がよぎった。


死?


そう、俺は今日ここで死ぬかもしれない!

一度そう考えると、全身からドッと冷や汗が出て、心臓は早鐘のように動く!

恐怖のあまりにパニックを起こしそうなほどだ。

(ちくしょう!転生して、まだ数日だってのに、こんなとこで死んでたまるか!)

そう思った俺は、持てる全戦力の放出を覚悟した。

出し惜しみなどしている状況ではない!

まずは戦力の増強だ。

すでに手馴れた使役物体魔法でゴーレムを大量生産する。

現在10体のゴーレムが出ているが、時間がある限り、大量生産だ。

幸い場所は広いので、何体でもゴーレムは出せそうだ。

確かに俺は一人だが、ゴーレムを生成できる分、かなり有利なはずだ。

ゴーレムを数多く出せば、そう簡単にやられるはずはない!

(全く戦闘用ゴーレムをたくさん作る練習をしておいて良かった・・・)

俺は心底そう思った。

昨日と今日の実験や練習で、俺のゴーレムは、かなり戦闘に関しては使えるようになっていた。

今やこの迷宮の魔物は、地下五階以外の魔物なら、どの魔物でも一撃で倒せるようになっているし、地下五階の魔物でも、2回か3回の攻撃で倒せるほどだ。

物も言わず、ただ黙々と戦うだけの存在ではあるが、人間の仲間もおらず、一人で迷宮をさまよっている俺にとっては、頼もしい味方だ。

次々と使役物体魔法でゴーレムを生み出すが、3体ほど出した所で、例の炎の形が、何かの形に変わっていく・・・

まずい!もうタイムリミットだ!

そう考えた俺はゴーレム生成をやめて、装備を今使っている鋼の剣から、現時点で使用可能な武器の中で、最強のアレナック5倍刀に変える。

このアレナックという金属は、ガラスか水晶のように透明だが、その強靭さは鋼の数百倍という強さを持っているらしい。

俺が取り出したこの刀は、そのアレナックで出来た日本刀だ。

この刀だとまだ大したレベルでもない俺ですら、その辺の魔物や木はもちろんの事、鉄の鍋や鋼の剣まで、スパスパと切れてしまうほどだった。

実はもっと強力な剣も持っているのだが、まだレベルが低いせいか、十分に使いこなせなかったのだ。

しかしこのアレナック5倍刀でも十分すぎるほど強いはずだ。

(よし!)

時間ギリギリで、現状で最強装備に変えた俺の目の前に迷宮の主が現れた。


それは巨大な牛頭半人のミノタウロスだった!


鑑定してみるとレベルは30!

なるほど、やはり今の俺よりも高い!

ミノタウロスは出現すると、両手持ちの斧のような武器で、雄たけびを上げながら、即座に攻撃を開始する。

だが、そこには俺の作ったゴーレムの壁がある。

合計13体ものゴーレムで作った壁はさすがに厚く、ミノタウロスはそれを突破して俺には攻撃ができない。

ミノタウロスが簡単にはこちらに攻撃は出来ない事を確認した俺は一応ホッとする。

しかし、もちろん油断は論外だ。

俺はさらに壁を強化すべく、使役物体魔法を使い、ゴーレムを増やし始める。

すると俺がゴーレムを5体生成するうちにゴーレムが3体、ミノタウロスにやられた。

このまま行けば、あっちが俺のゴーレムを潰すより先に、俺がゴーレムを増やす方が早いだろう。

安心した俺はとりあえずゴーレムを20体まで増やすと、ミノタウロスの後ろに回った。

ここまでゴーレムを増やせば、ミノタウロスを三重四重に包囲出来るので、奴が自分の全周囲に攻撃可能な手段でも持っていない限り、俺に攻撃が来る可能性はない。

俺の魔法力は指輪で消費力が1割になっている上に、魔力回復剤も大量にあるので、かなり余裕がある。

このまま消耗戦に持ち込んでも、おそらく勝てるだろうが、どれ位の時間がかかるかわからない。

下手をしたらこのまま数時間もかかる消耗戦になるかも知れない。

それならば、膠着状態が続いている今のうちに、少なくとも俺も後ろから一撃をかましてやろうと考えたからだ。

ゴーレムの壁を作り、隙を突いて俺が攻撃をする。

ゴーレムが減ってきたら補充して同じ事を繰り返す。

地味だがこれが一番確実に勝てる方法な筈だ。

俺が後ろに回りこんでいる間も当然、ゴーレムたちは攻撃をし続けるために、ミノタウロスは俺には対応できない。

20対1なので、前後左右から、たこ殴り状態ではあるが、さすがにミノタウロスは強く、一体、また一体とゴーレムはやられていく。

だが残り10体ほどになった時に俺は完全にミノタウロスの背後に回りこむ。

隙を見極めるためにしばらく観察をしている間に、また4体ほどゴーレムがやられる。

このままではゴーレムが全滅して、俺に襲い掛かってくるだろう。

それを防ぐために、もう一度ゴーレムを量産するには、これ以上は待てない。

そう考えてミノタウロスの死角に回りこんだ俺は、渾身を込めた一撃を放つ!


「どりゃ~~っ!!!」


ゴーレムたちと戦っていたミノタウロスはこちらに気づく間もなく、まともに背後から俺の一撃を受ける。

と、次の瞬間、パアッ・・・と、ミノタウロスが四散して砕け散る。

その途端、俺には今までないような力の上昇感覚があり、恐ろしく自分のレベルが上がった事を感じ取る。

カラン、カラン・・・と音がして、そこに何らかのアイテムが落ちたのがわかる。


「えっ?」


俺は驚いた。

いや、確かに渾身の力は込めたよ?

それに俺の攻撃力は鋼の剣でも、ゴーレムよりも推測で6倍近く強かった。

ちなみにこれは元々鋼の剣装備の俺がゴーレムの2倍近い攻撃力だったのだが、鋼の剣に3倍攻撃効果があったので、6倍となっていたのだ。

しかも今装備しているアレナック5倍刀なら、ゴーレムの十五倍以上は間違いなく、もしかしたら二十倍以上の攻撃力があっただろう。

しかしそれでも、まさか自分よりレベルが上のボスを一撃で倒せるとは思っていなかった。

もちろん、それまでも俺のゴーレムに散々ボコボコにやられていたのは当然だが、どうも俺は自分が考えていた以上に強かったらしい。

もっともこれは武器の良さと、特殊効果のせいも大きいので、過信と油断は禁物だ。

何にせよ、無事にこの迷宮の主とやらを倒せたのは喜ばしい事だ。

もちろん、俺にダメージはない。

まさか今のミノタウロスは前座で、この後に真の主とかが現れたりはしないよな?

念の為に周囲を警戒するが、もはや魔物が現れる気配も兆候もない。

やはりこのミノタウロスがこの迷宮の主だったようだ。

どうやら俺はこの迷宮の主に勝ったらしい!


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