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第9話 指輪と戦闘

 翌朝。宿で一晩を明かした俺たちは、初代親方捜索のためイトエル山へと踏み込んでいた。


「シャル様。ここの足元、気を付けてくださいね。石で滑りやすいんで」


「ありがとうございます、マキナさん」


 ……シャルとマキナの雰囲気が柔らかい。二人とも、昨日より打ち解けているような気がする。同じ部屋に泊ってたから、ガールズトークにでも花を咲かせていたのだろうか。


 まあ、何にしても二人の距離が縮まったのは良いことだ。同性ということもあって、これからシャルの護衛にはマキナをつけることが多くなるかもしれないし。


「………………」


 しかし……なんだろう。今朝からシャルの視線をずっと感じている。

 マキナに訊いてみればよかったのだろうが、本人がいる前で訊くのも躊躇われて、何だかんだタイミングを逃してしまっている。

 そのマキナはというと、ジェスチャーで謝るばかりだ。……このバカメイドめ。何かやらかしやがったな。


「それで、マキナ。初代はこの先にいるのか?」


 行く手には明らかに人の手で作られた目印のような紐が木に括りつけられており、往く手を遮っている。


「結界……ではないようですね。潜ってしまおうと思えば潜り抜けられますが……」


「ですねー。麓の村の人にも聞いてみたんですが、この奥は村人には立ち入りを禁じているようですよ。わたしたちみたいな外部の人間の場合は、自己責任でどうぞってことらしいです」


「この先に何かあるんですか?」


「なんでも、恐ろしい怪物がいるそうです。不用意に立ち入った盗賊がボロボロの状態で発見されたーなんてこともあったそうですよ」


「正義感に溢れた良い怪物じゃねぇか」


「その怪物に正義の分別がついてたらの話ですけどね」


「正義ってのは暴走するもんだ」


「そりゃそーだ。で、どうします? この先に進むと、正義の名のもとに鉄槌を下されちゃうかもですが」


「正義は我にあり」


「言うと思いましたよ。んじゃ、進みましょうか……っと、シャル様は麓の村で待機しますか? 一応、他の『影』も連れてきてますので、警備的に問題はありませんが」


「アルくんも行くんですよね?」


「そりゃな。俺が行くのが筋ってもんだろうし、王族なら荒事は義務みたいなもんだ」


 『第五属性エーテル』の魔力を授かる王家には、『ある特殊な魔物』と戦う義務がある。

 戦闘技術は必須といってもいいし、それは『第六属性エレヴォス』を授かった俺も例外ではなかった。


「私も同行します。これは私の問題でもあるわけですし……戦闘訓練は受けてきましたから」


 言いながら、シャルは腰に下げている剣に手を添える。

 思えばシャルにも『第五属性エーテル』が宿っているのだから、今のうちに荒事には慣れさせておいた方がいいか。


 それに腕前の方も学園で見ていた限りではかなりのものだ。

 下手な三年生より強かったし。


「シャルのスタイルは剣と魔法球の両方を組み合わせた『近距離寄り万能型』だったよな」


「はい。アルくんは学園だと確か……魔法球と罠系の魔法を組み合わせた『中距離支援型』でしたよね」


「……ま、一応そうだな。それで、マキナが……」


「わたしは『近距離型』ってことにしときましょうか。ナイフとかびゅんびゅんするやつ。暗殺系メイドっぽくて良くないですか?」


 マキナの『隠し玉』を考えると、こうした戦い方(スタイル)で分けるのはあまり意味がない。本人は素のスピードも相当なものだし、状況に応じて援護もしてくれるだろうし大丈夫だろう。


「『近距離寄り万能型』と『中距離支援型』と『近距離型』か……バランスもとれてるし、問題なさそうだな。シャルの魔指輪リングの構成を把握しておきたいんだけど、何をつけてきたか教えてくれるか?」


「右手は『強化付与フォース』、『加速付与アクセル』、火属性の『火炎付与エンチャント』、土属性の『大地付与エンチャント』の四つ。左手は火属性の『火炎魔法球シュート』、風属性の『烈風魔法矢アロー』、土属性の『大地魔法壁ウォール』、『強化付与フォース』の四つですね」


「へぇー。それだけの数と属性を扱えるなんて優秀ですねー」


「確かに。ちゃんと剣を持つ利き手に付与系をつけてるのは流石、優等生だな。苦手な属性を補えるようにもなっているし、癖も無くて連携を合わせやすそうだ」


 魔指輪リングは指一本につき一個つけることが出来る。


 理論的には五本指が二つで合計十個つけられるようになっているのだが、咄嗟の時に適切な指に魔力を送り込むにはある程度の技量が要求される。


 なので、五本の指全てに魔指輪リングをつけて戦える者はあまりいない。

 『遠距離』のようにある程度の余裕があるスタイルもあるので一概には言えないが、片方の手につき三個ずつが平均的といったところだろうか。


 それでいうとシャルの両手に四つずつは、戦闘でシビアなタイミングが要求されることの多い『近距離寄り万能型』ということを考えると、かなり優秀な部類だ。


 加えて、どちらの手に魔指輪リングをつけるのかも重要な要素でもある。

 たとえば右手に持った剣に魔法を付与させたい場合。最初から右手に付与系の魔指輪リングをつけておけば構えを崩すことなく剣に魔法を付与させることが出来るのだ。


 しかし、慣れてないやつはここで左手に付与系の魔指輪リングをつけてしまい、わざわざ構えを崩して左手で右手の剣に付与魔法をかけるはめになってしまう。


「これぐらいは基本ですから。一応、他の魔指輪リングも持ってきてますし、希望があれば構成を変えることも可能ですよ」


「いや。とりあえず今のままで行こう。この先に居る怪物が何なのか分からないと構成も決めようがないし、直前になって構成を変えるのはあまり良くない」


 ロープを潜り抜け、『近距離型』のマキナを先頭に俺たちは先へと進んでいく。

 噂の怪物が一体何なのか。それはすぐに判明した。


「マキナ。止まれ。『索敵サーチ』に何か引っかかった」


 俺が持つ支援系の魔指輪リングの一つ『索敵サーチ』は、周囲にある魔力反応を調べることが出来る。

 気配を殺し、反応があった方向へと進んでいく。茂みから様子を窺うと、視線の先に全長二メートルほどの怪物・・が周囲を歩いているのが見えた。

 全身が岩で構成されている二足歩行。人の形をしている。


「アレが怪物だろうな」


「怪物というよりも……アレはゴーレムですね」


「みたいですねー。どうします? やり過ごしてもいいですけど」


「……いや。一応、姿を現してみよう。攻撃してこないならそれでいいし、攻撃してくるなら迎撃すればいい。あのゴーレムの性能も余裕があるうちに把握しときたいしな」


「慌ててからじゃ遅いですもんねー。りょーかいです」


 軽く打ち合わせをしてから、茂みから姿を現してみる。

 ゴーレムは俺たちに気づくと、すぐに戦闘態勢をとってきた。


「グオオオオオオオ!」


 強大な拳を振り上げ、そのまま叩きつけてくる。俺たちは散開し、地面を砕かんばかりに振り下ろされた拳を躱す。……なるほど。戦闘開始か。


「「『強化付与フォース』!」」


 まずはシャルとマキナが同時に『強化付与フォース』の魔指輪リングを発動。

 近距離型においては肉体を強化してくれる『強化付与フォース』の発動は基本だ。


 その後、二人は連携をとって同時に斬りかかる。鋼の刃を叩きつけられたゴーレムは多少よろめきはしたものの、ほんの僅かなかすり傷を負ったに過ぎない。


「うわー。アル様、こいつ結構堅いですよ。斬りつけたこっちの手が痺れそうです」


「武器への強化なしではダメージを与えられそうにありませんね」


 一つの魔指輪リングで強化できる対象は一つだけ。肉体に強化を割けばその分、武器を強化出来なくなる。両方強化したい場合は、シャルのように両手の指に『強化付与フォース』の魔指輪リングをつけておく必要がある。


 ……まあ、初撃は相手の装甲がどれほどのものかを確認するためのものだ。

 次の段階に移行しよう。


「分かった。それじゃあ、次の段階を頼む」


 俺の許可が下りたところを見計らって、二人はもう片方の指にはめていた『強化付与フォース』を発動させ、肉体と武器の両方を強化。

 再びタイミングを計って同時に攻撃を叩き込んだ。


「グオオオオオオオ……!」


 今度は明確なダメージだ。先ほどよりも刃が深く刺さり、装甲に傷が入る。……が、それでもまだ損傷は軽微と言えよう。


「シャル様、結構やりますね。それなりに速めに動いたつもりだったんですが」


「マキナさんこそ流石ですね。何とかついて行けてほっとしてます」


 女子二人がトークに花を咲かせながらも、役割は忘れていないらしい。

 シャルは一度、ゴーレムと距離を置くと今度は左手の指輪を発動させる。


「『火炎魔法球シュート』!」


 魔力によって生み出された火炎の球体がシャルの手から放たれる。

 一直線に突き進む紅蓮の球体は、見事にゴーレムの胸部へと炸裂した。


 火属性は四代属性の中で最も火力が高い性質がある。相応のダメージはあったようで、ゴーレムの身体が大きく揺らいだ。


 そこをすかさずマキナが斬りかかり、相手に的確にダメージを与えていく。


「マキナさん!」


「りょーかいっ! わたしのことは気にせず、思いっきりやっちゃってください!」


「はいっ! 『烈風魔法矢アロー』!」


 次に放たれたのは風属性の魔力で構成された矢だ。

 同じ中距離魔法の『魔法球シュート』と違う点は、威力を削る代わりに速度と弾数を向上させたという点だ。加えて、風属性ともなれば速度を更に向上させることが出来る。

 動きの鈍ったゴーレムを捉えることなど造作もなく、シャルは全てを命中させていた。

 だが……。


「んんー? アル様、こいつ見た目ほどダメージがないっぽいです!」


 マキナの言葉通り。爆炎の中から現れたゴーレムは傷こそ負っているものの、いまだ健在。装甲の表面には亀裂が広がっただけにとどまっている。表面にしか届いていないってことか? いや……装甲に魔法耐性があったのか。


「――――ッ……!!!」


 その時だった。ゴーレムの目が怪しく輝いたかと思うと、右手から炎。そして左手から水の魔力を現出させた。


「オオオオオオオオオオオオッ!!」


 その咆哮は何かの合図か。いや、それどころじゃないな。

 風に対する『火』……火に対する『水』……あのゴーレム、こっちの属性に合わせて対策してきたってわけか。

 思っていたよりもずっと高度な技術が使われてやがる。


「アル様。どうします?」


「…………二人とも、一旦あのゴーレムとは距離をとってくれ」


 今回、優先させたのはマキナとシャルの連携だ。


 感覚が重要になってくる近距離型のスタイルは実際に動いてみないと手ごたえもつかめない。その意味では、最低限の目的は果たしたと言えよう。


「ここからは打ち合わせ通り、俺が援護する」


     ☆


 魔指輪リングには主に四つの種類が存在する。


 『魔法球シュート』や『魔法矢アロー』を始めとする『攻撃系』。

 『大地魔法壁ウォール』を始めとする『防御系』。

 『強化付与フォース』や『火炎付与エンチャント』を始めとする『付与系』。

 そして先ほどアルフレッドが使用した『索敵サーチ』を始めとする『支援系』だ。


 戦闘において重宝されるのは『攻撃系』、『防御系』、『付与系』の三つ。

 『支援系』はあくまでも戦闘前に重宝されるものであり、本格的な戦闘に突入した際は使われることは少ない上に扱いが難しい。


 何しろ『支援系』は、こと戦闘においては『罠』を張り巡らせるタイプの魔指輪リングが多く、味方との連携が必須になってくる。そうでなくとも目まぐるしく状況が動く戦闘中において相手を上手く罠に嵌めることも、適切な位置に罠を置くことも相当な技量が要求される。


 よって戦闘が起きる前に罠を設置し、そこに敵を誘導することが定石だ。


 余裕のある時や捕獲がメインの時ならばともかく、突発的な戦闘やダンジョンのような『先に進むこと』を目的に置いた場合は、『支援系』における罠を張る魔指輪リングのような受け身なタイプは相性が悪い。


 役立つ瞬間がないわけではないが『支援系』を使う者は少なく、世間一般的には『不遇』の扱いを受けている。


 ――――それが、シャルロットの持つ『支援系』魔指輪リングの知識だった。


「シャル。俺が隙を作るから、お前にはゴーレムにトドメをさしてほしい。『火炎付与エンチャント』した剣で思いっきり中心をぶった切れ」


 アルフレッドが学園でも支援系の魔指輪リングを使っている姿は目撃したことがある。

 その時は周りの生徒を補佐するだけで特段目立ったような活躍はなく、周囲の生徒たちから嘲笑されていた。


 しかし……今なら分かる。

 周りの生徒たちから嘲笑されているあの姿は、あくまでも仮初。

 いや、もしかすると『支援系』自体が仮の姿でしかないのかもしれない。


 そんなアルフレッドがどのように『支援系』を操るのか……シャルロットは戦闘の最中だというのに、期待に胸を躍らせていた。


「アル様ー。わたしはどうすればいいんです? 指示くださいよー」


「好きに突っ込め。合わせてやる」


「はい言質とったーとりましたー! んじゃんじゃ、好きにしますね」


「グオオオオオオオ!!」


 瞬間、ゴーレムが吼える。


「『大地魔法壁ウォール』」


 アルフレッドが告げると同時に、土属性の防御壁が地面から展開する。

 それはアルフレッドやマキナ、シャルロットの目前ではなかった。防御を目的としていない。ゴーレムの左腕めがけて、地面から壁が伸びあがり、ゴーレムの水の腕を斬り飛ばした。


「…………ッ……!?」


 空中に水を纏ったゴーレムの腕が躍る。

 このゴーレムに意志があるのかは定かではない。されどシャルロットの目には、まったくの不意を突かれて驚いているように見えた。


(防御壁でゴーレムの腕を……!?)


 通常、『魔法壁ウォール』の魔指輪リングによる壁は浮かび上がった魔法陣を起点に、地面から生えてくるように展開される。


 アルフレッドがやってのけたのは遠隔展開。本来なら自分の真正面に展開される防御壁を、指定した座標に遠隔で展開する方法。


 これ自体はどの魔指輪リングにも備わった通常の機能であるが、驚くべきはその精度。

 ゴーレムの腕。その繋ぎ目をピンポイントで狙ったほどの細やかな座標指定。


「マキナ!」


「ほいほい」


 アルフレッドの指示を受けて、メイド少女が姿勢を低くし、風の如く突き進む。

 ゴーレムは体勢を崩されながらも右手の炎を放射し、マキナの身体が業火に飲み込まれようとしたその刹那――――


「『座標交換エクスチェンジ』」


 ――――マキナの姿が、消失した。


 否。気づいた時には、既にゴーレムの背後に回り込んでいた。


 アルフレッドが使用した『座標交換エクスチェンジ』は、任意の座標Aと座標Bの罠内にある物を入れ替える魔法だ。


 恐らくマキナの進行方向に予め『座標交換エクスチェンジ』を座標Aの地面に設置しておき、ゴーレムの背後に設置した座標Bと場所を入れ替えたのだろう。


 通常なら戦闘前に仕掛けておき、仲間内で場所を把握しておき、その上で戦闘中に利用するタイプの魔魔法リングだ。

 あのタイミングだと、『座標交換エクスチェンジ』の遠隔展開はマキナの行動に合わせた物のはず。


(『座標交換エクスチェンジ』をリアルタイムの状況に合わせて遠隔設置した? そんなことが本当に……!?)


 そうとしか考えられず、そうとしか説明がつかない。

 仮にこの理屈を学園の教師に説明しようものなら「バカバカしい」と一蹴される類の与太話だ。しかし、それを現実のものにしている人間が、シャルの目の前にいる。


「シャル。『火炎付与エンチャント』をかけておけ。もうすぐ隙を作る」


「は、はいっ!」


 アルフレッドが加わってから、まだ自分は戦闘に参加すらしていない。だというのに、あれだけ強靭なゴーレムが完全に手玉に取られている。


 マキナは出ては消え、出ては消えを繰り返して完全にゴーレムを翻弄していた。アルフレッドが的確なタイミングで『座標交換エクスチェンジ』を設置しているからだ。

 まさに阿吽の呼吸。そのピッタリの連携に自分が混ざれないことに、シャルロットはどこか悔しかった。


「『大地鎖縛バインド』」


 本来ならば相手の動きを封じる『付与系』魔指輪リングであるところの『鎖縛バインド』を手元から展開し、鎖を射出する。

 そのままゴーレムの片足に鎖を結びつけると、アルフレッドは自身に『強化付与フォース』をかけた。


「よ……っと」


 ゴーレムの片足に結び付けた鎖を、強化された肉体の腕力で引っ張る。

 するとゴーレムはいとも簡単にバランスを崩し、仰向けに居なって地面に転んだ。


「『座標交換エクスチェンジ』でゴーレムの真正面に飛ばす。装甲はマキナが削ってあるから、あとは思いっきり貫いてくれ」


「はいっ!」


 シャルロットは火属性を付与した剣を構え、地面を蹴る。

 呼吸が整ったタイミングで、たった今、地面に設置されたであろう『座標交換エクスチェンジ』が発動した。


 次の瞬間、シャルロットの身体は空中にあった。落下位置には仰向けになって転がっているゴーレムがある。


「はぁあああああッ!」


 ありったけの強化をかけた火炎の剣を、ゴーレムに突き立てた。


「――――――――ッッッ!!!」


 マキナが削り切っていた装甲に既に防御力はなく、火炎の剣が炸裂する。

 ゴーレムは活動を完全に停止し、沈黙した。


「いえーい。やりましたね、シャル様ー。ぴーすぴーす」


「お疲れ、シャル」


「え、ええ……というより、私は最後だけで、殆どはアルくんとマキナさんが……」


「なーに言ってるんですか。今の『火炎付与エンチャント』の威力、凄かったですよー」


 言ってくれているものの、シャルロットとしては明らかにアルフレッドの規格外の技量に助けられた形だ。


「……驚きました。まさかアルくんが、これほどの実力を隠していたなんて」


「いや別に隠してたってわけじゃないけどな」


「まあ、学園の授業だとあんまし使う機会ないですもんね。それに『ラグメント』が出現した際は基本的に本来のスタイルを使いますし」


「えっ……? い、今の『中距離支援型』のスタイルは……」


「いやいや。『王衣指輪クロスリング』を使ったアル様は本来、シャル様と同じく剣を使ったバリバリの『近距離寄り万能型』ですよ。『中距離支援型こっち』はサブみたいなもんです」


「今のがサブなんですか!? あれだけの技術があって……!?」


「アル様、凝り性なんですよねー。むしろ最近、剣の振り方忘れてきたんじゃないですか?」


「んなわけあるか。鈍らない程度にはやってるっての」


 二人の会話にシャルロットが唖然としていると、


「あ~あ。派手に壊したもんだねぇ……めんどくさい」


 壊したゴーレムの傍に、見知らぬエルフの女性が佇んでいた。



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[一言] 真っ当な魔法ファンタジーものだと思ってたけど気付けばワートリみたいなバトルを展開してた。 いいぞもっとやれ。 ついでに一言。 せっかく良い作品書くんだから完結してほしい。
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