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第11話 偽・加速付与

※今回の話は少なめです。申し訳ありません。

※第7話ですが、ご意見を頂きまして序盤をガッツリと加筆して新エピソードを挟んでおります。(具体的にいうとシャルの実家に行く話です)

 エリーヌの背中を追いかけるようにして走っていると、彼女の全身が魔力の光に包まれた。恐らく『強化付与フォース』の魔指輪リングを使用したのだろう。そのまま茂みの中を突っ切っていく。


 急ぐなら『加速付与アクセル』でもよかったのだろうが、アレは行動速度を向上させる魔法。こうした周囲に障害物があるような場所だと下手に使えば、行動速度に意識が追い付かず自爆する可能性が高い。


 それにしたって……速いな。『加速付与アクセル』がそれなりにレア度の高い魔指輪リングであることに対して、『強化付与フォース』は手に入りやすいコモンリングだ。それでこの速度。『加速付与アクセル』に及ばないにしても、通常の『強化付与フォース』よりも強化倍率が高い証拠だ。


 恐らくエリーヌが自ら製作した魔指輪リングなのだろう。

 なるほど。確かにあれだけの出力を実現させられるなら伝説になるわけだ。


「ノロマのガキは置いてくよ」


 一瞬だけこちらを見たエリーヌが、そう呟いたと同時にペースを上げていく。

 勝手知ったる森の中なのだろう。周囲の茂みや木々の間を縫うようにしてぐんぐんと距離を引き離していく。


 ……上等じゃねぇか。


「シャル、マキナ。お前らは後からこい」


 それだけを言い残して、俺は発動していた『強化付与フォース』の魔法を全身から脚だけに集約させる。


 地面を抉るように蹴りこみ、跳ね、エリーヌが通った道筋ラインを的確になぞっていく。見知らぬ森でも、効率的に動けるルートを示してくれる人がいるなら多少速度を上げても、俺なら問題ない。


 一度離された距離がみるみる縮まり、俺は自身の眼で見切ったルートを潜り抜け、エリーヌの隣に並び立った。


「あんた……あたしに追いついたってのか?」


「追い抜いたっていいけどな」


「へぇ……言ってくれるじゃないか。流石は王族、『加速付与アクセル魔指輪リングぐらいは持ってたか」


「ちげーよ。これはただの『強化付与フォース魔指輪リングだ」


「……何だって? あたしが作った魔指輪リングならともかく、ただの『強化付与フォース』を使って、これだけの速度を出したってのかい」


魔指輪リングをただ使うだけなら無理だろうな」


 本来『強化付与フォース』を肉体に使用する際は、全身に満遍なく強化をかけるのが普通だ。だが俺は敢えて脚部のみに強化の魔法を集中させることで、脚力を極限まで高めて、疑似的に『加速付与アクセル』を再現した。


 これが『ニア加速付与アクセル』。

 魔法の応用。何てことはない……ただの技術だ。


「ようは使い方だよ。それ次第で、ただのコモンリングも一気に化ける」


「――――っ……」


 俺が何気なく放った言葉に、エリーヌが目を丸くする。

 いや、どこか動揺している……? なんだ。それこそ、化けて出てきた幽霊でも見たような顔をしやがって。


「…………ああ、そうかい」


「…………?」


 急に黙り込んだエリーヌに首を傾げていると、進行方向の先から爆発音が響いてきた。

 茂みから一気に飛び出す。地面を滑るようにしてブレーキをかけて、停止する。


「……派手にぶちかましてくれたね」


 苦虫を噛み潰したような顔をするエリーヌ。

 彼女の視線は洞窟の入口付近で佇む盗賊たちと、入口を塞いでいたが破壊されてしまったであろう、土の壁の残骸が転がっている。


「誰だ? テメェら」


 盗賊たちの首領と思われる男が、この場に現れた俺たちを睨みつけた。


 その男の顔には見覚えがある。確か王都でも指名手配されていた、A級の賞金首だ。


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