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京都の火災について思うこと

 99回目を、こんなネタにしたくはなかったとは思います。

 思うけれど、書かずにはいられなくなったので、書きます。


 2019年7月18日。京都で某会社が放火にあいました。

 放火、とありますが、印象としては、そんなに生やさしいものではありません。

 刃物を持って押し入って、ガソリンに火をつける。放火から受けるイメージとは段違いの、暴力行為であります。


 記憶にある、日本最大規模の暴力行為の事件は、1995年の地下鉄サリン事件。

 死者13人。負傷者約6300人にもおよぶ、大事件。


 2001年のアメリカの同時多発テロ。


 えっと。

 変なことを書くけれど。

 物書きっつうのは、非常にどうしようもない生き物であって、こういう陰惨な事件に出会うと、被害者に同情し、犯人を憎むだけにとどまることが出来ず、犯人像というのをいろいろと推測を始めるところがあります。

 単に推理しているうちはいいのですが、どんなふうにその感情ができあがっていくのかなどを頭の中でなぞりはじめたりする……これは、あかんです。

 正直言って、反吐が出る。同調する部分が少しでもあると、冷静になった時の自己嫌悪が半端ない。

 私自身はそう。だから、そういうひとは、もう、ニュースを見ない選択をした方が良いと思います。


 アメリカ同時多発テロの時。

 私は、自爆テロというものの意味が分からず、ある方に『自分の命すら大切にしないひとをどう理解すればいいのか?』という、質問をしたことがあります。

 その方も創作畑の方でした。

 その方の答えは『彼らが自分の命を大切にしていないとは思わない。それでも、さらに守りたい何かがあるからこそ、彼らは死にのぞむのではないのか?』というものでした。

 

 守りたいものは、『神』や『国』なのか……。

 それにしても、罪なき人々を殺すことで、本当に守りたいものは守れるのであろうか?

 世界を壊す事で、世界は本当に救われるのか。

 冷静に考えれば、どう考えても不条理で、理屈に合いません。


 創作の世界の場合、そんな理屈に合わないような『首謀者』を書くと、非難されることがあります。

 実際の現実の事件がそうであっても、多くの人間は犯罪者にも理性的な思想があって、行動を起こしていると信じたいところがあります。

 それはそうです。

 世の中の多くの人は、そんな事件を起こそうと思わない。

 普通の人が行う犯罪は、怨恨や情念、貧困や復讐などの理由が多く、衝動にしても、もっとわかりやすいわけですよ。


 ですから、凶悪犯罪で理由が怨恨などではない場合、レッテルを張って、何とか理解しようとするという傾向もあるわけです。

 犯人がアニメを見ていたら、アニメが悪い。外国籍の方なら、外国籍だから、みたいな。

 

 このレッテルというのは、大衆から離れている方が都合がいいのです。

 たとえば、そのひとが野球ファンだったとしても、世の中の野球ファンというのは山ほどいますから、ナイター見に行っているから悪いなんてことは言われません。

 アニメを見ている大人が少ないからこそ、アニメが悪いというレッテル貼りが行われるのです。外国籍の方の場合は、大衆から明らかに離れていますから攻撃を受けやすいかもしれません。

 引きこもりゲーマーもそう。

 そもそも、ゲームが引きこもりをつくるわけではなく、社会的に断絶してしまったひとが、最後まで世界とつながっていられるのがゲームなだけ。

 ある一定を越えると、ゲームが引きこもりを加速させるという側面はあるとは思いますが、ゲームを取り上げたら、社会復帰できるというものでは、絶対にないわけです。

 それに、そもそも引きこもった全員が犯罪者になるわけではありません。


 もちろん、犯罪は憎むべきことだし、凶悪犯罪者を理解することは非常に難しいことです。

 だからこそ、安易にレッテルを張って、人物像をわかった気になるこのご時世は、良くないことだなと思います。

 創作ならば、読者が納得できるだけの犯罪者像を作らなければいけません。

 好きなもの、嫌いなもの、過去、人間関係、その因果関係がからみあって、すべてのことに意味を持たせないといけないかもしれない。

 でも、実際の事件の場合、一般人が『わかった気になる』結論をマスコミとかが作ってしまうのはどうかな、なんて思うのです。

 

 今回の事件。きっと、犯人の人物像、動機など、様々な憶測が飛び交うでしょう。

 

 安易に『わかった気になる』情報だけ集めて、真実の脅威が隠れてしまうような報道だけは慎んでほしいな、と思います。



 









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