骨を考える
先日、真似をするのは『骨格』と書いたら、初心者には『骨格』を見つけるのが難しいという、ご意見をいただきました。
そ、そうなのか!
と、いうわけで、今回は基礎編で。
<桃太郎の骨格>
①鬼退治を決意
②キビ団子で家来集め
③鬼が島到達
④勝利凱旋
<浦島太郎の骨格>
①いじめられていた亀を助ける。
②亀と共に竜宮城へ
③タイやヒラメの舞い踊り
④玉手箱をもらって地上へ
⑤玉手箱をあけて、じーさんに。
こんな感じで、あらすじを分割して考えれば、構成が見えてきます。
場面の切り替わりや、筋の大きく変わるところで分割するのがポイント。
このあたり、拙作の『おとぎ話を改造しよう』で、応用の仕方を過去に書いてますので、気になる方はそちらをどうぞ。
構成そのものの骨は、『あらすじ』をつかむというのが大切です。
小説に応用するのであれば、キャラ名なんかを全部白紙にして、『変化』するポイントだけに目を向けるのがいいかもしれません。
次に、ちょっと変わったところでキャラの『骨』について。
最近流行の『おっさん』追放モノと『悪役令嬢』は、実にキャラの『骨』は似ています。
どちらも『優秀』であり、『不当な評価』をされていたりする。
ちなみに、追放されずに不当な評価を隠れ蓑にすると『スーパーマン』や『必殺仕事人』になるわけでございますね。
人間、本当は優秀なのに『認めてもらえず』、どこかで『評価されたい』という願望は持っているもの。ですから、古今東西、そういった物語が愛されるわけでございます。
これは、キャラクターの『どこ』が『ストーリーの肝』か、を探ることで見つけられと思います。
ちょっとお遊び。
『追放系』キャラで『桃太郎』。ちょっとオリジナル要素入れてます。
桃太郎の村は、昔から鬼族の支配による重税に苦しんでいた。
自警団を作り、鬼族に対抗しようと主張した桃太郎は、鬼族に従うと主張する村長と対立し、村を追放される。
桃太郎は、近隣の村を回り、サル、キジ、イヌという同志を集め、鬼退治に向かう。
鬼が島に着き、鬼たちと戦う桃太郎。そこで、桃太郎は村長こそが、鬼族に命じて近隣諸国を支配しようとする『鬼族の長』であることを知る。
桃太郎は、平和を愛する鬼族の青年とともに、村長を倒し、ともに共存する道を歩み始めるのであった。
これで主に変わっているのは、桃太郎の骨格③と④。(村長の行動の多少の矛盾は許してください)
昔話の場合、たいていは『動機』が非常に弱いので、そこを強化する意味で『追放系』のお話を入れています。
これに、村長の娘と桃太郎の恋愛などを入れると、さらに違った物語に見えますね。
もう一つ、有名作品の骨格。
<ロミオとジュリエット>
①ロミオとジュリエット、家同志が対立
②ロミオとジュリエット、恋に落ちる
③ロミオ親友を殺され、ジュリエットの親類を殺して、追放となる。
④ジュリエット、服毒により「仮死状態」ロミオ、ジュリエットが死んだと思う。
⑤ロミオ、自殺
⑥ジュリエット、仮死から回復も、ロミオを追って後追い自殺
⑦両家が和解
これを、アメリカの下町に変更したのが『ウエストサイドストーリー』
これは『悲劇』ですが、今、すぐに思い出せないけれど、『対立するべき立場の男女の恋』というのは、鉄板で、二人の恋愛がきっかけで、対立が消え、ハッピーエンドという形式も様式美。
隣り合う男子校と女子高が対立していてからのラブコメも、あったような気が……。
ちなみに、このロミオとジュリエット系は、『舞台』と『キャラ』さえしっかりしていれば、変な小細工不要で、面白く仕上がる、非常によくできた骨格です。
ファンタジーなら、異種族の恋愛にも使えます。
骨としてわかりやすいので、初心者さんが、チャレンジしてみてもいいかもしれませんね。




