情景描写
二週連続で似たような話になりますが、今回は情景描写について。
情景描写って、基本地の文で行うものですが、会話でも行けます。たとえば。
「すごい! やっぱり東大寺って、大きい! 縮尺、間違っている感じがする!」
えっと。この会話文を読むと、おそらく、人物は、東大寺の前にいて、声を上げている感じだと伝わるのではないかと。いささか強引ですが。
私は、TRPG出身なので、会話中心に物事を考えてしまうため、説明の半分は会話消費なのです。すみません。
ちなみに、分析などで見かける会話率は「」で区切った部分を全体で何パーセントなのかを計算するようですね。
私の印象からでは、どちらかといえば、三人称のほうが会話率は増えます。(一人称の場合、感情が駄々洩れなので、『情景描写』以外の地の文が多い)
情景描写の地の文をすっ飛ばして読むという人もいらっしゃいますから、熱烈歓迎されるってものでもないのかなあなんて、思ったりもしますが。
それでも、情景描写をやらないと、位置把握が難しい。アクションシーンなんかは特に気を付けたほうが良いかと思います。
ただ、情景でも『動画』なら話は別なのですが、静止画映像を細かく描写されたら、ふつうは『何か』があるのかと期待します。それがただ、そこにあっただけ、だと正直しんどい。情景描写を延々とやるというのは、そのぶん読者はそこに集中させられるわけです。そこにあるモノに意味が欲しい。ただ、どこまでが『演出』として許されるのか、というのは謎です。
情報として、情景描写は欲しい。
ただし。その場面で、情報の欲しい量は、個人差があります。
私なんかは、あまり気にしない人ですが、飛び散る汗の一滴まで逃したくない方もいらっしゃるでしょう。
例えば。
侍が二人、抜刀してにらみ合っている。
絵を描くわけではないので、画像にする全ての情報は要りません。それこそ、この一文でも決闘シーンとして成立できなくもない。
ただ、AとBが戦っていたら、Cがこっそり何かを奪っていくというシーンだとしたら。
侍が二人、抜刀してにらみ合っている。
一つの影が、二人の様子をうかがている。
これで、一応状況は伝わりはするかもしれませんが、『三人いる』という情報以上のものは伝わりません。
侍が二人、抜刀してにらみ合っている。広い道場はしんと静まり返り、その奥、一段高い位置に置かれた三方にのせられた巻物がひとつあった。
窓の外に影がうずくまり、じっと中の様子を覗いているが、侍は二人とも気づいた様子はない。
あまりうまくはないですが、とりあえず、最低限の位置情報の提示になります。
情景描写とは、まずだいじなのは、位置情報と、状態情報。ただ、これだと人物描写は皆無ですから、絵を描こうとしたら書けません。情報が足りないと思う方も多いでしょう。
一人称や、三人称人物視点なのであれば、感情フィルタ―を通しても面白いですね。
ただ、最初に位置と状態が伝わらなければ、『次』の展開への『期待』も難しいわけです。
ただし。これは、私個人の意見ですが、必要以上にもってまわるようなブンガク的な言い方は、作品のスピードが落ちます。それが好き! という人はもちろんいるとは思いますが、『ライト』に『スピーディ』にしたいと思う場合は、ストレートでわかりやすい表現を心がけたほうがいいかもしれませんね。
もちろん、作中で場面によって使い分けるのも大切かな、と思います。




