空行実験
今回は、空行の実験です。
書き出しを読んでいて、とにかくこの『空行』ってやつが実際の文章以上に読むときにリズムを狂わせることに気が付きました。
私の場合、文庫といえば、字がみっちりつまっていた早川翻訳育ちですから、空白ありきのラノベ、ましてや、横書き空白の携帯小説世代とは感覚が違うのでしょう。
Twitterで、話をしていて思ったのは、若い世代ほど空白を必要としていて、紙書籍育ちの世代は空行をあまり必要としていないようなのです。
年取ると、目が弱くなるので空行があった方が読みやすいのでは? と思う方がいらっしゃるかと思いますが。
WEB小説の場合、文字の大きさが変更できますので、文字間の幅は紙書籍ほど気にならないのであります。
そもそも、WEBの文字間って、それほど詰まっておりませんから。
では、なぜ空行を必要とするのか。
どうやら、これは、『目に優しい』というよりは、『文字の圧迫感』ではないかと思うのです。
読書というのに段階があるとしたら。
① 絵本 絵と文で楽しむ。
② 挿絵あり+空行多め 文と絵で楽しむ
③ 空行多め 文で楽しむ
④ 空行少なめ 文で楽しむ
③と④は、状況としては同じなのですが、見た目の情報量への抵抗感ではないかな、と思うのです。
つまり、この違いは、実は『活字中毒度合い』にもよるのではないかな?
あと、文章と空行の捉え方の違いかな、と思います。
私の場合、空行が開いていると『間』として読むときにリズムを開ける傾向があるのですが、これをデザインのようにとらえれば、文としてのリズムと切り離すことができるのかもしれません。
【実験 拙作『青の弾丸』冒頭】
<空行なし>
スタジアムは熱気に包まれていた。夜の闇の中で青白く浮かび上がる緑のグラウンド。
そこでは、昔から変わらぬスタイルで、選手たちが汗を流している。それこそ、二十一世紀も半ばを過ぎた今も、スポーツはひとびとを魅了しているのだ。
「こちら、南条。競技場についた」
南条和樹はポツリと襟元のマイクに呟く。
すらりと高い身長。いささか変わった色彩を放つサングラスが目を引く。
上下つなぎのグレーの作業服。大きな工具入れを持っている。
作業服の袖に青色でBのロゴ。一見すると、何かのメンテナンスに来た機械工のようだ。
『了解。現在、音波は確認されておりません』
インカムのイヤホンから、女性の声が流れる。
「索敵眼、使用許可願います」
『索敵眼、使用許可致します』
南条は、辺りを見まわしながら、競技場の観客席の一番高い位置へと移動した。
<空行あり>
スタジアムは熱気に包まれていた。夜の闇の中で青白く浮かび上がる緑のグラウンド。
そこでは、昔から変わらぬスタイルで、選手たちが汗を流している。それこそ、二十一世紀も半ばを過ぎた今も、スポーツはひとびとを魅了しているのだ。
「こちら、南条。競技場についた」
南条和樹はポツリと襟元のマイクに呟く。
すらりと高い身長。いささか変わった色彩を放つサングラスが目を引く。
上下つなぎのグレーの作業服。大きな工具入れを持っている。
作業服の袖に青色でBのロゴ。一見すると、何かのメンテナンスに来た機械工のようだ。
『了解。現在、音波は確認されておりません』
インカムのイヤホンから、女性の声が流れる。
「索敵眼、使用許可願います」
『索敵眼、使用許可致します』
南条は、辺りを見まわしながら、競技場の観客席の一番高い位置へと移動した。
<空行増量>
スタジアムは熱気に包まれていた。夜の闇の中で青白く浮かび上がる緑のグラウンド。
そこでは、昔から変わらぬスタイルで、選手たちが汗を流している。それこそ、二十一世紀も半ばを過ぎた今も、スポーツはひとびとを魅了しているのだ。
「こちら、南条。競技場についた」
南条和樹はポツリと襟元のマイクに呟く。
すらりと高い身長。いささか変わった色彩を放つサングラスが目を引く。
上下つなぎのグレーの作業服。大きな工具入れを持っている。
作業服の袖に青色でBのロゴ。一見すると、何かのメンテナンスに来た機械工のようだ。
『了解。現在、音波は確認されておりません』
インカムのイヤホンから、女性の声が流れる。
「索敵眼、使用許可願います」
『索敵眼、使用許可致します』
南条は、辺りを見まわしながら、競技場の観客席の一番高い位置へと移動した
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一般的には空行ありが、WEBスタイルかな、と思います。
私としては、結構気持ち悪いんですが(頭硬くて、ごめんなさい)
最後の増量は、個人的には絶対ないと思うのですが、SFジャンルなんかだと割と見かけるので若い方にはこっちのほうがいいのかな?
こういうのって、文体と一緒で正解のない好みだとは思うのですが。
皆様はどのタイプが好きですか?
わたしは、空行なしのタイプから抜けることができない化石オバハンです。




