アクションの適正量ってどれくらい?
年のせいか、アクションものの戦闘シーンが長いと感じることが多くなりました。
でも、私、アクション入った作品のほうが圧倒的にジャンル的には好きなのですよ。
ふと『作品におけるアクションの適正な割合』ってどれくらいなのだろうなあと思いました。
好きな人は、ずーっと平気? その認識、本当ですか?
もちろん、個人差はあるとは思いますが、アクションばっかりだと疲れませんか?
例を出すなら、一時間の時代劇の場合は大半アクションがなく最後のせいぜい10分程度。
戦隊ものなどのヒーロー特撮ものでも、戦うのはせいぜい後半だけです。
まれに、戦争映画などは、すべて戦場だったりするわけですが、ずっと銃を連射しているわけではありません。
不思議なもので、例えばF1の決勝なんか、かなり時間がかかりますが、見ていることはできますよね。まあ、好き好きですが。ただ、映画で、あれだけの時間カーチェイスやっていたら飽きます。
それこそドキュメンタリー風のF1映画を作ったとしても、全てのシーンで車が走っているわけではないと思われます。
スポーツの場合は、それこそ『筋書きのないドラマ』です。『変化のない』部分でも、『変化がないことこそ、ドラマ』と受け止めることができます。
しかし、フィクションの場合は違います。
戦うシーンは、ひとつの戦いでしかなく、状態の変化を感じることが難しくて、『変化のないことこそドラマ』とは思えません。
もちろん、スポーツ漫画なんかは、同じ試合を何か月もやっていたりしているのに面白かったりするわけですが。
そういった作品は、ずっとアクションをしているようでも、緩急のつけかたがうまい。
実際のスポーツの現場では、あっというまに流れてしまうであろう葛藤をドラマティックに描いたりしているわけですよね。
少年漫画定番の『武闘会』系も、四六時中戦ってはいるのだけど、相手の攻撃を『よみあう』とか、観客席の人間とか、それこそ「戦っている以外の人間の葛藤」があったりとかも描かれていたりして、実はずっと、戦いの技の応酬が続いているわけでなかったりします。
話がそれました。
いわゆるアクションを売りにしている作品なんかの場合でも、アクション以外をしている時間が意外と長いのです。
アクション映画は、確かにアクション時間が長いけど、『銃を撃つ』『倒す』を繰り返しているわけではないです。アクションシーンは、とても派手ですが、派手なぶん、繰り返されると、『またか』という気分になりやすいのだと思います(予算の問題もあるでしょうが)
ただし『史上最大の作戦』(1962年 米)なんかは、『ノルマンディ上陸作戦』を描いていますので、『戦いのシーン』は非常に長いです。
しかし、これに関しては『疲れ』や『飽き』を感じません。
違いは、たぶん、ひとつひとつの戦闘の持つ『達成目標』というのが、明確に提示されているからなのではないかな、と思います。
砲台を倒すとか、橋を守るとか、街に舞い降りるとか、シーン目標が明確に提示されて進みますので、『話が確実に進んでいる』『繰り返しではない』というのがわかるのと、これはノンフィクションものですから、スポーツ中継的な『変化しないのもドラマ』的な見方をしているともいえるのかもしれませんね。
たぶん。
フィクションにおいて、アクションシーンというのは、目標とスリル。そしてサスペンスがくみあわされることが大事なのではないかな、と思います。
つまり、不安感が大きくて、目標が明確に提示されていれば、アクションシーンが実際に長くても、受け手側は、長さを感じないのです。
さらにいえば、サスペンスドラマとして優れていれば、アクションシーンが逆に短くても、そのシーンがきらめくことになる。
フィクションにおいてのアクションをカッコよくみせるのは、アクションそのものの描写の力もだいじですが、そこにいたるまでのサスペンス、そして、そのアクションでもたらしたい「目標」を明確にすることなのではないかな、と思います。
表題の割合については、たぶん好みに尽きるかな、と結論。
拙作は、ジャンルのわりに、アクションシーンはすごく短い方かもしれない……。




