『人気材料』の取り扱い。
今回のテーマは『人気材料』の取り扱い。
ようするにいわゆる「テンプレ」材料についてです。
この人気材料ってやつは、扱いを間違えるとトンデモナイ駄作を生産する可能性が高く、場合によっては書き手の評判を落とします。
ただし。
人気材料というのは、定番ファン層というのがあります。
『転生転移』をはじめ、『内政チート』『俺TUEE』『悪役令嬢』などというのは、そのキーワードがある程度の『内容保障』ということになり、『それなら読む』という読者層がある。
テレビドラマでいうなら、『俳優』の持っている『数字』ってやつですね。
『○○さんが出るなら見よう』
こういうファン層というのは、ドラマの内容がとても残念でも、最後まで見てくれるかもしれないという、非常に奇特な層です。
テレビで言うなら、内容にかかわらず『計算』しちゃう視聴者人数。
で。
この○○さんが出るなら的な場合。
最低条件は、○○さんの良さ、魅力を引き出していること。
ドラマとしてはどうしようもなくても、○○さんのコスプレがすごかったりとか、仕草が『萌え』なら、ある程度のことは、その熱心なファンには許してもらえます。
ただし、それだけでは、一般視聴者は普通、見ませんので、『最低視聴者数』を越えはしないのでありますが。
つまり。
例えば、『転生』です、と謳う。
転生物語が好きなひとが、『転生物語はこうでなくては』条件さえ満たしていれば、ある程度の読者層の保証がされるわけですね。
しかし。
材料は、あくまで材料。
どんな名優が出演しても、内容がクズなら、一般視聴者は見ないわけです。
人気俳優が出ている作品ほど、『見るためのハードル』はすごく低いけど、『見続けるハードル』というのは、ものすごく『高い』。
ドラマの場合。
お金がなくて。人気俳優なんか使えなくて。
アイデアだけで……なんて作品だって、大ヒットすることもあります。
でも、それは、小説でも同じこと。
過去に人気が全くなかったジャンルでも、その作品がきっかけで大ヒットすることもある。
だけど、それは、真の天才だけがなし得ることだ、と、私は思います。
人気俳優を無理して使って、崩壊した内容のドラマよりは、無名俳優で丁寧に作られたドラマのほうが面白いかもしれない。でも、その作品はどうやったって、スポンサーはつきにくいし、知名度だってあがりにくい。
読めば面白いものを書いていたとしても、手に取ってもらわなければ、良さは誰にも伝わらないのです。
内容さえよければ、『人気俳優』がいらないという理由をとなえるには、それこそ『ずばぬけて、素晴らしい内容』でなけれなならない。
ですので。一般的な書き手なら。
『人気材料を忌避していては、人気作は作れない』
ただ。
人気材料を使いこなせないなら、手を出すべきではないとも思います。
本当に『面白い』ものは、書き手のテリトリーから生まれるから。
この辺り、本当に難しいです。




