ハッピーエンドは難しい
私はハッピーエンドの物語が好きです。
世の中には辛いことがいっぱいあって、かなえられない夢もあり、望んでも得られないものがたくさんあるのを理解してしまうほどには、年を食ったせいもあります。
報われない努力の過程がもてはやされるのは、学生時代だけ。
社会になって、報われない努力は、趣味の世界では許されても、仕事の世界ではなかなか許されないことです。
社会人は、結果が全て。
もちろん、経過も大事ですが、学生と違って、『努力』や『費用』は少ないほどそして、取り組む時間が少ないほど『評価』は高くなります。
もちろん、『取り組む過程』の努力姿勢は、『目標達成』に至るまで、周囲に支えてもらうためには必要なものであります。
とはいえ。良いものは良いし、悪いものは悪い。それが、社会。
だからこそ、架空世界のなかでは、登場人物には幸せであってほしい。
苦労をして、努力をしたら、報われてほしい。
ご都合主義だって、いいじゃないか、と思います。
とはいえ。
私の作風をご存知の方は、ハッピーエンド好きのくせに、ほのぼのとかハートフル方面に話が振られていないと思うかもしれませんね。
なんというか。
幸せになってほしいと思う反面、ただ幸せと感じる話が書けないのです。
というか、思いつかないという方が正しい。
物語を作ろうとすると、ある程度の山と谷を作ろうとするために、最初から最後までほのぼのという路線は、せいぜい1000字以下の既存作品のSSくらい。
ラストのハッピーエンドに至るまでは、わりとドロドロしていたり殺伐としていたりする構成になってしまうのですね。
ついでにいうと、中途半端にダークなので、善なるわき役の不幸を放置したりもします。
私の描く主役たちはどちらかといえば『俺TUEE』系で、無敵ですが、すべての不幸な人間を救えません。
もちろん、主役たちの物語としては、十分にハッピーエンドになっていると思うのですが。
ハッピーエンドというのは、とっても幸せな気持ちになれます。
悲劇はやっぱり美しくとも哀しく、虚構の世界ではやはり、ハッピーエンド信仰な私。
それでも、すべての不幸な人間を救えない――救いきれない話しか書けない。
ハッピーエンドって難しいな、と思います。




