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第3部:反日向・反教師同盟-7

本作品は、前作『約束された出会い』編の続編となります。先にそちらをお読みになられた方が、スムースに作品世界観をご理解戴けることと思います。

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「でも、日向って人間は面白くていい奴だったぜ。ただ、隠れてやってた《日向四天王》の悪いことを見抜けてなかったみたいだけど」

「じゃ、それだけの人間だってことじゃない。あたしは嫌よ、そんな無責任。それで総長名乗ってんだから、とんだお笑い種よ。周りは大迷惑」

「またまたまたぁ。いっつも加賀見くんとかすみちゃんは同じやり合いするんだから、もう」

 絵美はからかうだけで、加賀見が日向という人間が好きだということなど、全然気にしていないようだった。カズヤにはそれが不思議に思えた。


「で、みんなはオレが、その《夏青葉》だって言うわけ?」

 彼らの話が終わったところで、カズヤは訊いた。

「うちら中学生だけじゃなくって、高校生もいるんだけど、こうして茂木先生みたいな大人の理解者もいるわ」

「じゃ、全然問題ないじゃないか。大人がいるなら、今更わけの判らない《夏青葉》ってのを待たなくてもいいじゃんか。それこそ法的措置とか相談だってできるんじゃね?子供じゃ無理なことだってできるわけだし」

「それができていたら、こんな煮え切らない状態で待たないわ。アキラさんの言っていた《夏青葉》じゃないと駄目なのよ」

「だったら尚更、オレらみたいな中学生が相手にしたって無駄なことじゃないか」

「そう言わずに聞いて。《日向》は日向のことを好きな人間が集まっていたように、うちらもアキラさんが好きで集まっている面もあるの。でも、彼女は戻ってこない。それなのに、日向は三年の始業式から戻ってくるのよ。何とかしなきゃならないのよ」

 絵美の言葉に、カズヤはアキラの言葉を思い出した。


『オレは、お前らを捜しに来たんだ。超能力を持った人間を捜しに……』

 それが《夏青葉》のことなのだろうか。

 そもそも予言者などという未来を予見する人間の存在など信じてはいないのだが、アキラは水鏡という女性に言われて来たと言っていたが、その水鏡がカズヤの転校をも予言し、アキラに捜させたのだろうか。だとしたら、自分ではなくアキラ自身を東京に呼び戻した方が、この問題を解決できそうではないだろうか。カズヤは考えた。

 今、もし自分がアキラと同じ超能力を持っていると明かしたら、無条件に《夏青葉》と信じられ、一瞬のうちに《反日教》の盟主に奉りあげられてしまうだろう。しかしそうなる為には、アキラがこの五人に対して、自分が超能力を持っていると明かしている場合に限られる。だが、その確信はない。

 つまり、そのことは黙っている方がいいということだ。


「信吾さんもさっき言ってたけど、オレも、アキラさんしか《夏青葉》が誰だって、判らないと思う」

 聡がつぶやいた。

「だからカズヤさん、《夏青葉》になって下さい。何だかんだ言って、アキラさんか《春霧霞・夏青葉》がいないと、《反日教》は立ち上がれないんです。みんな、不安なんです」

 聡は、要するに誰が《夏青葉》でも、真実になり得ると言っているのだ。それはさっき違和感を覚えた信吾の言っていたことを、そのまま受け入れることだ。

「そりゃあ不安だろうな。だって、相手はきたえて場慣れした連中だろ。こっちはそろって素人らしいじゃないか。部外者のオレが見てもすぐ判る」

「ま、そういうこと。例外もいるけどな」

「でも、相手はアレだろ」

 その例外とは、加賀見や信吾だろう。

 しかし、たった一人や二人の例外で、場慣れした連中に真っこう勝負を挑むのは馬鹿だ。そういう意味ならカズヤだって場慣れしていない。これはルールなしの喧嘩だ。空手の試合とはまるで違う。


 カズヤは考えた。

 アキラだったらどうするだろう。

 アキラなら立ち上がるだろう。どんな理由であれ、彼女は間違ったことを嫌う性分だ。それに引き換え、自分は何を躊躇ためらっているのだろう。

 盟主として責任を負うこと。それを避けて楽ばかりしていて、身体の弱いサキの陰に隠れていた、サキよりも弱い自分がここにいる。

 克服するチャンス。

 しかし、躊躇いが邪魔をする。開きかけた口から声が出ない。


 カズヤは心の中で、サキやアキラ、神森の仲間たちの顔を思い浮かべた。

 自分のことを、鈍感だと言いながらも、それがカズヤの大らかでいいところだと言ってくれた、大切な仲間たち。

 いつか神森に帰った時に、彼らに『成長したね』と笑ってもらいたい。

 不良になるわけではない。正しいということを貫くだけだ。自分で考えて信念らしいものを貫くのは、全く初めての経験だ。


 カズヤは口を開いた。

「解った。やってやろうじゃないか《反日教》の盟主。できるかどうかは判らないけど、オレでいいなら

 胸の支えが下りたような気がし、カズヤは肩で大きく息をした。


 五人は喜びの声を上げた。

 奥で騒がしい六人に、茂木が差し入れを持ってきた時、信吾と彼が目くばせをしていたことは、誰も気付いていなかった。




次回から第4部;日向・《日向》〜を始めます。




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