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奴隷と法

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「奴隷法?」


「はい。ど、奴隷法は簡単にいうと、今世界中で巻き起こっている戦乱に対して、い、一層の国力充実を図る為、産業のさらなる発展を遂げる為、単純労働者階級である奴隷達をこの戦乱が治るまでは市民へ登用しないとしたものなんです。

だから、もういまは奴隷から市民にはなれないんです‥‥。ほんとは、国力の充実なんて言ってますが貴族様達が自分達の運営する鉱山や農園で奴隷達が居なくなることに歯止めをかけたいだけなんですっ!!」


最初はゆっくりと静かに話をしていたクロエだったが、今では語尾も強くなっている。


「ちょっと待ってくれ!奴隷には兵役がないんだろ?建前とはいえ大きな戦争が起きそうなら

市民にした方が戦力が増えるんじゃないか?実際にそれで、アネルタ王国や魔王国は奴隷制を廃止したんだろ?」


「うむ。そうじゃ。」


「えぇ。そうよ。」


弥太郎の疑問にアテラとディアボロが力強く頷く。


「ここ、ルビコン共和国では市民や貴族も殆ど兵役はかされません。各国を渡り歩いている傭兵たちを金で雇っているんです。純粋な国防軍はあんまりいないんですよ。」


「なるほど。兵隊は雇うからいらないっとこか。常に軍隊を持ってると金もかさむもんな。」


「は、はい!そういうとこです!」


「ちょっといいかしら?それで、その奴隷法をクラッチさん達、貴族が可決したから奴隷達が怒ってクラッチさんの命を狙ってるってことかしら?」


「‥‥い、いえ、クラッチ様は貴族から狙われてるんです!!!」


「「「「えっ??」」」」


弥太郎始め、全員が不意をつかれたように声をあげた。



「ちょ、ちょっと待ってよクロエちゃん!クラッチさんは、奴隷法を可決した貴族だから奴隷達に狙われてるんじゃないのか?」


弥太郎が驚きながらクロエに質問し、他の者達も同じく頷いている。


「いえ、そう思われるのが自然かもしれませんが、そうではないんです!ク、クラッチ様はとてもお優しいお方です。だ、だから、自らの利益を優先している貴族ではなく、奴隷達に味方し、法案に1人反対したんです!‥‥そ、そのせいで貴族達から目の敵にされているんです。」


クロエが小さな口を大きく開けて言葉を発している。


「で、でもクロエさん、多数決で物事を決めるこの国なら、クラッチさん1人の反対では意味がないんじゃないですか?流石に命を狙われるなんてことはないと思うのですが‥‥」


アウレリアが腑に落ちないといった顔で尋ねる。


「こ、この国には毎年順番で変わる執政官と法務官という役職があるんです!し、執政官とは、貴族市民の声を参考にして法案を作成し、それを議会にかける人です。2人制です。あと、諸外国との交渉も代表して行います。もちろん、その都度議会で議論しますが。も、もう1つの法務官は、可決された法案の内容を確認し、実際にいつから法案を執行させるかを決めるんです。こ、こっちは1人制です!

そ、その法務官にクラッチ様がなっているんです。今、クラッチ様は法務官の権限を使って可決された法案を議論不十分として延期させているんです!」


早口で目一杯話をしたクロエは疲れたのか、俯きながら、リンゴのように赤らめた顔を小さな手で扇いでいる。

よろしくお願い申し上げます。

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