「……平和だね」
高校二年の話で1組に音樹と桐、2組が梢です。
これは僕たちの日常。
二年の春、1回目の定期テスト上位50名が貼り出されたので僕は梢さんと桐と共に見に来た。
真っ先に目が行くのは相変わらず主席満点の梢さんの名前。
呆れるぐらいにいつも通り。
次席との点数さは20点。
「いつ見ても凄いね」
「姉貴だから当たり前だろが!」
「何故そこでキレる!?」
そして何故桐が先に答えているんだ!?
普通梢さんだろ!?とか言う質問は愚問なので心の中で閉じ込めておく。
いつも通りの会話に梢さんは苦笑してから後ろの方を見る。
「音樹くんも点数上がったね」
「あれだけスパルタだったら上がると思います……」
「桐は……」
視線だけを横に動かしてからニコリと微笑む。
その笑みは可憐だがどこか黒いオーラを背負っており身の危険を感じた僕は桐の隣から梢さんの後ろへと避難する。
一緒に居たら分かる。
かなりキレていることに。
「ランク外とは……どう言うことかしら?」
「いや、その……」
「同じ勉強量で音樹くんは上位20位以内に入ったのに対して貴方は……はあ」
「も、申し訳ございません!」
見ているこちらが惚れ惚れとするような土下座を桐はやってのけた。
周りは何事かと桐を見ているが梢さんの怒りのオーラに気付くと逃げるように去っていく。
そのお陰か野次馬など存在しなかった。
「本当に……私の時間を削ったのに……」
そう言って悩ましげにため息をつく梢さん。
そんな彼女に一言。
貴女は勉強してないですよね?
てか必要ですか?
「ううう、姉貴の時間を削ったのに音樹なんかに負けるなんて……」
悔しげに歯を食い縛る桐。
そんな彼に一言。
削った分僕と梢さんの邪魔してなかったっけ?
てか僕なんかって何だよ!?
声に出してツッコみたいけどツッコめない空気に僕は押し黙ることを選択したとは言うまでもない。
「……平和だね」
番外編最初はほのぼので始めてみました。