八話
その日は、なんだかおかしかった。
町全体の空気がざわついていて、なまぬるい風が吹いていた。
落ち着かない感じが空中にただよっていた。
エマは普通に学校に行こうとしていた。家で身支度をして、制服を着て…。その時だった。家の中に魔力通話機のベルが鳴り響いた。ベルの音が妙にうるさく感じていると、一階にいた母が通話機の応対を始める。
「エマー、マイルスさんちのお嬢さんどこ行ったか知ってる?」
呼ばれたので、階下に降りた。
「知らないわママ、同じグループじゃないし…」
「らしいです、すみません力になれなくて…」
その後何度か会話して、母が通話機を切った。
「何かあったの?」
「おとといから帰ってないんですって」
「キャロルが?いつものことじゃないの?」
キャロルがボーイフレンドとオールで遊ぶのは結構あるらしい。自慢されたことがあったから。
「一晩くらいは普通だけど、二晩は初めてだから心配で同級生に電話してきたんですって、それに連絡もないらしいから」
「連絡がないのは心配だね…」
この学園の生徒は皆幼稚舎からの付き合いだ。エマもグループなどがはっきりする前までは結構一緒に遊んだ事もあって、情があるから心配だった。
「私も学校いったらみんなに話聞いてみるよ」
「そうね、そうしてあげて。ママもそれっぽい子を見てないか人に聞いてみるわ」
その後ご飯を食べてエマは学校に向かった。
◇◇◇◇◇◇
学校にいくと、教室はキャロルの話でもちきりだった。キャロルのママはクラスメイト全員に電話したらしい。
「キャロルがいなくなったって…」
「またボーイフレンドと遊んでるんじゃないのー?」
おのおの好き勝手話している。そこにふと、誰かが呟いた。
「ねえ…あのうわさ本当だったんじゃないの?」
「うわさ?」
「神の花嫁よ。キャロルは神の花嫁になったんだわ」
「…それはキャロルがいたずらだって言ってたじゃない」
「…そうね、そうよね」
「そうよ」
そのまま神の花嫁だという線はなくなった。
だけど、その後一週間経っても、キャロルは姿を現さなかったのだ。




