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七話

次の日。朝の教室。

エマはいつも通り友人達と学校に来て…会話に興じていた。その時。

ドアが開く音がした。見ると、入ってきたのはキャロル達だ。ガヤガヤと音を立てながら席に座る。

エマはキャロルたちの方をちらりと見ながらまた会話に戻ろうとした。が、


「何これ?」

キャロルの声が響いた。キャロルの声は高くてよく通るので、耳に付く。

教室の皆が思わずキャロルの方を見ると、キャロルの手にはー…。



赤い封蝋の押された、白い封筒があった。



「神の…花嫁」

誰かがそう漏らした。

手紙を持つキャロルの目は輝いていた。

神の花嫁に選ばれるのは、美人で目立つ生徒、という噂があるから、それで嬉しかったのかもしれない。キャロルはそういう子だった。なぜ自分が選ばれないのか、と漏らしているのもエマは見たことがあった。キャロルが選ばれたがっているのを皆知っていた。

だが、エマは変だ、と思った。神の花嫁には他にも条件ーーー、といっても噂だけど、があったから。

神の花嫁は処女しかなれない、という噂だ。

キャロルは確かボーイフレンドがいたはずだ。キャロルが非処女なのはみんななんとなく察していた。それともそれはただの噂で、非処女でも神の花嫁になれるのだろうか?

エマがそう考えているうちに、キャロルは封筒を開ける。青い瞳が封筒に書かれた文字を辿っていく。取り巻きも横から読もうとしたが、キャロルはそれを制して一人で読んだ。が、

「…ただのいたずらじゃない」

キャロルが眉値を寄せて不機嫌そうな顔をする。


「神の花嫁なんかじゃないわ、これ、ただのいたずらよ。中身は意味のない文だけ!最悪!」


「えーっ」

「なにそれ」

「見せてよ」

取り巻きたちが騒ぐが、キャロルは取り合わない。

「見せる必要ないわよ」

キャロルは手紙を丁寧に畳むと封筒にしまい、鞄の中に入れてしまう。

「つまんないのー」

「キャロルが選ばれたのかと思ったのに」

「違って悪かったわね」


エマはなんとなく大声でそう言うキャロルの態度に違和感を感じたが、友人たちが再び会話を始めたので、それに戻った。




キャロルは口角がずっと上がっていて、なんだか機嫌がよさそうで、その日はアンジェラはキャロルにいじめられる様子はなかった。







         ◇◇◇◇◇◇


  


真っ暗な夜。学園の隅にキャロルは来ていた。

『キャロル・マイルス。招待状は持っているか?』

キャロルは学園の制服を着ている。ここに来る前に何度も身だしなみを確認した。大丈夫だ。キャロルは何度も心のなかで反芻する。

『金の髪、青い瞳。ふむ、注文通りだな』

『乗りなさい』

そして、そのままキャロルは馬車に乗って消えてしまった。

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