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第100話『ラスボス』

ついに100話です!(エピソードタイトルが)

「ライン。はい」


「あ、ああ。ありがとうアッシュ」


 この場に現れた『剣聖』アッシュ・レイ・フェルザリアのおかげで、レンゲを助けることが出来た。レンゲをラインに渡し、アッシュはレヴに剣を構える。


 妹を渡されたラインにアレスとセツナはすぐに近いた。


「レンゲ、レンゲ、大丈夫か!?」


「レンゲ大丈夫?」


「大丈夫? 目覚まして」


「ん……おにい……ちゃん? おねえ……ちゃん?」


 目がゆっくりと開き、緋色の瞳が姿を現す。目を覚ましたレンゲを見て三人は安心したのか、涙を流した。


「あれ……私何やって……」


「大丈夫だから休んでて。お姉ちゃんたちは戦ってくるから。セレナ、エルフィーネ、レンゲをお願い」


「分かりました」


「は〜いりょ〜かいで〜す」


 未だに意識朦朧としているレンゲをメイド二人に預け、三人は神々と目を合わせた。そして、ラインはアッシュの方に目を向ける。


「ここは任せて良いか?」


「良いよ。僕とグレイスに任せて」


「え、俺も? まあ良いけどな」


「それじゃあ行くよ。早く止めないと」


 アッシュとグレイスに軽く頭を下げ、神々は上空に空いた穴を通じて外に出ていったのだった。


「チッ、お前らめんどくさい事しやがっ――っ!?」


 言い切る前に、レヴに前に現れたアッシュにより蹴飛ばされてしまった。壁に衝突し、こちらを睨むレヴにアッシュは話す。

 

「僕も外に行くつもりだから、すぐに君を倒すよ。例え、友達だった存在だとしてもね」


「そうかよ。まあ良いぜ。相手してやる。《獅子の咆哮》」


 レヴは『権能』を使い、身体能力を上昇させた。膝を曲げ、力を一気に解放してアッシュに接近する。


「《空間操作》」


 風の『神剣』エアリアを異空間の武器庫から取り出し、右手に収めて水平に振る。すると、強力な風の刃と共に風が生み出され、レヴを吹っ飛ばした。


 さらに水の『神剣』アクアリアを取り出し、左手に持つ。風で速度を上げ、レヴの前に接近して『神剣』アクアリアを振った。しかし――


「おっとっと。危ない危ない。容赦ないんだなお前」


「……君は」


 アッシュの振った剣を手から溢れ出す紫のエネルギーで抑え、ニヤニヤしながら彼を見つめる男。

 それは【十執政】『第一位』ソール・アスタリウス――否、彼の身体を奪った『悪魔』エリゴスだった。


「ソール? 何でここに」


「ソールじゃねえ。俺だ」


 レヴが首を傾げながらソールに尋ねるが、彼はもうソールではない。


「……もしかして、悪魔?」


「何でお前は俺のこと気づけるんだ? まあいい。《未来の選択(オプティマム)》」


 そしてエリゴスは『異能力』を使った。『時間の神』がこの場にいないおかげで、未来を最適な方向へ導けるそれを使うことが可能になってしまったのだ。

 ――既にアッシュのこれからの行動はエリゴスに読まれてしまった。


 『第一位』の肉体を得た悪魔をこの場で仕留めなければならないのだった。


◆◇◆◇


 ――外に出ることに成功した『魔王』と『破壊神』。久しぶりの外の世界に喜びを感じつつも、破壊のエネルギーを手に溜めた。

 

 それを放たれた場合、この世界を一撃で沈めることが出来てしまう。


「創造の前には破壊が必要だ。行くぞ」


「ああ」


 莫大なエネルギーが頭上に現れ、地面に照準を定めた。そして、禍々しい音を立てながらゆっくり落下し――


「――ん? 止まったか?」

 

「――っ!!」


「貴様か。面倒な……」


 『空間の神』が全力で抑え、圧縮する。その後ろから出てきた神々が、一斉に襲いかかってきた。


「てめぇ良くも騙してくれたな! もう一回ぶっ潰してやるよ!」


「落ち着きなさいって。バカなの!?」


 一番乗りで飛び出す『炎神』イグニスを『水神』アクアが追いかけ、その後ろを『雷神』、『風神』、『氷神』……と追いかけていく。


「オラァ!!」


 炎の大剣を大振りし、『破壊神』に一撃を当てる。しかし、効いていないようだ。


「クソが!」


「愚かだな。あの時は兄さんが居たから戦闘が成り立っただけだ。お前らじゃどうにもならない。――ん?」


 大剣を手で受け止めながら、『破壊神』はそう呟いた。すると、後ろにラインが接近したことに気づく。


「ハッ!! ――まじかよ……」


「……『創世神』の子供とはいえ、生きてる年数が違うんだ。力が中途半端すぎるぞ」


「あっ、てめぇ!!」

 

 ラインの振り下ろした血液の刃を一撃で破壊し、蹴り飛ばす。そしてイグニスを『魔王』のもとに投げると、ラインを見つめた。


「少し遊んでやろう。すぐに倒れるなよ? 面白くないからな」


「――っ」


 目の前に堂々と立つ『破壊神』。その姿を見て、ラインは全身に緊張が走る。生きてきた中でこれほどの緊張は味わったことがない。身体が小刻みに震え、上手く血液を操作できない。


 この恐怖を例えるならば、『生と死の神』の赤い瞳に見つめられた時と同じような感じだ。死と隣り合わせというような恐怖が全身を襲ってくる。


「――っ」


 恐怖だけではない。先程は視界が悪く、よく見えなかった。しかし、目の前にいる『破壊神』の顔を見てラインは固まってしまう。その理由は――


「……お前、何で父さんと顔が似てるんだよ……」


「……さあな」


 四つ子の父親である『創世神』アルケウスと瓜二つの外見をしていたのだ。違う点といえば、目の前の彼は髪色が灰色なことくらいだろうか。


「――チッ」

 

 赤髪と緋色の瞳が真っ白になり、『創世神』の力が身体から溢れ出る。足を構えると、『破壊神』に向かって飛んだ。


「へぇ、面白い」


「っ! ちょこまかと避けやがって!」


「これならどうだ?」


 ラインの殴りを軽くあしらい、彼の両手を掴んだのだ。


「なっ!? 離せよ! ――っ!?」


 ――瞬間、ラインの全身にヒビが入った。触られてしまったことで、破壊されそうになったのだ。身体を離そうとするが、力が強すぎて離せない。このままなら、肉体を破壊されてしまう。


「これで終わりか。つまらない。 ――ん?」


 ――破壊されるはずだったラインの肉体のヒビが塞がり、破壊が止んだ。驚きながらも、何が起きたのか『破壊神』は理解した。


「今度は貴様か」


「死なせないから」


 『生と死の神』アリシアスが『生』の力を使い、ラインの命を繋いだ。さらにアレス、セツナも飛んできて、ラインを掴んでいる『破壊神』の両腕を捉えた。


「兄さん早く!」


「ああ!」


 身体を捻って脱出し、『破壊神』に手を向ける。そして――


血式・紅(けっしき・あか)!」


 血液の大爆発が起こり、『破壊神』に一撃を与えた。だが――


「……ダメか」


 全く効いていない。表情も変わらず、ただライン達を見つめるだけだ。

 

「あんたたち一体何がしたい訳? 何で世界を壊そうとするの?」


 ごもっともな疑問をセツナが尋ねる。どうして彼らは世界を滅ぼそうとするのだろうか。緊張が走りながらも、三人はじっと『破壊神』を見つめる。すると、彼は口を開いた。


「何でと問われてもな。それが俺が存在する意味だからな」

 

「存在する意味? どういうこと」


「貴様らと同じことだ。『創世神』はこの世界を生み出し、『時間の神』は時間を支配。そういったことをしているだろう。『破壊神』の俺は何もかも壊すことが使命なんだ」


 彼曰く、破壊することは『時間の神』などが自らが支配する大権を行使するのと同じことらしい。

 ――しかし、そんな行為を許す訳にはいかない。


「《早駆》!」


 『権能』を使用し、尋常じゃない速度で『破壊神』の後ろに回った。

 そして――


創血式・(そうけっしき・)――」


 吸血鬼と『創世神』の力を割合で混ぜた技を放とうと構えた。だがその前に、破壊のエネルギーがラインの目の前に現れた――

読んでいただきありがとうございます!

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