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第99話side6『降り注ぐ災厄』

いつもより長いです

 ――他の部屋に飛ばされたメンバーとは異なり、セレナ、エルフィーネ、サフィナは【十執政】『第五位』ミレーナ・ネフェリアと共に暗く、長い廊下を歩いていた。


「は〜廊下長〜い。どこまで続くの〜?」


「ロエンがいたらワープ出来たんだけどねー。ここ長いから仕方ないねー」


 冷たい上に本当に長い。炎魔法を明かりのように灯しているが、暗すぎてすぐに迷子になりそうだ。


「寒〜」


「そうですか? (わたくし)は何ともないんですが」


 両手を擦ったり息を吐いて暖かくするエルフィーネと、その隣を寒さを全く感じていないかの如く、堂々と歩くセレナ。

 寒すぎて我慢できなくなったエルフィーネはセレナに抱きついた。


「わ〜暖か〜い」


「もう……。まあいいですけど」


 そして、しばらく無言の時間が続いた。その間も歩き続けていると、ミレーナが喋りだした。


「あ、ねぇサフィナ、ヴァルクって元気?」


「ヴァルク? 元気だと思うよー。ふつーに学園通ってるし。楽しそーだよー」


「そっかぁ。サフィナたちが三人一気にやめたからあーしさみしかったんだよねー。他に女の子のメンバーいないし、ソール以外まともな奴いないからさー」


 【十執政】には女子がミレーナとサフィナの二人しかいなかった。残り八人は男子だった訳だが、正直に言ってソール、ロエン、ヴァルクくらいしかまともな人がいないのだ。他はヤバいというのが女子二人の共通認識だった。


 昔話をしていると、突然ミレーナの動きが止まった。


「あれ、どうしたんですか?」


「なんか変な化け物がたくさんいるんだけど。何これ」


 目の前を指さすミレーナの横から、三人はそれぞれ顔を出して正面を見つめる。

 

「化け物ー? どんな感じの――。……え?」


 化け物を見つけたサフィナの動きが止まり、一気に顔色が真っ青になってしまった。指は震え、少しずつ後ろに足を運ぶと尻もちをついてしまった。


「あれ〜ど〜したの? 大丈夫〜?」


「あ、う……み、みんな逃げて……」


 震えた声でそう叫ぶ。サフィナ。三人が首を傾げ、転んだサフィナを起こそうと手を差し伸べた。

 

「ほら、掴んで――」


「――っ!? 《刻律の調律(こくりつのちょうりつ)》!」


 化け物の右腕が、ミレーナの背中に当たる前に速度が落ちた。セレナの『権能』のおかげだ。確実に命を奪うはずだった一撃を遅らせ、手を掴んで引き寄せた。


「はい、ド〜ン」


 エルフィーネが手のひらから炎魔法を出し、化け物を一撃で消し飛ばした。だが、それでも彼らは数え切れないほどいる。


「嘘でしょ? まだあんなにいるの? 疲れちゃうって」


「っ!? また来ますよ!」


 一気に化け物が襲いかかり、その手をセレナ達に向けた。手のひらに紫色のエネルギーが溜められ――


「――《創血式・桜華(そうけっしき・おうか)》」


 突如、声が響いた。桜吹雪が舞い、嵐のような斬撃が化け物を容赦なく切り刻む。そして、セレナのもとにその技を出した存在が降りてきた。


「……女神様みたいですね」


 白いメッシュがかかった赤髪をかきあげ、セレナ達を見るセツナ。その姿は神々しく、セレナの言う通り女神様みたいに綺麗だ。

 まあ実際女神ではあるのだが。


「まぁ女神ではあるけどね。大丈夫? 三人とも。……それ誰?」

 

 セレナが掴んでいる女性――ミレーナを見て、セツナは首を傾げる。


「あーしはミレーナ。『第五位』だよー」


「仲間なの?」


「仲間だよ。ていうか、サフィナの味方かな?」


「敵じゃないならいいや。この道を真っ直ぐ進まないといけないから。いくよ」

 

 ――敵じゃないなら良いかと判断したセツナ。真っ直ぐの道を見つめ、まだ奥に構えている化け物を見つめると左右を水と風の刃が通った。


「ほら! 突っ立ってないで奥に進むわよ!」


「はい邪魔邪魔邪魔!! 着いてきて! 行くよ!」


 『水神』アクアと『風神』エオニアが颯爽と洗われ、目の前の化け物を一気に潰していく。彼女らの後を走って追いかける一行。

 すると目の前に巨大な扉が見えたのだ。


「あれどうすれば開けれる?」


「【十執政】なら誰でも開けれるけど、アタシはダメじゃないかなー?」


「わかった。壊すね」


 巨大な扉を一撃で粉砕するセツナ。そして、中に見えたのは二つの石像だ。再び、この場所に戻ってきたのだった。


◆◇◆◇


 石像に着いた一行。すぐに部屋に入ると、隣の壁がものすごい音を出して破壊された。その中から出てきたのは――


「あ、お兄ちゃん」


「セツナ、大丈夫だったか?」


「うん、大丈夫だよ」

 

 それは、ライン、アステナ、グレイス、エリシアの『第九位』と戦った組と、『第一位』と戦ったアスタリア達、そして、『第四位』と戦ったアリシアス達がいたのだ。


「……ほう、意外と早かったな」


「六時間もわたしたちを拘束出来るわけなかったね。ここで壊させて貰うよ」


 『破壊神』の石像からした声に、アスタリアはそう返す。石像に歩もうとした瞬間、笑い声が響いた。


「ハハッ、なんて愚かなんだ貴様らは」


「何を笑って……。――っ!?」


 近づこうとしたアスタリアだが、すぐに後ろに下がった。なぜなら、石像からとてつもない力を放出されたからだ。まだ一時間も経っていない。ここまで力を取り戻せるはずがないのだ。


「どうして俺たちが()【十執政】だったお前にも連絡を入れたのだと思う?」


「……もしかして、ブラフ?」


「その通りだサフィナ。私たちが【十執政】を辞めたお前やロエンたちに連絡をするわけがなかろう。連絡をした理由は――」


 禍々しいエネルギーを放出しながら、『魔王』が話し続ける。そして、『破壊神』の声と被り同じ言葉を紡いだ。


「「お前らをここに呼び出し、一気に始末するためだ」」


 そう。嘘だったのだ。先程、レンゲが攫われた時にロエンとサフィナ、ヴァルクも含んだ【十執政】に連絡が入った。

 その内容は、六時間後にあの方たちが復活するというものであったが、【十執政】を辞めた三人にまでご丁寧に連絡をしてくれるというのはおかしな話だった。


 ――ここで彼らを葬るために嘘をついたのだ。復活に六時間も必要などと。

 彼らを省くのを忘れていたポンコツという訳ではなく、しっかり考えられた作戦だった。


 瞬間、石像にヒビが入り、内部からエネルギーが溢れ出てくる。

 ――光が収まり、そこにいたのは――


「……騙された」


 灰色の髪を持ち、漆黒の衣を着ている『破壊神』と『魔王』がいた。蘇ってしまったのだ。最悪の存在が。それを見て、アステナはそう呟いた。

 

「ハハッ、千年ぶりの肉体だ。自分の意識で動けるというのはこんなに嬉しいことなのか」


「全くだ。では、まずはお前らだ」


 千年ぶりの復活。自分の身体を触り、この世に蘇った喜びを噛み締めている。そして、二人はラインたちに目を向けた。


「まとめて終わりだ」


 ――瞬間、『破壊神』が破壊のエネルギーを一気に放出し、空間を崩壊させる勢いで拡大化したのだ。そして、『魔王』と『破壊神』は巨大な音を立てながら上空に飛び去ってしまった。

 

「――スピリア! ファルネラ!」


「分かってる!」


「分かってます!」


 アスタリアの呼び掛けに応じた『空間の神』と『法則の神』。この二人がこの中で防御力が最も高い。この場の皆に被害が及ばないように空間や法則をいじり、何とか受け止める二人。


「「うぅぅ……」」

 

 次第に大きくなるエネルギーを受け止め、スピリアが空間を圧縮する。


「はぁ、はぁ、大丈夫?」


「ありがとう。すぐに追わないと。あ、その前にレンゲちゃんを――っ!?」


 守ってくれたスピリアの肩を叩き、未だにポットに入れられているレンゲを助けに行くアスタリア。しかし、その前に何者かが目の前に現れたのだ。

 すぐに後ろに引き、目の前の男を見つめる。そこにいたのは――


「レオ……何の用だ?」


「レヴって呼べよ。そっちが本名なんだから。あの方達を追いかけさせないぞ」


「お前邪魔。退けろ」


 立ち塞がるレヴ・ダイナスを無視し、歩んでいくグレイス。すると、レヴは悪魔の力で剣を作り――


「それ以上近づけばこいつの心臓を貫くぞ。心臓だもんな? 吸血鬼の弱点は」


「「「――っ!」」」


 ポットに入ったレンゲの胸に刃を押し当てると同時に、ライン、アレス、セツナの顔がこわばる。妹にそんな物を向けるなという怒りが出ているのが手に取るように分かる。


「動くのもダメだぞ? すぐに刺すからな?」


 本当に刺すつもりだ。確かに四つ子は吸血鬼なので心臓が弱点ではあるのだが、心臓を破壊されれば『創世神』の力が自動的に治してくれる。


 とはいえ、そんな痛みを彼女に味あわせたくはない。


 (――っ。どうすれば――)


 ――その瞬間、空間が大きく揺れた。この場にいる誰かが何かした訳ではない。巨大な音と同時に部屋が揺れまくり、どうにかバランスを保つ各々。


「おい、動くなって――」


 レヴも地面に手を着いたりしてバランスを取っているようだが、揺れが激しすぎて上手く取れていない。激しい音は段々こちらに近づいてくる。そして――


「――っ!? 壁が――」


 壁が切り刻まれ、その破片が飛び散ると同時に、一瞬だけ人影が見えた。その場の全員が驚愕の表情で切り刻まれていた壁を見つめていると、埃が段々と落ち着き、人影の正体が目に入った。


「あ、アッシ――」


 青みがかった銀髪を持つ『剣聖』。ラインがその名前を呼ぶと同時に、彼は目の前から消えた。それに対応するように、レヴの唸り声が響いた。全員がレヴの方向を向くと――


「アッシュゥゥ!!」


「これ以上好き勝手はさせないよ」


 《超加速》に雷の『神剣』ヴィザレストを用いた超高速移動により、レヴの追いつけない速度で目の前に移動し、蹴り飛ばしたのだ。さらにポットを破壊し、中からレンゲを取り出した。


「お前、よくも……。うっ!?」


 ゆっくりと立ち上がるレヴだったが、全身を痛みが襲う。まるで、雷魔法を受けたような電撃の痛みだ。


「蹴ると同時にこれを身体に当てたからね。少しの間、痺れると思うよ」


 『神剣』ヴィザレストを見せつけ、答えるアッシュ。

 ――こうして、この場に全員が揃った。

読んでいただきありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
そりゃそうですよね。 さすがに嘘じゃないとウッカリさん過ぎますしw さて、次回はいよいよ本格戦闘へ突入かな? (´・ω・`)
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