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第1話 始まりの

中央都市 ダンサー

創界の中央に位置する商業都市であり、

踊り子の街としても有名。

この街は100年以上前に創人が作ったとされており、

特徴としてはどんな種族でも出入りが可能。

商業都市のため、街の外観は綺麗に

整えられている。だいたい何でも揃っており、

何でも買うことが出来るため、

一見住みやすく思うが自分の身は

自分で守らなければいけないという難点がある。



朝方 〜踊り子の広場〜


日が登り、商人である獣人たちが、

それぞれ果物やら雑貨やらを並べ売っている中、

今日も僕は、レオに肩車をされながら、

古くなった日記を読む。


「また読んでるのか?大分破けてるのに、

そんなに読むページないだろ?」

「そうだけどさ、」


1か月前、レオがダンサーの商人から

偶然買ったこの日記は本当に状態が酷くて、

読めるページは無いに等しかった。

それでも僕の出自の手がかりになりそうなことが

書かれているから、読まずにはいられない。


この世界、といっても僕は、

創人の治める創界しか知らないけど、

この創界では青い瞳を持つ人を見たことがない。

そればっかりか、獣人のような大きな耳も、

鳥人のような立派な羽も僕にはない。

だけど、この日記を書いたセス・ノアは

青い瞳を持つ種族について知っているようで、

破れたページには一体何が書かれていたのか

気になって仕方ない。


「その書物の持ち主、セス・ノアだったか?

まだ生きていたら聞けたかもな。」

「勝手に殺さないでよ!」


そうこの日記、見るからに年代物で、

年季が入っている為、既に著者である

セス・ノアは他界している可能性が高い。


「…肉食獣人は字が読めないやつばかりだ。

だからこういう紙の物を大事にするという習慣はない。」

「せめて、この滲んだ箇所だけでも読めたら…」


分かりやすく項垂れている僕を他所に、

自分の買い物を進めていくレオ。

それが何故かムカついたのでぴょこぴょこ

動いている耳を噛んだ。


「っ!!…ライ、耳はやめなさい。」


痛かったのだろう、足を止め下を向き何やら

グッと我慢するような仕草をしている。


「なんにもしてないもん。」

「獣人にとって、耳は大事な場所なんだ。

…いきなり噛むんじゃない。」

「ふん!」


僕は真剣に悩んでるのに、

レオが悪いんだ!と思っていたが、ふと、


「…この破けたページってさ、

本当に破けたのかな。」と口に出していた。


案の定首を傾げるレオに続けて、


「知られたら困るようなことが書いてあって、

破かれたならまた話しが変わってくると

思わない?」と言った。


確かにそれなら話は変わってくるが、と

言いつつあまり納得もしていないようだ。


「ねぇ、この日記どこで手に入れたの?」


ダメ元で聞いてみる。


「…何処だったか、覚えていないな。」


ダメだった。あんまり期待はしてなかったけども。

うーん、どうしよう。ダンサーの市場は

規模が広い。おまけに獣人も多い。

この中から探すのはいくらなんでも無理がある。

僕がレオの頭の上に顎を乗せ、項垂れていると

誤って日記を落としてしまう。


「あ!」


ただでさえ傷んでるのに!

僕は焦りから飛び降りると急いで日記を拾う。


「危なかった、」


雨の日じゃなくて良かったと思いつつ砂を払うと、

くっついていた表紙が外れ、背表紙が露わになる。


「!、何か書いてる!」



ー背表紙ー


私はこの日記を彼らに持たせることにした。

そしてもしも青い民に出会ったら、この日記を

見せてここに連れてきて欲しいと頼んだ。

それが今の私に出来る精一杯だから。

もしも青い瞳を持つ者が、この日記を読んだ

ら私に会いに来て欲しい。

このエデン・ノイズでいつまでも待っている。

セス・ノア




「ライ!いきなり飛び降りたら危ないだろ。」

道の真ん中で座り込む僕をレオが抱き上げながら注意してくる。

いつもなら反省するところだけど、今はそんなこと言ってられない。


「待ってるって」

「?」

「僕だよ!セス・ノアが、

青い目を持つ僕のことを待ってるんだ!」

「どこで待っているんだ?」

「エデン・ノイズ!!そこで待ってるって!」

「それはどこにあるんだ?」

「わかんないけど!とにかくエデン・ノイズを

見つけれたら僕がどういう存在なのかが

分かるんだよ!」

興奮を抑えられない僕は思わずレオの服を引っ張る。


「コラ、やめなさい!伸びるだろう!」


日頃からムキムキのレオは、シャツもピチピチで。

僕には無い筋肉の圧に、ちょっとムカついてたから、

この際伸ばしてやろうと思い、勢い良く引っぱると、

「こら、本当にやめなさい。いい加減にしないと怒るぞ。」


服を掴む僕をひっぺがし眉を顰めるが

全然怒る気が無いことを僕は知ってる。


「ほんと激甘」


思わず僕は小さな声で呟いた。


「?」

「ううん、何でもないよ。それより早く探そ!」


一刻も早くセス・ノアについての手がかりを探さないと!


_________________

ライ(左)

レオ(右)



挿絵(By みてみん)


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