~いつかは消える魂に込めて~
天に命を授かってから15年、いまだに俺は神が嫌いだ。
2008年4月9日午前11時7分、俺が生まれた。俺の名は日野正仁になった。俺は幼い時からあまり
泣かなかったらしい。いつも仲良さそうに愛でてくれた両親はもういない。この時から俺は死んでいる。
2021年、俺が中1の頃だ。
「おはよー!日野」
そういって声をかけてきたのは2年4組の更月雫だった。
更月雫は、俺のクラスメイトであり、幼馴染だ。容姿端麗で、成績優秀、優等生という肩書を独占して いるかのような人だ。正直俺は、更月雫が苦手だ。
おはよと不愛想ながら挨拶を交わした。不機嫌そうな顔で何か言いたげにこちらを見ていたが、話が長 くなると思い、気づいていないふりをした。
今日は二学期の始業式の日だがまだ夏のにおいがする。そんなことを思いながら教室へ足を運んだ。
見慣れていた風景の中に1つ席が増えていた。どうやら転校生が来るみたいだ。
朝のホームルームが始まり、転校生が入ってきた。
「俺の名前は、佐滝宗谷だ。よろしく。」
そこには、近づきずらい空気がふりまかれていて、関わってはいけない人のようだった。
この二学期で何かが起こる気がする。そう思っていると、気づいたらホームルームが終わっており、みんな1時間目の準備をしていた。
俺は早速出遅れたらしい。