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【書籍化決定!】薬師ヒナタは癒したい~ブラック医術ギルドを追放されたポーション師は商業ギルドで才能を開花させる~  作者: みんと
第一章 医術ギルドと商業ギルド 編

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第42話 一難去って


 僕たち世界樹(ユグドラシル)ギルドは、爆発テロの被害者数百人を救った。


 それはもちろん、いろんな偶然も重なってのできごとだったけど……。


 それでも僕は自分のやったことを誇りに思う。


「ヒナタくんはすごいな。ぼくはあのとき、ぜんぜん力になれなかった……」


「そんなことないですよ。ユーリシアさんのおかげで、みんな安心できました」


 結果として、大きな戦闘にはならなかったけど……。


 あのときユーリシアさんが爆発の現場に行ってくれたおかげで、安心できたという被害者や周辺住民は多いと聞く。


 やっぱり、勇者さんの役目っていうのは、戦闘だけでなくそういった気持ちの面も大きいのかもね。


「ヒナタさんは魔法の才能もありますよ! 普通は鑑定スキルがあったからといって、すぐに見様見真似でできるようになんてなりませんよ!」


「そうね、本当にうちのパーティーに入ってほしいくらいだわ」


 勇者パーティーの賢者ケルティさん、魔導士リシェルさんがそれぞれ言う。


「そんな……、僕は戦うなんて向いていませんよ。それよりはやっぱり、人を救う仕事が向いてます……」


「そうですね。それにその方がライラさんと一緒にいれますものね?」


「ちょ、ケルティさん。からかわないでください!」


 ユーリシアさんはなんでそんなに悔しそうに僕を見ているのか……。


 まったく、僕には女心というものはわかりそうにない……。


「うぉほん……。それじゃあ、ぼくたちはこれで失礼するよ。またポーションが無くなったらくるから、その時はよろしく。パーティーの件も考えておいてくれるとうれしいよ」


「はい、またよろしくお願いします。がんばってくださいね、勇者さん」


 僕はユーリシアさんたちと握手を交わす。


 なんだか大変なことが多かったな……。


 勇者さんというのは波乱を呼び起こす力でももっているのだろうか……。


 そういえばライラさんはどこに行ったのだろうか。


 さっきから姿が見えない。


 そう思った矢先。


「ヒナタくん! 大変です!」


「ど、どうしたんですかライラさん!?」


 なにか悪いことでもあったのだろうか。


 だけどライラさんの顔色から察するに、それはなさそうだ。


 だとしたら……。



「国王さまが世界樹(ユグドラシル)を表彰したいと……」



「こ、国王が表彰!?」


「どうやら、今回の爆破テロの被害者を救うことに貢献したことが、評価されたようです……」


「それにしても、すごいことですね……」


「今回のテロは国と国の重大な問題ですからね。国としても大きく扱わざるを得ないのでしょう」


「ま、まあよかったですね。悪いことじゃなくて安心しました」


 表彰されるとしたら、医術ギルドだと思ったけど……。


 あのガイアックにあの量の患者をさばききれるとは思えないし……。


 それにどうやら他の医術ギルドに関しても、今回はかなり苦戦を強いられたようだ。


 結果として、僕たちのギルドが一番大きく貢献したことになる。


 まあ勇者パーティのケルティさんや、ザコッグさんの尽力も大きいけど……。


「それが喜んでばかりもいられません……」


「え、なんでですか?」


「だって、表彰されるっていうことは王様の前に行くんですよ!? 表彰式のパーティーにも出席しないといけませんし、荷が重いですよ……」


「あはは……たしかにそれは嫌ですね……」


「え、ヒナタくんも行くんですよ?」


「ええ!?」


「あたりまえじゃないですか。ほとんどはヒナタくんの功績なんですから」


 う、うーん。そうなのだろうか。


 だけどまあ、ライラさんと王都に行けるってのは、ちょっと嬉しい。


「ま、まあ僕がついてますから! いざというときは僕がライラさんを守りますよ!」


「ヒナタくん……たのもしいです」


 いちおう、鑑定スキルのおかげで戦えるようにはなったし。


 なにかあればライラさんだけでも守れるように心構えはできている。


 だけどヒナギクを置いていくのは少し心配だ。まあヒナドリちゃんに任せれば大丈夫だろうけど。


「明日、迎えの馬車が来るそうですので、準備しておいてください」


「わかりました」


 こうして、僕たちは王都に招かれることになったんだけど――。


 まさかあんなことになるなんてね……。


 だって、この時の僕はまだ――ライラさんの気持ちに気づかないでいた。


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