第120話 セレモニー
僕がお城を出て、向かった先はもちろん――。
「ライラさん!」
「ヒナタくん……!?」
そう、ライラさんのもとだ……。
僕は一度、ライラさんに思いを伝えて、拒絶されている。
だけど僕の夢をかなえるには、ライラさんが必要なんだ。
僕が見たい景色は、ライラさんとじゃなきゃ見れないから……!
「ライラさん!」
「は、はい……!」
「――僕と結婚してください」
「はい。……って、えぇ!? い、いいいい今、なんて!?」
ライラさんは顔を真っ赤にしてうろたえる。
もしかしたら、ライラさんも僕のことが嫌いじゃないのかもしれない。
「僕は……あのとき、パーティーの夜、うそをつきました」
「え……?」
「僕の本当に言いたかったことは、これなんです。僕は本当は、ライラさんと結婚したかった!」
「えぇ……!?」
「ライラさんに思いを伝えるだけじゃだめなんです! ただいっしょにいるだけじゃだめなんです! 僕はライラさんと結婚したい! それが、僕の本当の望みなんです!」
それさえ叶えば、あとはなんにもいらない。
僕が唯一叶えられていないことは、それだけだ。
「ヒナタくん……本気なんですか……?」
「僕は本気ですよ! 僕にはライラさんしかいないんです!」
「だ、だいたい! ヒナタくんは私のどこがいいんですか!?」
「え? そんなの……全部に決まってるじゃないですか」
「な……!? ま、また……私をからかってるんですか!? もっと細かくいってくれないと伝わりません!」
なんでだろう、僕がライラさんにアプローチするたびに、ライラさんは怒りだす。
まあ、ライラさんほどの人は、言い寄られすぎて、こういうことにうんざりしているのかもなぁ……。
「僕は、ライラさんの可愛いところが好きです!」
僕は率直に、自分の思いを伝える。
「そ、そんなこと言って! ヒナタくんのまわりには、他にも可愛い子がたくさんいるじゃないですか!」
「え? でも、ライラさんが一番かわいいですよ?」
「んな……!?」
ほんとうだ。もちろん、ヒナギクもそうとう可愛いけど、妹だしなぁ……。
それに、誰が見てもライラさんが一番の美人だと思う。
「いいい、いつから、私を思っていてくれたんですか……?」
「えーっと……最初から……です」
「……は?」
僕の言葉に、ライラさんはまた怒りだす。
「そんなの……私が馬鹿みたいじゃないですかー!」
「えぇ……!?」
「私だって、ヒナタくんと出会ってすぐに好きになりましたー!」
ライラさんは拗ねた口調で、そう言う。
衝撃の事実だ……。
まさか、え? そんな……だって……。
「そ、そうなんですか……!?」
「そうですよ! なんでもっと早くに言ってくれなかったんですか? 一人で悶々としていた私が馬鹿みたいじゃないですか!」
「ぼ、僕だって、ずっとライラさんが好きだったんです! ライラさんだって早く言ってくれれば……」
僕がそこまで言ったところで、ライラさんの怒りがピークに達した。
「はぁ!? ヒナタくん! 私はずっと、アピールしてましたよ!?」
「えぇ!?」
「気づかない方がわるいんです!」
そんなこんなで、僕たちがずっと言い争いをしていると……。
「さっさと結婚しろこのバカップル!」
と周りのギルド員たちに怒鳴られたので、僕らはようやく静まった。
「バカップル……不名誉です……」
「ライラさんのせいですよ……」
「ヒナタくんのせいです……」
僕らはお互いの顔を見合って、笑いあった。
なんだかんだで、僕たちは似ているのかもしれない。
きっとこれからも、上手くいくだろう。
◇
もちろん僕が王様に叶えてもらった願いは――。
「ライラさんとの結婚式を盛大に」
だった。
「ライラさん、ヒナタくん、ご結婚おめでとうございます!」
「ありがとうございます、みなさん」
僕たちの結婚式は、約束通り国をあげて盛大に行われた。
パレードが催され、国中の人が集まった。
そして、大きな祝福に包まれた。
「おお……あれが国の英雄の結婚式か……」
「あの女性は、国一番のギルド長らしいぞ。あんなに若いのに……立派だな」
「あの青年は、二度もこの国を窮地から救ったらしい……とんでもないな」
もちろん、ギルドのメンバーや、勇者さんたちも参列してくれた。
「ヒナタくん……その……ぼくとしては大変ふくざつだ……だけど、おめでとう」
「ありがとうございます、勇者さん」
なぜだか勇者さんはすごく悔しそうだ。
勇者さんもはやく結婚したいのかな?
「あの……ヒナタさま? 私はいつ第二婦人にしてくださるのです?」
そう暗黒微笑で告げてくるのは、シスターさんだ。
「シスターマリア……あきらめてください……!」
そんなシスターさんを、仲間のシスターさんたちが羽交い絞めにする。
たしかに僕としてはシスターさんの好意もうれしいけど、とりあえず僕は苦笑いをすることしかできない。
「ヒナタ! おめでとう!」
「ありがとうファフ姉」
「ヒナタくん! よそ見は禁止です!」
僕はファフ姉にお礼を言っただけなのに、ライラさんに咎められる。
ライラさんはいまだにファフ姉を敵視しているようだ。
「兄さん、おめでとうなのー」
「おめでとうございます、お兄様!」
「おめでとうなのだヒナタお兄ちゃん!」
ヒナギク、ヒナドリちゃん、カエデちゃんがそれぞれ、花束をプレゼントしてくれる。
「ありがとう三人とも」
僕のかわいい妹たちは、今日もかわいいなぁ……。
「ありがとうございます、義妹ちゃんたち!」
そうか、ライラさんにとっても、これからは妹となるわけだね。
なんだか家族が増えると、うれしなぁ……。
他にも話したりないことはいろいろあるけど……。
これが僕の夢の景色だった。
僕は、夢を叶えたんだ――。
第3章完です。ありがとうございました!
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外れスキル《マスターキー》がとんでもチートだったので最弱から最強へ。心の扉を開けたら魔王の力に目覚めました。宝箱、レベル制限、スキルツリー――どうやらこの鍵で開けられないものはなさそうです。
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