20ペロペロタイム
シリアスパートも終わり、本来の漫喫デートを楽しむ僕達。
時には二人でオススメの動画を教え合ったり……
「わらびちゃんは普段、どんな動画見てるの?」
「そ、そうですね……息抜きにVtuberの実況動画を見たり……」
「Vtuberか……」
「な、何か嫌な思い出でも……?」
「ママンが実家でYouTuberとVtuberどっちもしてて、しかもそれなりに有名でね……」
「そ、それは……複雑、ですね……」
「そんである日あのババア、うっかり『ガワ』付けないで放送開始してさ。それだけなら問題ないんだけど、後ろにいた僕と妹がガッツリ映ったんだ。結果、ネットじゃ凄い祭りになってね。動画はすぐに削除させて『ババアの力』で転載動画等もネットの海から消えるよう『工作』させた。今は『伝説』となってるよ」
「ま、まさしく神回ですね……しかし、動画を保存していた人が悪意を持てば、いつ転載や譲渡をするか……」
「それも大丈夫。どんな技術か、動画を所有する『全員を特定済み』らしいから、もうこの世にその時の動画は存在しないよ」
「す、凄い方なのですね、お母様は……」
「ま、そんな奔放な母親と離れたかったのも、家を出た理由の一つだけどさ。……思い出したらなんかムカついて来た」
「ッ! な、何か食べて忘れましょうっ……! ポテトなんてどうですかっ?」
時には二人で漫喫あるあるなアダルトトーク(大人な会話)をしたり……
「そーいえばさ、漫喫のデスクトップにって大体こういうアダルト系のアイコンあるじゃん?」
「え!? あ、は、はい。そうですね……」
「大抵、部屋の中って監視カメラで見られてるのに、わざわざ見ようとする人いんのかね?」
「ど、どうなんでしょう? メモリに入れて持ち帰る、なんて事も可能らしいので」
「ああ、確かに、持ち帰り可、なんてトイレの中のポスターにも貼られてあるしね。なんならメモリ販売までしてるし。女子トイレにも同じようなポスター、ある?」
「え、ええ、そういえば……」
「女性にも需要あるんだねぇ。でも、そういう動画だって商品なのに、持ち帰られるんなら商売上がったりな気もするよ」
「た、多分、それは『視聴の際に使用するパスワードが期間で変わる』ので問題ないかと……」
「詳しいね? 持ち帰って見てるの?」
「み、見てないですっ! 未成年ですからっ! ネットでそういう話を見ただけでっ……!」
時には二人で適当な漫画を持ち込んで、パラパラと飲み進めたり……
「んー、何度読んでも飽きない漫画だなぁ」
「なにを読んで……ッ! そ、その作品はっ」
「お? 知ってんの? まぁアニメを控えてるほどの漫画だからね。【ふたごのマゾク】は」
「そ、そうですね……えっと、その作品、お好きなんですか?」
「うん。新連載で雑誌の表紙を見た瞬間ビビッと『キタ』ね。『売れるな』と。家にも全巻あるよ」
「そ、そうです、か……(赤面)」
「中身も良いよねぇ。『双子のサキュバスが一人の男の子をシェア』する話。百合漫画が多い本誌で男を出すのは普通読者に嫌がられるけど、男の子も男の娘みたいで可愛いから実は一番人気だし。実写化の噂は噂であって欲しいけど」
「あぅ……そ、その話は姉さんが引退したから白紙になりそうですね……」
「マジにあったのかよ。ま、カヌレが出るんだったらアリだった、かな? その代わり、君も出ないとダメだったね」
「え、演技とかそういうの、私は絶対無理ですからね……」
「慣れてない感じの辿々しいリアルさとアリだけどなぁ。サキュバスの一人は君みたいに小動物系だし」
「そ、そうでしたっけ……(目をそらす)あっ、ソフトのおかわり、持って来ますねっ……!」
「ぐへっ」
膝枕な僕を転げ落とし、空になった紙コップを持って立ち上がろうとしたわらびちゃん。
「あっ(グイッ)」
しかし、慣れない浴衣のせいか、裾を踏んでしまい……
ズテーン! 「ぐへっ」
豪快に前のめりに倒れた。
僕が下にいたから怪我は無いだろうけど。
「ぅぅ……あっ!」
「モガモガ……」
「す、すいません!」
僕の口を塞ぐのは彼女の『股間』だ。
ちょっぴりエッチなラブコメでよく見るアクロバティックな展開が現実で起きて少し感動。
「モガガー(も少し楽しんでたいけどそろそろどいて)」
「……(ゴクリ)」
「モガガガン? (わらびちゃん?)」
「う、ウカノさんの、はだけた着物から覗かせた太ももに……溶けたソフトクリームが溢れて……」
「モモンガー(適当にティシューで拭いといて)」
「……んっ(ペロッ)」
「ンンッ!?」
ゾクリ
太ももを起点に鳥肌が立つ感覚。
「んっ、んっ……くりーむ、おいひいれふぅ……(レロー)」
「プハッ(股間から脱出)わ、わらびちゃんっ、ペロペロしないでっ」
「んふふ……可愛いお声……んちゅ……うれひぃ反応れすぅ……(レロロ)」
人が変わったように僕の太ももにむしゃぶりつくわらびちゃん。
チロチロと別の生き物のように這う艶かしい舌、紅潮したホッペ、トロトロに濡れた瞳。
どういう理屈のエッチな技なのか、ただ舐められてるだけなのに全身にゾクゾクとした痺れが。
アンドナよりこの子の方がよっぽどサキュバスだ。
ーーなんて、感心してる場合じゃない。
一方的に女の子に攻められるなんて、アイデンティティの危機だ。
僕は彼女の曝け出された生脚を鷲掴みし、
「ちょ、調子乗りやがってっ。このまま快楽の虜にされてたまるかっ。こっちもクリーム舐め舐めするぞっ(ムチュ)」
「ンムッ!? ンッ……! わ、私の脚にクリームなんてどこにもっ……!」
すべすべの肌は口当たりも良く、じっとり汗で湿った部分は丁度いい塩加減であった。
「はぁ……はぁ……! う、ウカノさん……!」
「むちゅ?」
「も、もっと……跡が残るくらい……噛んで下さい……!」
「へんはいへっ(変態めっ)」
薄暗いカップルシート……
若い男女二人……
大人しくしてる筈もなく……
「(ガチャ)ポテトお待ちしゃーーウェエ!?」
驚く女性店員さん。
僕らの今のロックな体勢で、いかがわしい事をしてるように見えたのだろう。
間違ってないけど。
「んー、スマホどこに行ったかなー? あ、店員さん、ポテトそこに置いといて」
「え? あ、はい(コトッ)し、失礼しますっ」
なんとか上手く誤魔化せたな!
「んちゅ……んちゃ……」
「オメーはいつまでしゃぶってんだ(コツン)」
「んふー?」
溶けたソフトクリームが掛かった時よりもベタベタにしやがって。
ーーその後は、特に追い出される事もなく、ポッキーゲームならぬポテトを使った『ポッティーゲーム』を二人で楽しんだりして……