158 会長と最強トーナメント
カヌレ達サキュバスが持つ妖しく光る紅い瞳、魅了の魔眼には、相手の精神を狂わす特殊能力があった。
中には、洗脳の力も。
僕はそれを使って票操作を含む不正選挙をしたのでは? とカヌレを疑ったが、しらばっくれられた。
おのれ。
それはそれとして、カヌレは一年前、告白してきた男に魔眼を使って気絶させた事を気にしていた。
「でもカヌレ、別にあの時は告白野郎が勝手に気絶した、でも通じたと思うよ」
「うん……でもまぁ、警戒するに越した事は無いし。実の所、あの学園には『同族』も多く在籍してるから尚更、ね」
「同族……サキュバス的なファンタジーな存在が他にも? エルフとか魔法使いとか神を名乗る変人とか?」
「最後の人だけ別の意味でやべぇな……」
「まぁ、君の想像する大抵の属性の生徒はいる、かな。殆どが大人しく学生を送ってるけどもね」
「魑魅魍魎な学園通ってんだなぁ、私……」
色んな属性! ワクワクする響きだ。
「体育祭とかで学園天下一武道会開催して最強決めてぇな?」
「あ、少し見たいかもそれ」
「許可しないからね?」
「じゃあ裏でやるか。ママンなら学園の下に地下闘技場作ってくれるだろうし」
「坊ちゃんめ……やるなら日取り教えてね?」
「乗るなよ翡翠……」
漫画なら出場者入場で一話使いそう。
「そんなの多分誰も参加しないと思うよ。みんな、身分を隠して潜んでるわけだし」
「嫌でも出ざるを得ない状況にすればええねん」
「特定して脅したり人質を取る気……? ワルの発想だよっ」
「だから君には言いたくなかったんだ……」
「因みに、カヌレの私見だと、学園最強はどんなトンデモな人?」
「答えるわけがないだろう? 言えば君は興味本位で明日にでも突撃してその子達に迷惑掛けそうだし」
「信用無いな? 僕はその強い人らの能力をチラリと見せて貰えたら満足なのに。あとは単純に、一番強いからとふんぞり返ってる学園の番長さんに挨拶したいだけさ」
カヌレはジッと僕を見て、
「……その必要はないよ。あの学園で一番強いのは恐らく、君だから」
「なにっ。僕は色物っけのないただの一般人なのにっ」
「一般人ってなんだっけ? まぁでも、あの学園で強くてふんぞり返ってる相手を連想したら、確かにウカノ君はしっくり来るよ。鏡の自分に挨拶すれば?」
「鏡のイケメンな自分へ挨拶は毎日やってるからええねん。今から君んちに挨拶に行こうかモアぁ?」
「調子乗ってごめん!」
「あ、分かったカヌレ。僕を最強とおだてて誤魔化そうとしてるな?」
「……まぁ今は証明のしようが無いからね。かと言って証明しようとするのもやめてくれよ? ……ちょっとトイレ借りるよ」
立ち上がるカヌレ。
フリッ フリッ フリッ
ううむ……動作や躰の肉付き……サキュバスだと意識すると、見え方も変わってくるな。
最初からサキュバスと分かっていたアンドナと、今判明したカヌレ。
属性は同じ二人だが、シチュエーションで、こうも味わいが変わるとはね。
「むちっ❤️ ぷりっ❤️ さきゅ❤️」
「ふぅむ。確かに、あのケツからはそんな擬音が聞こえてくるようだ……」
「何言ってるんだ二人して……」
ガサッ
「ん? なんだ? テーブルの下にドラッグストアの紙袋が(ガサゴソ)……んだよ、容器的にポッキーとかだと思ったのに」
「そ、それはっ……もうウカノ君っ、そんなの見せないでよっ」
「僕のもんじゃねぇぜ。僕は『使わない主義』だもん。早くパパになりたいしね」
「それもどうなんだ……」
「金銭的余裕があるんなら、こういうの不要じゃない?」
「男の人はそうなのかもしれないけど……ほら……女の人からしたら、その後の人生が良くも悪くも縛られるじゃん……?」
「相手にやりたい事があるんなら尊重するけど、無いならこういうのは早い方が良くない?」
「ううむ……まぁ人による、で終わる話ではあるけど」
「というわけで、はい、あげる」
「いらんわっ」
「使うでしょ?」
「よ、予定もないわいっ」
「取り敢えずポケットに数個入れとくよ(ガサガサ)」
「なんかの表紙にポロリと落ちて見られたら地獄だわっ」
「なんならコレが不要になる薬草もウチの庭にあるよ。自然由来だから安心」
「い、要らないから……今の所」
「色々不安なら、初めてでも気持ち良くなれてあたまがおかしくなりゅ薬草もあるよ。自然由来だから安心」
「怖いよっ。てか考えたらこの世のヤバいのも大抵自然由来だからっ」
「……ん? カヌレ、まだトイレ行ってなかったの?」
「い、今行くからっ」
顔を赤くしたままカヌレはトイレに消えた。
「人んちで堂々とお花摘みとかカヌレも染まって来たな。しかし結局、コレは誰の私物なのか……」
「消去法で分かるでしょ……」
名探偵かコイツ?
「いやー……しかし驚いた。あの真面目なカヌレがねぇ。あまり冗談言わない子だから、マジなんだろうけど」
「わからんぞ。男女を引き寄せるそういう体質の一族でオマケで目が光るだけかもしれん」
「前者は現実的だけど後者が謎体質すぎる……」
「あっ、夢魔の証明で一番分かりやすいのがあるじゃん。エッチな夢を見せる、だよ。今日君ンとこ行って貰うか」
「やめてもろて……」
「まぁでも、やっぱあの姉妹はサキュバスだよ。あのエロさで自称一般JKは無理があるよね」
「言い方よ……」
「カヌレと来たら、僕らが真面目な話してんのにデカい乳とケツしやがって」
「理不尽だな……まぁ同じ女としては解らないでもない感情だけど……」
この子にも女の矜持があったんだな。




