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14嫉妬するサキュバス


カヌレと別れ(すぐ下に居るが)、僕は自分の部屋の扉の前に。

「(ガチャ)たっだいまーと」


シーン……


「おっと、まだ来てないか」


帰ったら居たり居なかったりする彼女。

最近は毎晩飯を作ってくれてるので、お腹ペコペコな僕はすぐありつけると思っていたが……アイツめ、何してんだ。

冷蔵庫漁って何か摘もうと靴を脱いでキッチンに足を踏み入れた、そんな時、


「(ガチャ)はぁ! はぁ……おかえりウカノ君っ」


「なんだいアンドナ、そんな走って来たみたいな疲れようは。少し休んでいいよ。その後はさっさとメシ作れ」

「雑なアメとムチだよっ。はぁ……ふぅ。ちょっとまぁ、『準備に時間が掛かって』ね」


まるで『急いで着替えて来た』みたいに、彼女のキャミソールの肩紐はだらしなくズレている。

僕はそれをクイッと直してやったあと、


「今日の夕飯は?」

「さっきから私よりご飯へご執心だね……んー、確か、冷蔵庫の中、寂しかった気がするなぁ。食材持ってこようと思ってたけど急いでて忘れたんだよねぇ。ーーあっ、そうだっ、二人でスーパーに買い物デート行こうよっ」

「えー。今帰って来たばっかなのにー?」

「いいからいいからっ」


手を引っ張られ、再び外に。

面倒い事この上無い……こんにゃろ、なら面倒い揚げ物作らせたる。


さっき上がったアパートの階段を数分ぶりに下りつつ、


「油淋鶏か天ぷらか、どっちにしようかなぁ」

「リクエスト? 別にいいけど、揚げ物系はその分食べられるまで時間がかかるよ?」

「ぐぅ、盲点。なら、早く作れて高級感ある感じの、何があったかなー」

「注文が多いなぁ。ふふ(ルンルン)」

「……なんだ? 肩を弾ませて、何か良い事でもあったん?」

「んー? そー見えるー?」

「もしそれが僕に内緒で美味しい思いをしたorするつもりって話ならケツに手型が付くくらいハタくぞ」

「他人の楽しみが許せないとか傲慢すぎるよっ」

「勿論直に生ケツを、だ」

「敢えて目立たない場所狙ってるのが更に悪質っ。べ、別に隠し事なんて無いからっ。ウカノ君との一緒の時間を楽しんでるだけだよっ」

「ほんとぉ?」


見つめると、彼女は目を逸らさない。

誤魔化す時のリアクションとは違い、本心らしい。


「そ、そういう君だって、なんか楽しそうぢゃんっ」

「んー? そー見えるー?」

「君も理由を話すべきっ」

「別に良いけど? 僕は君と違って誤魔化さないからね。むふふ、実はカヌレとお近づきになれたんだよ」

「あー……私と似てる、学校の人だっけ?」

「そっ。凄く『良い躰』してるんだよぉ」

「欲望ダダ漏れっ」


チラリ。

階段を下りた際に会長の部屋を見る。

玄関扉横の窓からは、部屋の灯りは漏れてなかった。

お風呂タイム中かな?


「(グイッ)コラっ、他の女は見ないっ」

「グエッ、人の首回すなよ。一体何が問題なんだい」

「今は『私の』時間だからねっ、明らかな浮気だよっ。……そもそも、どう思ってんの?」

「なにが?」

「女の子二人の間をあっちこっちしてる件だよっ。日中はカヌレって子で、夜は私でっ」

「言うほどまだあっちこっちしてないべ。これからするけど」

「ホラ! 同じ事! そのカヌレって子も、夜に別の女と過ごしてるって知ったらショックだよっ」

「自分が夜来るのやめるって選択肢は無いの?」

「無いっ!」

「ふむ」


問われる僕。

悩んでるようなポーズで顎に手を添えた。

今の状況を『どう思ってる?』か。

だが僕自身、答えは既に決まっている。

というより、考えるまでもなく、その選択肢しか元より無かった。


「『二度美味しい』、かな」

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