132 お嬢様と奇乳
わらびちゃんとのゲーム配信も終わり、次は彼女の本業(副業?)であるイラスト作業配信。
配信じゃなく二人きりが良かったけど、僕は理解ある男なんでね。
わらびちゃんが描くのは僕のVtuberアバターのイラスト。
深い意味も無く「描き慣れてるね?」と呟くと、
『先生ェはよく妖精のイラスト描いてるからなー』
ナヌッ!
「ほーん、どーりで」
「……なんやかんやで君の絵は手軽に閲覧数稼げるからね。下心だよ」
「ほーん、どんどん下心見せてくれや。なんなら今までの君の下心も見たいな?」
「……検索すれば見られるよ」
「不健全なのも?」
「……それは流石に公開してないから」
「公開してないだけでそのPC内にはあるんだねっ。おらっ、僕のR18イラスト見せろっ」
「な、無いからっ。ええい抱きつくなっ、離れろっ」
「離れないが? (ギチチ)」
「開き直りやがって……」
「なんか見てると、僕も君のR18イラスト描きたくなってきたな。僕も乱入するぜっ」
「今私が描いてるのR18じゃないからね……?」
ゲーム配信でも使ったノートPCで、僕のアカウントにアクセス。
この配信サイトには『生放送招待』という機能があり、相手から受理して貰えればお互いのPCに表示されてる画面を共有出来るのだ。
画面を左右二分割し、視聴者からはどちらの作業も見える状態に。
まぁ、それぞれ別々に配信した方が早いし、この機能を使わずとも同じ事が出来るやり方もあるんだろうけど。
「よし、画面繋がったねっ。今から君と僕を描くよっ」
「私達なんだ……勿論、Vtuberアバターの方だよね……?」
「善処しまーす」
「アウトと判断したらPCの電源落とすからな?」
「落とした瞬間ネット民は君の容姿に確信持っちゃうよ。大丈夫大丈夫、エッチなのしか描かないから」
「放送BANされるわ」
カキカキ ペンタブで思い思いに描いていく。
構図は既に頭の中に。
それをアウトプットするだけの作業。
「……君も、随分とイラストを描き慣れてるじゃん」
「そう? お絵描きなんて滅多にしないけどね。前に、自分のVtuberアバター描いた時以来。ただの才能さ。人がやってるのを見ればすぐにラーニング出来るマルチな才能……マルチリンガルだよ」
「それそういう意味じゃない……」
ニャウリンガルだっけ?
「にゃーん」
「なんで唐突に猫……。しっかりしてるね、絵柄。本人の人間性と違って」
「他の絵柄も描けるけどね。僕のがセクシー系なら、君のは可愛い系かな。前者がマ◯ジンとかアフ◯ヌーン系、後者はき◯ら系って感じ」
「分かるような分からないような……」
カキカキ
ううむ……なんか普通だな。
ここは少しパンチを加えて……。
「……ねぇ。その私の隣にいる『知らない人』は誰? やたら身長高くてスーツ着た……いや、人?」
「なんだろうねぇ」
「君の顔もなんか黒い線でグシャグシャ塗りつぶされてるし……周りの『me! me!』って字は何?」
「意味深だろ?」
「ホラー映画とかゲームに出て来る子供が描きそうな闇深いっぽい絵じゃないんだから……」
「そのまま描いたらつまんないよね。インターネットの海に埋もれちゃう。こういうのは少しスパイスを混ぜると、ね」
「普通のでいいから、普通ので……」
「ちぇー」
カキカキ
おっと、『メインディッシュ』の時間だ。
「ふふ……『この部位』を描いてる時が至福だよね?」
「……胸? いや、私は別に。まぁ、そんな女性絵師さんもいるんだろうけど。……てか、それ大き過ぎない? バランスボールにうつ伏せに乗ってると思ったら、胸じゃん……」
「今だけ10%増量キャンペーンだよ」
「お菓子じゃないんだから……てか10%どころの増量じゃないよコレ」
「某漫画の神(手塚◯虫)曰く『胸はいくら大きくてもよいのだ』」
「限度があるでしょ、昔見たボ◯ボンの漫画みたいじゃん……日常生活に支障きたしまくりのデカさだよ。一部に需要はあるのかもしれないけど、奇乳はニッチだからね?」
「真面目な絵柄の女の子が奇乳とか目を引くじゃん?」
「最早ギャグでぶち壊しだよ……折角丁寧に作ったカレーにアンコぶちまけたみたいになってるよ……」
「意外とイケそうだね、それ」
ホントはしたくないけど胸の部分だけ描き直し。
構図はそのままで、こっちを見ながらうつ伏せに寝てる感じ。
「全く。このくらいならいいだろ?」
「まぁ……そのくらいなら」
「君と同じくらいだね」
「こ、こらっ」
ザワッ……!
『先生ェマジでこんなにあんの!?』『つまり、漫画の巨おp(NGワード対策)キャラは本人を参考にして……?』『分かってた。声質が巨おpだもん』
荒ぶるコメント。
中には『リアルの先生ェ俺も見てぇ!』という僕への嫉妬の声も。
この優越感は筆舌に尽くし難い。
そんな中、ポツリ とあるコメントが。
『配信といえば、そういや前に精霊、他の女の子と配信してたな! その子もおpがデカかった!』
ああ、アンドナとWiiした時のやつかな。




