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100 サキュバスとバブと学園祭から少し脱線して数時間後の話(R15?)

10


「たーいまー」

「おかえりー」


学園祭を終え、アパートに帰宅。

中々に濃ゆい一日であった。

キッチンを通り過ぎ、リビングに足を踏み入れるや否や、


「ぐああああ」


床にゴロン。


「づがれだあああ……」

「ふふ、お疲れ。麦茶飲む?」

「飲むー」


当たり前のように今日も僕を出迎えてくれたアンドナ。

なんだか久し振り見た気がするけど、気のせいだな。

チラッと下からのアングルで見えた白いパンツが疲れによく効く。

タイトスカートはいいぞ。


「はーい、どーぞ」


彼女が僕の顔の横にコップを置くと、氷がカランと鳴った。


「うぃーどーもー」

「じゃあ私、朝ご飯の仕込みしてるね。夕ご飯は食べて来たから要らないでしょ?」

「んー…………ん? (すんすん)……とうっ(ガシッ)」

「えっ!? キャ!」


フリフリと尻を振りながらキッチンに戻ろうとしたアンドナのその細い腰に、ガシッと僕の両脚を挟む。

後ろからのカニバサミだ。

そのまま、背中から倒れ込ませるように僕の懐に引き込む。


「(ドスンッ)ぐへっ! ……ぅぅー、何するのいきなりー」

「クンクン……この髪の匂い……クンクン」

「いやぁ! まだお風呂入ってないんだから嗅がないでっ」

「火薬の匂い……君、学園祭に来てた?」

「えっ? な、なんで?」

「これは『花火系』の火薬臭だからだよ。学園祭で打ち上げた花火は学園のみんなを火薬臭くしたからね」

「ぅっ……ま、まぁ、少しは顔を出した、かな? 君の神楽、良かったよ」

「まーたサイレント参加してー。君を見つけられてたら、本物のサキュバスって存在やつを衆目に晒せたのにー」

「なんてことを……魔女狩りみたいな光景にするつもり?」

「ま、それは冗談として! 二人で風呂に入るかっ、どっちも火薬くせーしっ」

「ぅ、うん……でも、まだお風呂沸かしてないんだよね」

「ふむ。ついでだから『確認』するか」

「確認?」


僕はハグを解いて立ち上がり、スタスタとバスルームへ。

ガラリ 風呂場の扉を開くと……


「うむ、注文通りだなっ」

「どしたの? (ヒョコ)……えっ! 浴室が『豪華に』なってる!?」

「豪華、は言い過ぎでしょ。家庭レベルにまでリフォーム? しただけさ。これも、全てママンとの取り引きだよ。『神楽をやらせるならこっちの要求もいくつか呑め』ってね」


浴槽は二人でも余裕なくらい大きくて丸く(四角い浴槽ではなく丸い浴槽に)なり、追い焚きもボタン一つ、シャワーだって別になった。


「僕らが学園祭行ってる間に終わらせとけ、って条件も達成してるな。やったのはママンの手下だろうけど。優秀優秀」

「上から目線……てか、あの浴槽の狭さとレトロ感が良い、とか言ってなかった?」

「もう充分堪能したからね。お風呂は胡座かけたり足伸ばせないと気持ちよくないんよ」

「都合がいいなぁ……大家さんとか所有者さんはこのリフォーム知ってんのかな……」



その後は、浴槽にお湯を溜めて……入浴タイム!


「(チャポン)……ふぃ。やっぱり、広いと二人で入ってもキツくないね。寧ろその為に広くしたようなもんだ」

「欲望に素直過ぎるよ……まぁ、窮屈なよりはいいけどさ……結局、今こうして『ピッタリくっついて』るんなら、狭い時の状況と変わらないじゃん」

「向かい合わせに顔を見ながら入るのもそれはそれでいいけど、今日は同じ向きに重なる(僕が後ろでアンドナが前)日って事で。で、早速こんな物を持って来たぞっ(スッ)」

「……バブ?」

「そっ(ピリピリ)ほいっ(ポチャン)」


湯の中に落としてすぐ、シュワワーと湯船の底から気泡が上がり始め、徐々に湯の色を緑に変えて行く。

入浴剤特有の花の芳香も広がって来た。


「ふむ、久し振りにバブった気がする。なんか楽しいね」

「バブるって初めて聞いたよ、赤ちゃん? ……、……このバブの場所、変えていい?」

「んー? 丁度君の『お股のとこ』に落ちてたんだ。まるでオナラみたいだね」

「言い方っ」

「別に良いよ、場所変えても。てか僕がやるよ(チャプチャプ)」

「あっ、ちょっ、手伸ばさないでっ……ば、場所が場所だから私が……!」

「いーからいーから。んー、どこにあるか見当もつかないなー(チャププ)」

「気泡っ! 気泡って目印バッチリあるでしょすっとぼけないでっ(ササッ)」

「むっ、急に君、手で何かを隠し始めたね? 怪しいぞっ。その手の奥のお股にバブを隠したろっ」

「隠してどうなるのっ。ま、守ってるんだよ色々とっ」

「あー、普通にあったー(チャポン)あー、もう随分小さくなったね」

「全く……入浴剤一つでこんなに疲れるとは……バブ禁止にするよ?」

「なんてむごい仕打ちを……あっ、バブが……!」


シュワアア…… もう五百円くらいの大きさに縮んだバブ。


「(裏声)ごめんなさい……私、もう消えるみたい……」

「そんなっ、もう離れないって約束したのにっ、行かないでくれっ……!」

「なんか始まった……」

「(裏声)私……幸せだったよ……ううん、今だって怖くない……だって……最後は貴方の中で……」

「バブゥゥゥ!!!」

「名前はバブのままなんだ……」

「(シュワアア)ああ、僕の手の中で消えて……また、守れなかった……それでも僕は……君が助かる世界の為にっ、何度だって繰り返すっ……!」

「ループ系なんだ……」

「(ケロッ)さっ、もう一個入れるか」

「二個目!? バブは一日一個までっ!」


無慈悲にも取り上げられた。

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