93 会長(?)と聖職者(ドスケベシスター)
学園祭に遊びに来てくれたお嬢様学校の子達に(元ネタを知らないのを良い事に)エ◯ゲコスさせようとしてる最低な奴がいるらしい。
「……彼女らに提供する服の最低限の(卑猥な)ラインは守って下さいね」
「ほらほら助手君、これから乙女らの着替えシーンだよ。出て行った出て行った」
「貴方もですよ」
素直に部室を出る真面目な助手君と、お嬢様らと共に服を選び始める僕。
腕を引かれようと背中を押されようとテコでも動かない僕に、「はぁ……」と彼女は出て行かせるのを諦めた様子。
部長はそもそも容認派だった。
「君はこの姫騎士スタイルっ、君にはこのくのいち忍び装束っ、君は耳長ウサギ魔法使いだっ」
とお嬢様らに服を充てがう僕。
助手君の作った服は妥協なく複雑な構造で、着付けには多少手間取ったものの……
「あとは背中のチャックをしめて(ジジジ……)はい、かわいい」
「まぁ! 凛としたお姫様にっ」「これほどひらひらした格好は初めてで新鮮ですっ」「強くなった気になりますわっ」
「このまま冒険出来そうなパーティーの完成だね」
「そーいえば、コレだけの種類の服、助手君も作って終わり、じゃないよね?」
「ああ。既に助手君周り(ヒロインズ)でコスイベントは済んでるよ。アレはなんの時だったかなぁ……コミケにみんなで行った時だったか……」
「僕もそのギャルゲーに混ぜろよっ」
「貴方みたいな主張が激しいモブがいたら物語が破綻しますよ……」
「人をノイズ扱いして酷いやわらびちゃん。そんな君にはこのコスだよっ」
「いや、着ませんが?」
「悪い(とは思ってない)けど君には多少乱暴にでも着て貰うよっ(ガバッ)」
「ちょっ! 脱がせようとしなっ……ちょ!」
「仲良いねぇ」
素早く山百合のセーラーを脱がせ、白のワイシャツとピンクのブレザーをスポッとハメて……
「くぅ……あれよあれよと……というか、何ですかこのゴテゴテとした色合いの制服は? (そういう仕様なのか)ブレザーのボタンも閉められませんし、お腹周りもコルセットを付けてるかのように締め付けられて……」
「結果的に『乳袋』が発生するデザインなんだよね、これ」
「何て頭の悪い……」
「あとは頭に【ツノ】、スカートのとこに【尻尾】を付けて……完成っ」
「……鏡は見たくありませんね」
「元ネタはパンツ見えるくらいもっとスカート短いんだけど上げていい?」
「良いわけないでしょう」
「わらびさんとやらには説明してあげよう。それは【男子生徒は俺一人!? 捕まるなサキュバス学園】という作品の女子制服だよ」
「聞きたくありませんでした……」
「さて、僕も着替えよっかな。実は一目見た時から決めてました」
「告白かな」
バババッと、魔法少女のように一瞬で着替えた僕。
目で追えたのは彼女だけだろう。(彼女の今の顔で分かる)
「ふぅ……お待たせしましたー(おっとり)」
「まぁ! 『シスター(修道)服』ですか!」「神々しいですわっ」「我々の学校もミッションスクールですが……ここまで堂に入った方も数える程しか……!」
「うふふ、好評ですねー」
「ふぅむ。君の銀髪と修道服の相性は予想以上だね。キャラも、おっとり系お姉さんにしか見えない」
「下もバッチリ聖女ですよー? (ひらっ)」
「「「はわーーー!!!」」」
「ミニスカートのたくし上げないで下さい(戻す)……ミニスカシスターなんて罰当たりな存在、現実に居ませんよ。あと、どこから女性物の下着(黒+ガーター付き)を手に入れて……」
「うふっ、そこは妹ちゃんからですよー」
「彼女が素直に貸すとは思えないので勝手に持ち出しましたね? 知りませんよ、後でどうなっても」
「コスは形から入りませんとねー」
「神を敬う心などひとかけらも無いでしょうに……」
「にしても同志、何故その選択を?」
「うふっ、それは【これ】ですー」
「……十字架ですか? 何に使うんです?」
「十字架といえばー……悪魔祓いですっ」
ペチペチっと十字架で小悪魔の乳袋を叩くも、「ええい鬱陶しい」と軽く払われた。
「ぬぅー、十字架が効かないとは、さては貴方、大悪魔さんですねー?」
「付き合いませんよ。十字架を変な用途に使わないで下さい」
「わたくしの格好の元ネタではそう使っていたのですよー。表では清楚なシスター、裏で謎の悪魔祓い(デーモンスレイヤー)キャラですー」
「【暴食シスター☆悪魔も恐れる搾り取り☆】という作品のメインヒロインことマリアさんだね」
「本当に清楚キャラなんですか?」
「そんなわけで、大悪魔さんの側にはわたくしがいないと、ですねー(ピトッ)」
「まぁ! 悪魔さんと聖女の組み合わせ……どうしてからしっくり来ますわっ」「相容れぬ者同士が惹かれ合う……浪漫ですわねっ」 「何かに目覚めそうですっ」
「おやおや、お嬢様がたには刺激が強すぎるな? まぁ男の娘シスターは割とポピュラーな部類ではあるが」
「大悪魔さん、このままお外に出ましょうかー」
「えっ、この格好で……? ちょっ、押さないでくだっ……!」
部室を出る僕達。
お嬢様たちや、「服は預かっておくよ」と部長らとは一旦別れ、ふと気になったあの場所を『再び』目指す。
「んふふー、注目されてますねー? これほどのクオリチィのコスの人、それほど居ませんからねー」
「……着替えさせて下さい。流石にこの格好は風紀的に取り締まられます」
「えー? そんな事はないと思いますよー? コスプレも、肌や谷間やパンツが見えなければセーフという基準でしょうからねー。もし注意されたら『巨乳は罪なのか!』と追い返して差し上げますよー」
「お願いですから騒がないで下さい……」
「ならばせめて呼び名を変えて誤魔化しましょう。悪魔っ子っぽく……わらわらー」
「人を居酒屋みたいに……」