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92 会長(?)と無知シチュ

「つまりは、ゲーム研究部の俺の周りには重いヒロイン達だらけな件、て感じだね?」

「〜優しくした女の子達はメンヘラでした。

後悔してももう遅い〜 だね」

「自虐ネタが過ぎますね……」


てなわけで、


「やっぱり、魅力的なヒロインには悲しい過去や現在が必須やね。深みも出るし、それを主人公が解決すれば惚れる理由にもなる」

「まぁ恋愛系創作の基本だね。『始めに不幸なヒロインを用意しろ、後は勝手に話が進む』ってのは」

「なんだかマッチポンプみが……話の都合で不幸にされる女の子はたまったものではありませんね」


「……で、だ。そんなヤリ応えの増しそうな裏設定を聞いてしまったワケだが、それでも、このゲームに反映するつもりは?」


「さて、どうしようかね。製作に携わってる助手君からは既に『ダメ』と釘を刺されている。裏ルートとして画像無しテキストのみ、というやり方も出来なく無いが……」

「うーん、あ、そうだ、わらびちゃんお絵描きがお上手だから、イラスト描いて?」

「描いて? じゃありません。急に絵柄が変わったらおかしいでしょう」

「ついでにハーレムルートも実装しようぜ? 助手君には責任取って貰わなきゃでしょ?」

「隙あらば自身の欲望を満たそうとしないで下さい」

「ははっ、我々は一般人だからハーレムルートなんて実現不可だよ。助手君にも(ハーレムを有言実行出来る)君ほどの甲斐性は無いしね。ま、真ルートは【完全版(R18)】って事で。さて、私達の『普通な』物語はこの辺でいいだろう。異世界も異能も伝奇も無い普通の世界観の話はさ。今度は君達の話を聞きたいな」


随分期待されてるな。

面白い(すべらない)話をしろという重圧。


「いうても、ねえ? なんだか随分過大な評価を貰ってるけど、今日はまだ普通に学園祭してるで? さっき幽霊退治したくらい」

「流石だね! この短時間でさらっと非現実的なイベントを発生させるなんてっ」

「あっ、今学園の屋上に恋愛成就系神社設置してるから後で助手君と行きなよ。校舎裏に生えた階段使えばそのまま屋上に行けるよ」

「そんなの昨日まで無かったのにっ。校庭に浮いてるステージも君の関係者の仕業って聞くしっ、もう無茶苦茶だねっ」

「あまり目立つ行動はやめて貰いたいですね……後始末的な意味で」


ふぅ……と、部長は落ち着く為かお茶を一口飲んで、


「やはり、こうして顔を合わせてみると『世界観の違い』が肌で感じられるよ。私達は『普通』なんだ、とね。例えるなら、熱血スポーツ漫画やヤンキー漫画に異能力者が出て来て無双、みたいな」

「そういうコンセプトの作品もあるけどね。もし僕に異能力があったなら、助手君みたいなラブコメ主人公の『難聴鈍感』を治したり君らみたいなヒロインに『う、ううん、何でもない』って言わせず主人公に何度も告白させるぜ」

「第三者が余計なお節介過ぎますよ……」

「まぁ『お薬』の力で、今言ったのは異能無くても実現出来るけど」

「絶対やめて下さいね」

「後片付け終わりましたー。おや、ゲーム最後までプレイしてくれたっすか? 嬉しいっすねー、頑張った甲斐がありました」

「お疲れ助手君、さっきまでの会話聞こえててもおかしくないのに後片付けの音で上手く相殺されたんだろうね。これ、元気の出るサプリだよ(スッ)」

「やめなさい(ペシッ)」


と、このタイミングで震えるスマホ。

相手は……おおう!

通話を押し、相手に今いるこの教室を伝える。

テンションの上がった僕に「誰です?」と彼女は訊いて来るが、「すぐ来るから」と誤魔化し……それから数分後……



「「「失礼しまーーーす」」」


部室に大量の『お嬢様達』が流れ込んで来た。


「……同志? これはどういう状況だい? 有名お嬢様学校のコスをした面々が押し寄せて来たけど、そういう接待サービスかい?」

「モノホンの山百合学園のピチピチお嬢様だぜ部長。今日の学園祭に招待してたんだ。やーやーみんな、待ってたよ。助手君! 皆にスイーツとお茶の用意!」

「なんか急に仕切り始めたっす!?」


椅子が少ないので床にダンボールと新聞紙のシートを敷き、お茶会が始まる。


「いいかいみんな、美味しいものを食べた時は『クッソうめぇですわ!』って叫ぶのが淑女の嗜みだよ」


「はぇー」「成る程ぉ」「流石箱庭様、物知りですわねぇ」


「ここまで世間知らずなお嬢様が実在するのか……無知シチュってやつだね? 同志」

「本当に信じそうなので訂正してあげて下さい(プクー)」

「おー? なんか機嫌悪そうだなぁ? フグみたいに膨らませてよぉ? (ホッペつんつん)」

「(手ペシッ)それで、これからどうするつもりです? ただのお茶会で終わるのが一番ですが」

「ううむ、同志よ、この部で楽しめるコンテンツはゲームと食事以外、もうここには無いよ?」

「ふふん、部長、僕が見落とすとでも? そこのコンテンツを……!」


僕が顎で示したその場所には……様々な【コスプレ】。


「あの洋服ラックに掛けられた数々の勝負服(鎧)の説明をして貰おうか、部長?」

「ふふ、流石は同志、目敏いね。アレも、ウチの優秀な助手君が作ったものだ。勿論、希望とあらば試着OKだよ。しかし同志よ、その前に一つ、気付く事はないかい?」


「一つとな? ふぅむ……メイド服、ケモノ耳、やけに露出の多い制服……一見関連性の無さそうだけど……そうか! 全て(成人)ゲームのキャラが着ていたモノ……!」


「お見事パチパチ

「だろうと思いました(呆れ顔)」


「あら、可愛らしいお召し物ですわ?」「ネコさんのお耳がぷりていですわねっ」「布面積の多い水着でしょうか?」


「おっ、興味を持ったみたいだねお嬢様たちっ。約束したもんね、学園祭で色んな服が着させたげるって。さぁ好きなのを選びたまえっ」

「無知シチュここに極まれりだぁ……」

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