訪問2
僕は御堂家道場に所属する一人の門下生だ
毎日のように稽古をし、ぼろぼろになる毎日
それが今日は少しだけ違った
牢屋のような壁がずんっと音を立てる
外で鍛えていたメンバーは自然と音の方を向いた
耳を澄ますと話声がした
どうやら荒れているらしい
ここは知らない人からみたら刑務所のようなところだ
多少治安が荒れていても仕方がない
それにいつものことだ。そのくらい
・・・と思った
僕はいつものようにサンドバックをたたく
綺麗な小気味いい音を立てるはずだったそれは
爆発するかのような轟音でかき消された
あんぐりと口をあける
眼を丸くする
こういった言葉は驚きを示す比喩表現だと思っていたけど
その時の僕はまさにその状態だった
爆音を立てたのは、門だ
そびえたつ壁と同じ高さである正門
これが開くのは招かれた人がいるときだけだ
だから、門下生が来る朝とか帰る夜とか、あとはお客さんがくるときしかあかない
それが開いたのだ
開いたというか、飛んだのだ
そしてその先には小さな人影
「~~~ん‼」
男の人が何か呼ぶ声が聞こえたけど人影はまっすぐに歩く
だが、ここは御堂家だ
僕みたいな御堂家の血筋じゃないひともいるけど、どちらにしろ急な事態に拳を構える人しかいない
「うらっゃるおえらあああ!!!!」
よくわからない掛け声 (もとい怒鳴り声)を上げながら向かっていく訓練生たち
しかし彼らはすぐさま戻ってきた
何かされたわけではない
さっきの門みたいに吹っ飛んだわけでもない
ただ、もどってきた
相手はずんずんと、歩いているだけだ
赤い眼を光らせて
これは立派な道場破りだ
だれか立ち向かうべきだし、そうでなくても誰かに報告すべきだ
でも、僕を含めて誰も動けなかった
うごくな
うごくと死ぬ
殺される
そんなごく単純な脅迫が、自分の体から発せられるのだ
「銀髪。殺さなきゃいけなくなるからやめて」
そして 聞き覚えのある声が響く
「あぎゃああああああああ!!」
「いぎぃあぁああああああああ!!」
「だすげてぐれぇええぇえええええ!!」
「ぴぃやああああぁああぁぁああああぁあああ!!」
阿鼻叫喚
泣き叫びながら、ただ事ではないことは理解した
あ
いし、き
が




