御堂家3
薙「というのが御堂家だ」
凛「…なるほど」
薙「だからこそ。霊の存在を知り、討伐すべきと考えた者がいたとするなら
そんな手をつかっても勝利をつかもうとするだろう。あるいは一家まるごとかもしれない。
それがもしも古くから続くことならばなおさらだ」
凛「気の持ちようって言っちゃえばそうなんだろうけど…」
剣「タツ。御堂家は一瞬でも敗北感を感じたらそこに居られない。
そういう生き物なんだよ。分家も考えは一緒だ」
凛「というか2人は結構すごいんだよね」
薙「教わり方の問題だろうな」
剣「だろうね」
凛「というと?」
薙「私は御堂槍から、敗北を許さないとは負けないことだと教わった。だから勝負する時を選べと」
凛「間違いじゃないね」
薙「だから何時でも誰にも敗北しないようにあらゆる分野に特化しようと思った」
凛「完全な伝達ミスだよ、それ!自分に有利な勝負しかするなって言いたかったんじゃないの?」
薙「なるほど。私には負けたくないならあらゆる分野で優れと聞こえた。
そして具体的な勝利条件がないものでも負けないように力量をつけろ、と」
凛「……」
薙「私などかわいいものだ。妹の育て方は完全に終わってる」
凛「終わっ…!?」
剣「なに?間違いじゃないでしょ」
薙「あまりに現代とはずれている。戦争のあった時代においても考えられんが」
凛「…ちなみに何かきいてもいい?」
剣「単純だよ。生き物が敗北を感じるのは死ぬ瞬間だ。勝ちを得るときは相手の首をとった時だ」
薙「メダリストだろうが、世界記録だろうが、負けるとは死ぬときのみ。勝つときは殺すときのみ」
剣「それを続ければいずれ、人間という生き物は御堂家に恐怖を持ち、襲うことすらしなくなる。
それが完全なる勝利だ」
凛「……」
薙「これが総本家の考え方。納得はするが、あまりにも暴力的だ」
剣「世界一速く走ろうが、頭がよかろうが、死んだら終わり。そういう考え。
だからあたしは武のみしか鍛えてない。
そしてどんな小さな芽も残さず叩き潰す。二度と歯向かわせはしない」
凛「……それ教えたのが今から行くところのおじいちゃんだよね」
剣「うん。じいちゃん、久しぶりだなー」
凛「帰りたい……」




