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魔王の手帳  作者: Karionette
第三章 霊道
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犯人




「っくく」






赤眼は、貸している端末を揺らしながら笑った。








「犯人はお前なんじゃねぇかってさ。面白いな、人間は」




「私が?」




「被害者にお前の名前があったから、かの有名な御堂家ならばだとさ」




「………」






私、か。




力量を称えられるのは誉れとすべきだが、私が何でもできる人物だと認定されているならば困った話だ。


何故世間から国を相手にしているだとか、未解決事件を起こしているのが私だとか、私を殺すならば核兵器が必要だとか。


なぜそのような噂が立ったのだ。そこまで表立って動いてはいないはずなんだが、一部ではまだそう囁かれているようだ。






「剣は?」




「寝ている」




「……いつのまに」




「おまえの目の前にいただろう。気づかなかったのか」




「………」






なるほど。


影響は出ていると考えてよさそうだ。




それにしても、御堂家か。






「赤眼。私の実家に行く気はないか?」




「え。なんで」




「確かに御堂家ならば成し得ないこともできるからだ」




「…まさか本当にお前らがやったのかよ」




「私はしていないが、他はわからん。もし元凶でないとしても、古い武家の一族だ。


仮想データに残っていない知的産物は少なくない。剣を起こせ。さっそく支度する」




「今からか?」




「そうだ」






薄手のコートを赤眼に放り、適当な上着を羽織った。






「私の父と母はごく普通の一般人だ。当てにはならん。


古い知識となると本家大元を頼ることになる。


父に取り次いでもらうにしろ、私や剣がするにしろ時間はかかる。


ゆっくり待つ余裕はないだろう?」




「だな。でもコートはいらん。でかすぎんだよ」






赤眼はそう言いながら、ソファーで眠る剣に蹴りを放つ。


当たる前に飛び起き、剣も槍のような一閃をするが赤眼は腕でそれを抑えた。






「銀髪。殺されたいの?」




「ただの性能チェック」






納得したのか、軽快な動作で赤眼はひらりと窓枠に足をかけた。






「車ないなら他の乗り物だろ?俺、バスとか乗れねぇからバイク回してくる」






「そのまえに止まれ。ここは一桁の階数じゃないぞ」






「・・・・・・」






いつもの癖だったのだろうが、その体で20階建てのマンションから飛び降りるのは自殺行為だ。






「それに足ならある。車、飛行機、バイク、馬。どれがいい?」




「無難に車でしょ。一台で済むし」




「そうだな。用意する」




「おいちょっと待て。絶対におかしいものがあったろ」




「……そうだな」




「だろ?」




「飛行機は確かに効率悪いからおかしい」




「それじゃねぇよ」






何がおかしい?どれもスピードがあり、目的の達成に向いている。




おかしいもの……。おかしいものか……。






「うむ」




「…わかったかよ」




「そういえば人力車を忘れていた」






赤眼は何も言わずに玄関から出て行った。








馬だよ!!


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