授業1・新
銀
「んじゃ、とりあえず注文」
剣
「あたし抹茶パフェ」
銀
「……俺はこれでいいや」
剣
「それ、4人とかで食べるヤツだよ」
紅
「いけるだろ」
剣
「まじか。というか銀髪。金あるの?」
銀
「ん?」
剣
「だってあんたニートでしょ?」
銀
「俺ほど働いてる奴いねぇだろ!確かに稼いではないけど!」
剣
「ほらニートじゃん。自宅の幅が広いニート」
銀
「お前ほんとぶっ殺すぞ」
剣
「はいはい。で、お金あるの?」
銀
「ある」
剣
「なんで」
銀
「時々あるだろ?あれ。3万円持ってたはずなのに2万しかないってなること」
剣
「万単位はないけど、まぁ確かに小銭ならある」
銀
「記憶消去って便利」
剣
「ニートより最悪じゃん。この泥棒」
銀
「人間の法律だろ、それは。俺には適用されません」
剣
「はー。最悪」
銀
「それにそんなでかい金額はとらねぇよ。有無が曖昧な金額じゃねぇとばれる」
剣
「ふうん?」
銀
「素早く引き抜き、その金額について記憶を曖昧にする。作業は以上」
剣
「まぁ気づいても落としたってなるよね」
銀
「小銭なんて数えてねぇしな。大体の人間は。それに裕福層からしかやらねぇよ」
剣
「確かに子供相手に100円盗ってたらひくわ」
銀
「法律は適用されねぇけど、多少のモラルはあるぞ。俺にも」
剣
「盗みには間違いないけど」
銀
「盗まれた事実も知らなきゃ落としたのと変わらねぇよ」
剣
「ふーーーーーーーーん」
銀
「お前不満げにしながら普通にその金でパフェ喰うんだろうが」
剣
「うん」
銀
「まぁいいや。で、だ。本題」
剣
「はいはい」
銀
「まず、俺は管理者だ。正直魔王っていうよりこっちの方がしっくりくる」
剣
「うん」
銀
「管理するのは幽霊に妖怪、呪術やら呪いやら、人間側からしたら存在するようで存在しないものだ。
俺の目的は存在させないようにすることじゃなくて、存在をあくまで朧気にすること。わかるか?」
剣
「ん。存在を無くすんじゃなくて、曖昧にしたいわけね」
銀
「無くすのが目的なら消しまくることになるじゃねぇか」
剣
「でも、そうじゃないわけね。はい、了解。次」
銀
「…おう。だから俺としては人間が死のうが怪我しようが、曖昧になるんなら別にいいんだよ。
ただ、どうしても実害ってのはごまかしが効きにくいから、
予防するしそういうことした奴はぶっ殺してる」
剣
「あんたとしては別にいいのか」
銀
「まぁ。妖怪の類じゃなくて自然災害ってことになればいいんだよ。前の土砂崩れみたいに」
剣
「あの山神とかいうやつのね」
銀
「あれほどの規模で起こされても、でかい鹿がやったとは誰も知らない。
だから俺の仕事としてはセーフだ。
だが実害は出てるし、これからも起こる。
だから放置はできねぇ。ああいう制御が効かない奴は消すしかない」
剣
「うん。了解。ところでさ」
銀
「ん?」
剣
「パフェどこ行ったの」
銀
「食ったわ。次パンケーキでも食うかな」
剣
「…あたしも飲み物ほしい」
銀
「オッケー」
剣
「あんたそんなに食べてるのに存在消えたりすんの?」
銀
「いや、俺は黒髪のときは原則人間だよ。身分証とかはねぇし、記録にはねぇがな。
刺されれば死ぬし、肉体の概念もあるから痛みもある。
印象には残りにくいみたいだけど、普通に存在してるよ」
剣
「…そ」
銀
「俺のこと覚えていないというか、記録に残っていないというか。
あれは全部銀髪のときの、こちら側の力使ってる時の話だ。
人間にできないことをするときはいっつもあっちの力をこの体で使ってんだよ」
剣
「?」
銀
「まぁ俺のことはいいや。俺自身わかってないことも多いし」
剣
「とりあえず銀髪は何ができるの?」
銀
「人間の記憶消去に記録の消去、あとは物理的暴力。
あとは、こっち側の存在とは見えるし話せるし、消すっていう実力行使もできる」
剣
「大したことないんだ」
銀
「あくまで人間だからな。こっちの俺は。
ほかにも色々あるのかもしれねぇけどよくわからん」
剣
「あれは?召喚とかいうやつ」
銀
「凛に聞いたのか?」
剣
「うん」
銀
「あれはこちら側の存在をここに呼び出すことだ。もう棲む世界が違うんだから呼ぶのには代償がいる」
剣
「じゃあ、あんたの友達呼んでよ。昔言ってた大蛇」
銀
「あーーー、まぁ、結構代償辛そうだな。代償って俺の場合は命に通じるものだし。遊びではできねぇわ
剣
「……ち」
銀
「お前もうちょっと俺の命大切にしろよ」
完全に説明だけの回だな




