テケテケ2
JKだ
スカートじゃなくてジーンズはいてるけど
これはJKという生き物だ。
勉強したから知ってる。うん。
竹串を装備したJK。
……いや、どういうことだろ。
あたしは、テケテケ。
テケテケとして生まれたけど、生きているわけでもない。
でも死んだこともない。
死んだことないけど、下半身なくして死んだことになってる。
そんな意味不明な存在。
そんなわたしの存在理由は、恐怖
怖がらせることだ。そして語り継がれることだ。
あたしにとってはそう。
人間が食べ物を食べるのと同じ。欲求というのかな。そんなかんじ。
周りの仲間たちは「迷惑がかかるから」で我慢しているけど、本能的にはそうだ。
恐怖によって語り継がれる。それがわたしたち、都市伝説だ
の、はずなんだけど。
いや。どうしよ。このJK
いい雰囲気台無しにしてくれちゃって
どうやって入ってきたのさ。どうして団子食べちゃってるのさ
なんで竹串ひとつでそんな威力だしちゃうのさ
「御堂家に敗北はない」
……いや。そっちあたしいないから
おぞましい速度でこぶしを放ち、けりをするJK
でもそこにあたしはいない
えっと どうしようか
怖がってた女は気絶しちゃったし
なぜかJKは少しもあたしのこと見えてないようだし
「・・・・」
帰ろうかな
「逃げんな」
JKがそういった
このタイミングで言った
は?なにどういうこと
そしてこぶしがこちらを向いた
「勝負だろ」
竹串を挟んだこぶしはまるでパイルバンカー
怪異であるあたしがこういうのもなんだけど、いやほんとにパイルバンカー
竹串ごとき、なんだけど
それがこちらを向かう
今まで素っ頓狂な方向だったのに、見定めたかのようにこちらへ
全身にびりびりと何かが走る
飛びよける
杭は地面にたたきつけられ、地割れが起きるのかと錯覚するほどに音を鳴らした
「・・・・・・・こっわ」
は?いまなんて言ったあたし
怪異で、都市伝説で、恐怖を与えるあたしが
怖い?
「ん。見えないけど、そこにいそうだね」
JKはまたも嗤う
さっきから恐怖のかけら一つ見せない
ああ、なんだろう
この感覚
あつい さむい
にげられない
逃げる?どうして?
でも逃げられない わかる
逃げる必要なんてないんだから
あたしは都市伝説
そして 怪異
生身のJKが何を粋がってる?
「あああぁぁああぁあああああ!!!」
とびかかる
見えてない 避けない
避けずに蹴りがくる
見えていない
なのにそのままくる
当たった
痛い
痛いはずがない
それは生きてるやつの感覚だ
なんだ、これは
痛い 痛い 痛い
なんで ちょっと
とまってよ
容赦なく切り取られた腹部をうたれる
おさえつけられて
殴打 殴打 殴打
きいてよ
見えてないのに
なんで
ちょ
いたいいたいいたい
なにこれ
なにこれ
わらうな
いや いやだ
震える
いたいいたいいたい
にげれない
どうやればいいのかわからない
うごけない
いたいのに
怖いのに
たすけて
ごめんなさい
あたしがわるい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい
怖い
こわいよ
だれか助けて
何もきいてくれない
みてもない
こんなことならいっそ・・・・
「すとーーーーーーーーーーーーーっぷ!!!」
銀色の光が飛んできた
体を貫くそれも、同時に止まる
「あ、銀髪」
「お前が怪異だろ!!」
少しでいいから普通になれよ!




