ヘルプ3
「俊くんが言うにはここか」
なるほど。これはこれはものすごい霊の数。
道に迷った浮遊霊たちが大集合しているようだ。
軽く、お経を唱える。
はくの姿を意識し、彼らに伝える。
「はく。大勢いるけど頼んだよ」
”うん おしごとおしごと”
きっと霊が霊を呼んで、この場所に集まったのだろう
悪霊って呼ぶ類の霊はここにはいないようだ
「やっぱあの建物の中かな」
カガシが頷くのがわかる。
空中を揺らめく霊たちははくに任せて僕はその建物に向かった。
こういった如何にも廃墟といった場所は霊が棲みつきやすい
というのも、生前にそう思ってるから死んだ後にもこういった所に向かってしまうのだという。
深層心理的な?そんな感じの何かが死んでも続くのだろう
「あれ?女の人だ」
扉をくぐったのは、髪をひとくくりにした綺麗な女の人。
でも、霊だ。
泡吹いてる青年の頭を鷲掴みにしてるあたりが、ものすごく悪霊っぽい。
― アレは人間の生んだ者だ ―
「ん?どうゆうこと?」
カガシが応える前に、女の人は音もなく目の前にいた。
「若殿が信頼スる人間とは貴様カ…」
「え、あ。どうでしょ?たぶんそうです。龍川といいます」
「なるホど。良い気を感じル。好ましイ…」
若殿というのはアカメさんのことだろう。うん。
好ましいというのは、あれだな。霊に気に入られやすいってやつ。
あー。霊に気に入られるって、つまり僕憑りつかれやすいんだろうなぁ…
「蛇神殿ガおられる時点で、それはあるまいよ…」
「あ、はい。それはよかった。あなたのお名前きいてもいいですか?」
「……」
ん?嫌なのかな。
「こういう、者ダ…」
彼女は結んだ髪を解いて、ばっさりと前髪を下した
白い服に長い前髪。顔は見えないけど、片目だけ見える
急に姿勢まで可笑しくして、目つきも険しい
「…………………?」
「ワカらぬのカ?日本人だろウ…?」
「いや、有名な映画の人物には見えますけど、それが名前かどうかわかりませんし」
「……………」
「もしそれがお名前というなら、貞子さんでいいんでしょうか?」
「……………」
彼女は沈黙のあとにくすくすと笑った
霊とは思えない軽やかな笑い方だった。
「そう。私ハ、貞子。高橋貞子とイう…」
「僕は龍川凛で、あっちで頑張ってる子狐がハクコ。僕を守ってくれているのがカガシです」
「そうか。リン殿。よろしく頼ム…」
僕は初めてかの有名な貞子さんと握手をした
握った手は冷たく、それでいて力強かった
さすがだなぁ凛は
あの霊たらし




