突き
おかあさん おかあさん
どこにいるの たすけて
まいごになっちゃったの
たすけて どこなの
お手てつないで
おかあさん おかあさん
おかあさんじゃなくてもいい
だれかたすけて
ひとりはいやだ ひとりはいやだよ
さみしい さむい
こころぼそいんだ
おねえちゃん
おねえちゃんはぼくにきづいてる?
お願いだよ 気づいて
気付くまで放さないよ
連れて行って おかあさんの所へ
おねがい おねがいだよ
ずっといるからね
ぼくにはおねぇちゃんしかいないんだもん
お願いだから おかあさんのところへ
おかあさん おかあさん
さむしいよ さみしいよ
「……で。そんな子供がお腹にくっついてたと」
「見えてた、わけじゃないのか…」
「まったく」
急に変なこと言われた。
あたしが転校してすぐに休みだしたこの子。正直、名前も覚えていない。
ただあたしが来てから休みだしたから、担任にぐだぐだ言われて今日は来た。
どうやらあたしが原因ではなかったらしいが。
「子供がね。ずっとさびしいって泣くの。それでおかあさんの所へ連れてってって。
そんなの無理だし、おかあさん多分亡くなってるし。子供の恰好、戦争中の恰好だったの。
それで連れていけって一緒に死んでってことじゃん。そんなの……」
「そっか」
「でも、さっきの突きで消えちゃった。体も軽くなった」
「……そう」
意味が分からない。何言ってるんだろ、こいつ。
ただ、突いただけだ。気合いれたら風邪なんか直ぐ治るし。
幽霊を消しとばすためにやってはいない。
というか幽霊なんているんだ。ほんとに。
「元気になったなら帰る」
彼女は明日から学校にも来るそうだ。
これであたしのせいだなんて言われないだろう。
それから最近の日課である病院へと向かった。
もちろん通院じゃなく見舞いだ。例の土砂崩れ事件で身内が怪我をしたからだ。
いつも通りの道を歩き、いつも通りの病室の扉を開ける。
「兄貴。ただいま」
ガラリと開けた先には、見慣れない誰かがいた。
気付けばソイツに向けて飛び蹴りを放っていた。
「ツルギ!!」
兄に名前を呼ばれるが止まらず連撃を繰り出す。
ソイツはいとも容易くそれらを捌き、身をかがめて鳩尾を狙ってきた。
させるものかとその手を叩き落とし膝を顔面に向ける。
しかしそれも捌かれる。
そう、そんなこと知っている。
そんなもので倒せるヤツじゃない。
「………って誰?」
「おまえ…思い出してないのにそれかよ」
赤い眼の男は呆れたように笑った。
久しぶり




