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魔王の手帳  作者: Karionette
零章 アカメの日記帳
48/219

バン!




時々見える程度だった




そんな怖い目にも遭ったことはない








なのに 急に








変なものが見える




どんよりした空気には色がついているようで




そこで笑う友達もどこか影が差している気がする








土砂崩れがあって大勢が死んだ




今も見つかっていない人は大勢いる




でも捜索活動は足早に切り上げられて




世の中から悲しむ声も直ぐに消えてしまった








なにかがおかしい




みんなおかしくなってる




そんな気はするけど絶対にそうだと言えなかった








目に見えるものは変わって 明らかに人もその影響を受けてるけど




同じものが見える同士はいないし いつも通りに明るい人もいる








ただ




どこかうまくいかない 調子が悪い








そんな言葉で済まされる程度




いつも通りみんな過ごしている












ある日転校生がきた




変わらずみんな歓迎し笑って拍手した




私だけ まだ色のついた空気に馴染めなくて




吐き気を堪えて凛々しい彼女の顔を見ていた












ブログにはかけなくなった




今までは少し悲しいお化け




面白いお化けにやさしいお化け




そんな小さなお話しだった








それは変わった




もう見たもの全てが禍々しい








ダイレクトに悲しみや憎悪を伝えてくる




怖かった




怖くてたまらない




色のついた景色が気持ち悪くて




沼の中で過ごしているみんなも気持ち悪い








友達は私から離れていった




付き合いも悪いし始終暗ければしょうがない






でも無理だ




私には無理だ




こんな中で明るくできない








心配した親が精神科につれていってくれた




お薬を飲んだら少しだけ楽になった




頭がぼんやりするから




ぼんやりと沼のような世界を見ていた








こんなこと なんの解決にもならない








そう思っては泣いて 気持ち悪くて吐いた














転校生が家にきた




しばらく休んでいたから来てくれた




というのも重要なプリント関係を持ってきてくれたのだ




たぶん先生に強制されたのだろう








親は彼女を家にあげた




彼女は綺麗だし友達ひとり来ない私を訪ねてきたから嬉しかったのだと思う








彼女はおしゃべりではなかったけどすぐに出ていったりしなかった








私は言った




帰らないのか、と




彼女は言った




あんたが元気になったら帰る、と








笑える




そんなの無理だ




もしも普通に風邪引いてても無理






私は笑ったのだと思う








しょうがないな




彼女はそう言って私を立たせた




気合いれてあげると言って彼女も立ち上がる








病は気から 根性で治せ




彼女はぶっきらぼうにそう言うと




拳を固めて私のお腹に突きを放った








バンと音がした








寸前でそれは止まった




だから痛くもかゆくもない








でも私はぼろぼろと泣いた




彼女の拳はずっと私のお腹にくっついていた子供の霊を消したのだ








彼女はおどおどしていた




当たってないよね、当たってないよねと戸惑っていて




大丈夫と言う余裕もない私はただただ泣きじゃくっていた







ふぁ??!

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